第三話 ボルツ商会
ボッシュの店に行くのは、また今度にして、カルロ達のもとへ帰ると、ちょうどカルロが店の戸締りをしていた。
「カルロ、聞きたいことがあるんだが。ボルツ商会って、知ってるか?」
「評判の悪い商会ですよ、何かありましたか?」
「この街の孤児院へ無理難題を吹っかけているらしい」
ボルツ商会は、老舗の商会で先代の頃は、手広くやっていたが、先代が亡くなってからは、後を継いだ甥が悪こぎなぼったくり商売をしだして、今では商人仲間から村八分の状況だそうだ。
翌朝、俺はハーベスト子爵を訪ねると、孤児院の状況を説明し、ボルツ商会の暴虐を話すと、直ちに捕縛のために、ポーカーに命じて10人の騎士を向わせてくれた。
もちろん、俺も同行する。罪もない幼子のミーシャを泣かせた償いはして貰う。
ボルツ商会の店先には、暇そうにした男達が四人たむろしていた。
「孤児院への嫌がらせの件で来た。主人はいるか?」そう声を掛けると、騎士達に驚き、一人が中へ駆け込んで行く。中から出てきたのは、中年のでっぷり肥った男だ。
「私がボルツ商会のボルツですが、何かご用でしょうか?」
「昨日あなたは、孤児院で子供達に乱暴を働いたそうですね。おまけに、正当な権利も無いのに孤児院から、土地と家屋を取り上げようとしたとか。ちゃんと申し開きしてもらいましょうか。」
「知りませんな、何かの間違いではないですか」
「その腕の傷はどうした?子供の歯型が付いているのでらないか?」
慌てて、腕の傷を隠そうとするが、もう遅い。
「大人しくしろ、抵抗すれば命はないぞっ。」
こうして、ボルツ商会の5人は、捕縛された。
後日、取調べの結果、あこぎな商売上の犯罪も判明し、ボルツ達は強制労働送りとなった。




