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第四話 孤児院の再建 その一

 ボルツ商会の結末を孤児院へ説明にやって来た。

 「シスター、もう心配ありませんよ、ボルツ商会は捕縛されて、孤児院へ手出しできなくなりましたからね。」

 「ありがとうございました、子供達に危害を加えるものが居なくなり、ほっとしております。」

 そう言いながらも、シスターの顔は沈んでいる。

 「何か他にも心配ごとですか?」

 そう聞いてみると、孤児院の経営は、今までの蓄えを切り崩しながら、なんとかやって来たが、もう蓄えも底を着き、明日からの食費を工面しなければ、どうにもならないという。

 孤児院には、10才未満の子供達が16人いるそうで、シスタ一1人では、働きにも出られず、時々ご近所が食べ物を差し入れてくれるが、それだけでは到底、子供達の食事は賄えないという。それを聞いた俺は、カルロに頼み、当面の食料を孤児院に提供した。

 さて問題は、孤児院の収入確保だな。何か手立てを考えなくては。


 2日後、俺は、荷車5台にレンガを山積みにして、孤児院にやって来た。カルロのところの三人に手伝って貰い、俺とロッドで運んだ。

 そうして、孤児院の中庭にカマドを作った。 

 一週間後、すっかり渇いたカマドに火を入れ、出来栄えを確認すると、シスターと年長の子5人に手伝わせて、パン作りを始めた。

 まずは、食パンだ。小麦粉を井戸の水で捏ね、パン種と少量の牛乳と蜂蜜を適量加えて日陰に2時間置く。

 中庭に掘った井戸には、手押しポンプを取付け、子供達でも簡単に水汲みが簡単できるようになった。

 2時間後、少し膨らんだパン粉を、火を入れたカマドに移し、じっくり焼く。

 焼き上がったパンを皆で試食、「うわぁ、美味しいっ」と歓声が湧く。

 それから、子供達にカゴを持たせ、通りに出て通行人達に試食をさせた。明日から孤児院でパンを販売するとの宣伝だ。評判は上々、値段は半斤で大銅貨2枚、200円程だ。一斤は大銅貨3枚にしたから、一斤の方が売れるんじゃないかな。その日は、30斤程のパンの仕込みをして、翌日に備えた。

 翌朝、6時頃からカマドに火を入れ、パンを焼き始めたが、焼き上がる前から行列ができ始め、シスターと子供達には、大急ぎで追加のパン粉を用意して貰った。販売は大盛況である。

 パンを焼き上がりは、一日二回、朝7時と夕方4時とした。シスター達の忙しさを考慮して、其々50斤、売り切れ御免とした。

 俺は、最初の一週間だけ手伝ったが、あとは、カルロのところから、女性を一人回して貰いシスター達に任せた。

 あとは、中庭に通じる建物の入口に、『みなしごパン工房』という看板を付けた。皆には意味がわからなかったが、響きが良いと受け入れられたので、まずまずだ。

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