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第七話 レイネの初恋 そのニ  

 コウジ様は、凄いお方だ。パン一つをとってもこの国にはない工夫を知っておられる。

 初めは、ただお会いしたくて訪ねただけなのですが、話すごとにその知識の広さ深さに引き込まれる。

 もっと知りたい、もっともっと役立つ知識を学びたい。私は、コウジ様を尊敬し、崇拝し始めている。そして、憧れから、違う何かを感じ始めている。


 次の日も朝食を終えると、ポーカーと二人の騎士に警護されて、孤児院へ向う。

 「レイネお嬢様、コウジ殿の知識には、誠に驚かされますな。まさに賢者、皆に幸せをもたらす方だ。」

 ポーカーもコウジ様の話に、驚きを隠せないようだ。昨日は、私の側で、真剣に聞き入っていた。

 「ポーカー、私は、コウジ様からいろんなことを学び、この領地に幸せをもたらしたい。」 

 「はい、そのお考えには、大賛成でございます。如何せん、コウジ殿はごく身近な者達としか、関わりません。お嬢様が教えを請い、この領地に生かされるべきかと存じます。」

 そんなことを道々話し合いながら、孤児院に着いた。孤児院では、朝のパンの販売を終え、皆で遅い朝食を取っている。どの子も笑顔で笑い声が絶えない。

 朝食のメニューは、厚切りの食パンと、卵をそのまま焼いたものや、溶いて焼いたもの。山盛りの野菜サラダにはマヨネーズがかけられていて、牛乳で作られた野菜シチュー、飲み物の牛乳が添えられている。

 「朝から、ものすごいご馳走ですね」

 そう、シスターに話しかけると、

 「ええ、コウジ様が次から次と、食材をお持ちくださって、私達の知らない料理をたくさん作ってくださいます。本当に驚きの連続です。」

 私も、メニューの幾つかを試食させていただく。どれも驚愕の美味しさだ。あら、ポーカー達も子供達と、にこやかに食べているわ。でも、その量は試食じゃないでしょう、大盛りだわ。

 食事の後片付けを皆でしている。年少の子供達も食べた皿を台所へ運び、年長の子供達が洗い物をしている。この後は、読み書きのお勉強だそうだ。昼食は、パンではなく、スパゲッティという小麦で作る麺だとか。毎日、違うソースで、それは驚く美味しさだとか。昼食後は、年少組はお昼寝、年長組はパン作りだ。コウジ様の言いつけで、日曜日は、パン作りがお休みで、近くの河原や丘に出かけ、魚釣りや野外での食事を楽しむのだとか。聞いているだけで、わくわくする。

 数日後、コウジ様は、孤児院の裏の土地を畑にするんだ。と言って、二頭の馬と荷車を引かれてきた。いつの間にか、土地を買っていたのだとか。馬に鋤という見たこともない農具を引かせ、見る間に草地を耕して行く。

 川から水を引く小川を幾本か堀り、わずか数日で農地に変えてしまわれた。それから土地に水を含ませた数日後、畑の種蒔きが行なわれた。

 商人のカルロ達が手伝いに来て、孤児院の子供達も総出で、わいわい楽しそうに、決まった区画にいろんな種を撒いてゆく。もちろん、私も手伝った。ただ次の日、生まれて初めて、腰が痛くなったのは秘密だ。コウジ様には、鋤の増産とさらなる便利な農具の開発をお願いした。 

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