第11話 年末年始の風景 そのニ
翌朝年長組は、年始休み前の最終販売日なので、いつもよりたくさんのパンを焼いてる。今日は朝だけの販売で、年始は三日間お休みなので、買いだめするお客さんが多いためだとか。
俺は、パン工房の方は、すっかり熟練した年長組に任せ、クッキーを焼いている。年少組に好きな形に作らせて、砂糖漬のフルーツを配し、大量に焼きあげて行く。
猫やら犬やら、馬やら牛やら、よくわからない動物もいるようだが、作った本人がわかっていればそれでいいだろう。
味見は駄目だぞ。冷めないと堅くならないからな。
パンの販売の方は、大量に作ったにも関わらず、一時間程で売切れになったそうな。
そろそろ餅つきの準備も始めるか、外でもち米を蒸しているロッドの様子を見て来なきゃ。
朝食後、いよいよ餅つきだ。杵と臼は、俺の手作りだが、中々のできだと思う。
皆、餅つき初体験に戸惑いながらも、俺がやって見せると、やりたい、やりたいと声を上げる。
年少組のために、小さな杵も用意した。さすがに合いの手は、俺しかできないが、皆でついてお供えも作った。
昼食は、つきたての餅でお汁粉を作って食べた。お汁粉の甘さに皆夢中だ。
ちゃっかり、昼食時には、レイネも到着して参加している。舘の方は、良いのだろうか。
夕食のメニューは、すき焼きにした。豆腐とコンニャクはないが、肉と野菜、キノコに魚のすり身も入れた。甘いすき焼き垂れの味のしみた具を、溶き卵で食べるのは格別だ。
皆、夢中で頬張っている。だけど、なんでレイネ達がいるんだ? 舘のご両親が心配してるだろ。ちゃんと泊まる許可を貰って来ましただと? 絶対ご両親は、寂しがっていますよ。
それに客室は、二つしかないぞ。俺とロッドは一室だが、護衛の皆さんはどうするんだ? えっ、レイネはシスターの部屋に泊まる? なんだ、万全の計画かよ。いったい誰がこの計画立てたの? 俺の精神が持たないんだけど。




