第七話 孤児院の変遷
ハーベスト領の復興に取り掛かってから、俺とロッドの二人は、孤児院の住人と化している。
みなしごパン工房は、菓子パンのメニューを増やし、大人気を博している。
年長組の皆は、自分達が孤児院の経営に貢献できることが、何より嬉しいのだろう、皆、いきいきと、工房の仕事に従事している。
年少組は、俺が拾って来た山猫の赤ん坊に、
《ミク》という名前を付け、かいがいしく世話をやいている。自分達と同じ、孤児の身の上に、思うところがあるのだろう。
その可愛がり方は、尋常じゃない。野生動物を過保護にしても良いのだろうか、まあ、ミクはこの孤児院で、生涯を終えるような気がするが。
ミクのベッドは、年少組の男の子達が作った。端材を使い、格好はよくないが、なかなかのできだ。
女の子達は、小麦のもみ殻を布で包んで、布団を作った。特上のふかふかに仕上げている。
いつの間にか、年少組も、俺の影響なのか、創意工夫することを覚えている。
ミクは、皆の愛情を受け、すくすくと育っている。
連れてきた当初は、目が見えていなかったようだが、最初に見えた景色が、ミクを心配そうに取り囲む皆であり、そんな皆が、ミクの育ての親達なのは、ミクにとって、しあわせなことでは、ないだろうか。
俺が、日中孤児院を留守にする間、孤児院の留守を守るのは、僕だとばかり、なんか力んでいるロッド。
毎日、草原の外れにある森に出かけ、倒木を切って、カマドの燃料となる薪を集めたり、上水道が整備されるまでは、井戸の水汲みを一人でこなしていた。その合間に、年少組の遊び相手もしている。
おかげで、ナターシャからは、孤児達の兄貴分としての信頼も厚く、まるで弟のように、可愛がられている。
それはいいが、俺を兄ちゃんと呼び、ナターシャを姉ちゃんと呼ぶので、知らない人から見たら、俺とナターシャが姉弟、もしくは、夫婦みたいに聞こえるから、止めてほしい。




