表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/136

第五話 孤児院の再建 そのニ

 みなしごパン工房では、夕方の販売のみ、菓子パンも40個限定で販売することにした。

 野苺のジャムを中に入れて、耳を付け顔を描いた猫パンと、蜂蜜をたっぷり巻いたロールパンだ。発案者、アーシャのドヤ顔が凄いっ。

 そして俺は、再建第ニ案を発動した。


 三週間後、みなしごパン工房も定着した頃、俺は、ボッシュの店で数人分の農具を受け取り、荷車を引いて、孤児院へ向った。

 孤児院の裏には、小さな畑があったが、その周囲の草地を買い取り、孤児院の畑として開墾することにしたのだ。

 途中、運送屋で二頭の馬を借り、連れて行く。荷車を馬に引かせ、孤児院の裏地に着くと、ロッドと二人、馬に鋤を引かせ土を起していく。

 「ロッド、大丈夫か? 馬は手綱を右に引くと右に曲がり、両方引くと止まる。進める時は、ゆるめて大きく揺らしてやるんだ。」

 「コウジさん、とっても面白いです。馬が僕の言う通りに動いてくれます。」

 「油断するなっ、馬に蹴られたら、大怪我だぞつ。」

 「はいっ、気を付けますっ。」

 ロッドは、にこやかに答えてる。だいぶ明るくなった、連れてきたばかりの頃は、一人沈んでいることが多かったが、孤児院の子供達に懐かれて、吹っ切れたようだ。

 それから三日かかって、二町程の土地を開墾した。近くの川から水を引き、何本か作ったあぜ道の脇に小川を作って、畑に水を入れた。

 一週間程で畑の土も良さげなやわらかさになり、種蒔きをした。季節は初夏、大根、人参、キャベツ、ジャガイモ、さつまいも、玉ねぎ。トウキビと野苺も植えた。

 ジャガイモとさつまいもは、カルロに遠方から仕入れて貰ったもので、近隣にはないものだ。

 そして、メインの小麦は、畑の半分。大麦も4分の1程植えた、収穫後ビールを作ろうと思っている。

 二ヶ月後、人参とキャベツがまだ成育途中だが、収穫できた。年小の子供達が草取りや水やりを一生懸命やってくれたおかげだ。ちなみに水やりは、ジョウロを作って、小川から汲んで撒いた。

 孤児院の台所には、塩、胡椒、醤油、味噌、砂糖、油などを常備したが、子供達が野菜嫌いにならないように、マヨネーズを作って野菜の収穫を祝った。だが、心配はいらなかった、自分達が丹精込めた野菜を「美味しいっ、美味しいっ」と皆、笑顔で食べていたから。

 それから更に二ヶ月後、麦の収穫をカルロ達に応援してもらい、孤児院総出で行った。

 天候にも恵まれ、大豊作で、パン工房の材料も含め、孤児院で使う二年分の収穫になった。

 こうして、孤児院の再建計画は一段落したのである。

 ちなみに、シスターの名は、ナターシャと言うのだと泣きながら、感謝されながら、初めて聞いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ