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異世界ランボーな生活《悪業には、天誅を。スマホ検索で、生活改善。俺の目指すのは、まわりのみんなの笑顔だよ。》  作者: 風猫《ふうにゃん》
第四章 俺の戦場は、かよわい者を守る場所だ。
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閑話五 ラナの新生活 その三

 父が亡くなったと知ったのは、ナターシャ叔母さんの孤児院に来て、二週間程過ぎた日のことでした。

 村から、父と一緒に戦場へ行った人が、教えに来てくれました。

 優しい父でした。去年、母が病気で亡くなり、それから父が一生懸命に、私達の面倒を見てくれました。

 戦い中で父は、追われる仲間の皆を助けようとして、ひとり帝国軍に向って行ったそうです。

 これからは、私が父の分まで、弟や妹達の面倒を見る。 決して、さみしい思いは、させない。私があの子達を守り続けるわ。


 私と弟妹達は、文字通り孤児院の孤児となりました。 

 でも弟妹達は、お友達がたくさんできて、嬉しそうです。

 孤児院では、驚くことばかりです。私達年長組は、朝と夕方にパンを焼きます。

 柔らかくて美味しい、あのパラシュートで届けてくれたパンです。パン種類は、それだけではなく、菓子パンという甘いジャムや豆の入ったパンも焼きます。

 可愛いい猫ちゃんや、たぬきさんや、いろんな動物、そしてお花を形取ったものなどがあります。

 どうして、こんなにも種類が多いのか聞いて見たら、ひとりひとりが好きな形のパンを作るから、こうなったのですって。


 孤児院では、皆で交代で食事を作ります。おかずが何種類もあって、シチューの味もたくさんあるの。私が大好きなシチューは、牛さんのお乳を入れて作るクリームシチューです。

 毎日、お腹いっぱい食べられるから、痩せていた弟や妹も少しふっくらしてきました。


 朝パンを焼いて販売が終わると、少し遅い朝の食事。朝食の後片付けが済むと、勉強の時間です。

 文字は、父から教わっていましたが、ここでは、今まで知らなかったこの国のことや、火が燃える訳、水が凍ったり蒸気になったりする訳など、もの凄くたくさんのことを勉強します。

 年少組の弟や妹も、字の読み書きを習ったり、絵を描いたり、土をこねて動物を作ったりと、楽しく学んでいるようです。

 

 勉強が終わると、昼食、主にパスタなどの麺という食事です。冷たいスープのパスタもあって、暑い夏には一番のご馳走です。

 昼食が終わると、年少組はお昼寝。私達は午後のパン作りです。私も私だけのパンを焼きました。

 イチゴのジャムを入れて、ヒダの付いた帽子の形にしてみました。でも、皆はそれを見て、「キノコじゃねぇ?」「ちがうよ、鍋だろ。」とか言うんです。

 確かに、焼いてふくらんだから、帽子の形に見えなくなったかもしれませんが、鍋はひどいですっ。


 年少組は、お昼寝から覚めると、おやつの時間です。私達が焼いた菓子パンや、シスターが焼いたクッキーが出されます。一緒の飲み物は牛乳です。

 一日おきには、リンゴやイチゴ、スイカとかという、最近ハーベスト領で採れ始めた果物がでます。

 私は、初めて食べた甘酸っぱいイチゴが、一番好きです。

 甘くて美味しいおやつの時間を、下の妹も楽しみにしています。

 

 ラナはここへ来て、孤児院の皆は、それぞれに、自分のためだけじゃなく、街の人々や皆の役に立とうと、努力していることを知りました。

 シンジ君は、《モーターグライダー》を使って、手紙を届けたり、もっとほかのこともできないか、といつも考えています。

 ヨータ君も、パン以外に、ピザやパスタの味を変え、いろんな料理を研究しています。

 ミリヤさんは、皆の洋服を作っています。

 男の子には、「次は、もっと使いやすいポケットのいっぱい付いた作業がしやすい服にするわ。」

 女の子には、「次は、もっと可愛い形と色使いを考えるわ。」と、いつも〘次は〙が口癖で、皆から《次子ちゃん》と呼ばれています。

 

 皆のことを話すと、きりがないので止めますが、私も密かに考えていることがあります。

 私はいつか、ナターシャ叔母さんのようなシスターになって、優しい皆のお母さんになりたいのです。

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