表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ランボーな生活《悪業には、天誅を。スマホ検索で、生活改善。俺の目指すのは、まわりのみんなの笑顔だよ。》  作者: 風猫《ふうにゃん》
第四章 俺の戦場は、かよわい者を守る場所だ。
43/136

閑話四 ラナの新生活 その二

 ハーベスト領まであとわずか、という所まで来て、私達は到々、帝国軍に追いつかれてしまいました。

 私は泣きながら、それでも弟や妹達の前に立ち、敵の兵士に石を投げつけ、必死に弟や妹達を庇い続けました。

 下の弟も妹も、その下の4才の弟でさえも、石を投げて必死に抵抗しました。

 もうだめだと、わかっていましたが、それでも投げ続けていました。


 すると突然、轟音が鳴り響き、帝国の兵士達がバタバタと倒れていきました。

 「良くがんばったっ。今のうちに逃げるぞっ」

 そう声を掛けられて、味方の兵士に抱えられて、戦場の中を駆け抜けました。

 味方が大勢いる場所に着くと、女性の兵士さんが温かい飲み物をくれました。そして、甘くて美味しい《クッキー》という食べ物も。

 見渡すと、女性の兵士さんが大勢いるので、 

 「どうして女性の方もいるのですか? 」と聞くと、

 「男の兵士だけでは足りないから、私達は志願してここに来ているのよ。」

 「女の人でも戦えるのですか?」

 「なにを言ってるのよ、あなたも戦っていたじゃない。

 私達も石みたいなものを、敵の兵士にぶつけるのよ。ただもっと威力があるけどね。うふふ。」と、笑顔で教えてくれました。

 なんだかわからないけれど、ハーベスト領の人達は凄いっ。それだけは分かりました。

 こうして、私達は無事に、ハーベスト領へ着くことができました。


 私の叔母は、ナターシャと言って、孤児院でシスターをしています。

 弟達を連れて、教えてもらった孤児院を訪ねると、叔母が飛び出してきました。

 「まあ、無事でほんとうに良かったわ。」

 そう言って、ひとりひとりを抱きしめてくれました。

 「さあさあ、早く中へ入って。お腹が減っているでしょう。何か温かいものを用意するわ。」


 孤児院は、私達姉弟と同じような年の子供が大勢いました。

 皆、親しげに優しく迎えてくれました。

 私達は、ここまでの道々の出来事を聞かれながら、食べたことがない美味しいご馳走を、お腹いっぱい食べ、そして、お風呂に入って、その夜は、ぐっすりと寝ることができました。


 道々の話の中で、大きな鳥のようなものに乗った人から、食べ物をもらった話をすると、

 「それは、僕だよっ」て言われて、驚きました。

 その男の子の名は、シンジ君って言って、私と同じ12才だそうです。

 私は改めて、「その時、ほんとうに助かったの。」と、お礼を言いました。

 「一番下の妹が、とても喜んで笑顔で食べたのっ」そう話すと、孤児院の皆は、とても嬉しそうでした。


 でも最後に、帝国軍の兵士に追いつかれて、皆で石を投げつけて、戦ったことを話すと、皆シ~ンとなって、涙ぐんで聞いてくれました。

 ここは、優しくて良い子ばかりなんだと、私はそう思いました。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ