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異世界ランボーな生活《悪業には、天誅を。スマホ検索で、生活改善。俺の目指すのは、まわりのみんなの笑顔だよ。》  作者: 風猫《ふうにゃん》
第13章 俺は、スマホの知識で味の世界を広げる
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第九話 モルゴン村の新名物料理

 モルゴン村の村長(アルビナ)から、相談したいことがあるので、(うかが)いたいとの、連絡を受けた。翌日、会うことにした。

 ハーベスト領内では、先頃、領主館と各街や村の公民館との電話が開通している。

 王国内では、まだ王城と各貴族の領主館しか、繋がっていないが、来年には、各貴族領でも街や村にできる予定だ。

 領民達の利用できるものとしては、街や村の公民館に、電報を設置している。



 翌日の昼過ぎに、領主館へアルビナがやって来た。マルカが一緒だ。

「コウジ様、ご無沙汰しています。」


「やあ、よく来てくれたね。最近のモルゴン村は、どう?」


「はい、皆、笑顔で過ごしていますわ。

 ですが、今日伺ったのは、食に詳しいコウジ様の助言が欲しくて、来ましたの。」


「コウジ兄様(にいさま)、隣のアオ族村では、うどんの乾麺が大人気で、王国中に販売が拡がっているんですっ。

 それに比べて、モルゴン村には、乳製品しかなくて。ラピタが自慢するんですよぉ〜。」


「はははっ、なんだマルカのヤキモチか。」


「いえ、そんなことは、些細(ささい)なことなのですが、モルゴン村に来てくれる観光客の皆さんに、村の名物料理を、味わってほしいと、思って。

 コウジ様に、お知恵を借りに来ました。」


「なるほど、アオ族村に小麦料理のうどんを取られちゃったからなぁ。

 マルカは、何か思いつかなかったのかい?」


「兄様、パンもピザも、変わり映えしないし、うどんは、アオ族村が有名になってるし、考えだけど、思いつかなくて。」


「ふ〜ん、じゃ、次回の試食会は、モルゴン村でやることにしようか。それまでに、考えておくよ。」



 小麦粉を材料にする料理で、まだ作っていない料理はある。

 主として中華料理の分野に多い。中華饅頭や焼売、餃子でお馴染みの点心料理です。

 点心とは、中華料理の軽食のことで、主菜やスープ以外のものを指します。


 饅頭(マントウ)は、小麦粉を発酵させて蒸した中国のパンで、日本の肉まんの皮のような食感のものです。

 現代中国では、中身の入ってないものを饅頭(マントウ)と言い、中に具や(アン)の入ったものは、包子(パオズ)と呼ばれています。

 台湾に旅行された方もいるかと思いますが、朝食の定番として、ネギを練り込んだり、甘味を付けたネジリパンのマントウが出されます。


 包子(パオズ)とは、中に具が入ったいわゆる中華まんです。肉、野菜、餡、クリームなど様々な具材の入ったものがあります。

 中でも、小ぶりでスープの入ったものが、小籠包(ショウロンポウ)です。


 餃子(ジャオズ)、いわゆるギョウザは、焼き餃子、蒸し餃子、茹で餃子、揚げ餃子など、調理方法も様々ありますが、中国では、熱湯で茹でた水餃子が一般的です。皮は、日本の餃子の皮より厚めです。


 (ビン)は、小麦粉をこねた平たい皮を焼いた焼餅、揚げた油餅、クレープのような薄焼きの煎餅、野菜なとを練り込んだ菜餅など、調理方によって名前があります。

 お土産で有名な月餅(ゲッペイ)は、日本のお月見にあたる中秋節に、お供えする菓子が起源のようです。満月を円満、完璧の象徴と見て、秋の豊穣を祝うお供え物だったようです。



 今日は、モルゴン村での試食会。数日前から、モルゴン族の女性達に、講習を重ねてきた中華の点心料理のお披露目です。


 一品目は、日本での定番の焼き餃子(キョウザ)。具材は、肉、キャベツ、すり下ろしたニンニクとショウガ。皮は薄めで、一種類にしたのは、モルゴン村で独自の餃子を開発してほしいから。


 二品目は、2種類の焼売(シュウマイ)。モルゴン村の狩猟で狩れる猪肉と玉葱の焼売と、同じく、モルゴン村で作っている豆腐とハンペンで作った焼売。


 三品目は、小籠包(ショウロンポウ)。春からモルゴン村で新たに始めた養鶏の鶏で、出汁を取ったスープの小籠包です。


 最後の四品目は、某グルメ漫画でも登場した烙餅(ローピン)。小麦粉に長ネギを混ぜてこねたものを、捻じり巻きにして焼いたパンだ。



 今日の試食会の挨拶は、モルゴン村の村長であるアルビナさんがやるようだ。

「お集まりの皆さん、モルゴン村にようこそ。

 今日は、モルゴン村に新たな名物料理が生まれた記念すべき日です。

 この料理は、先頃モルゴン村で始めた、養鶏の鶏の魅力をいかんなく発揮した料理で、食材も狩猟の猪肉や豆腐を使い、また、メニューも無限の可能性を秘めている、まさにモルゴン村ならではの料理です。

 それでは、新たなモルゴン村の名物料理を、ご堪能ください。」

 

 「「「うおぅー。」」」



「パリッとした皮の中に、肉の旨みが詰まっていて、こりゃ旨いぜっ。」

「この餃子の中身は、ほんとに豆腐かい? まるで肉の味だよ。」

「私は、この焼売の方が好きよ。柔らかくてやさしい味だもの。」


「あひぃ、あひぃ、口の中がやけどするわっ。でも、中身がスープなんて、こんな料理は世界で、ここにしかないわね。」

「このスープの味、鶏なのね。すごく旨みがあるわ。」


「ねぇ、ねぇ、ローピンって言うの。このパン、塩味なんだろうけど、飽きの来ない味で、食パンのライバルになるね。」

「ネギの風味が意外っ。美味しいわっ。」


「コウジ様、とても素晴らしい料理を教えていただき、ありがとうございました。

 この料理は、ほんとうに無限の可能性を持っていると思います。

 モルゴン村の皆で、どこにも負けない名物料理に、発展させて行きますね。」

「マルカは、小籠包に苦戦したけど、スープの味をいろいろ研究中なの。コウジ兄、今度、試食してね。」


 モルゴン村の新名物料理は、どうやら上手く行ったようです。

 でも、会場には、真っ赤な顔をして、憤慨している娘が一人いました。アオ族村のラピタちゃんです。

 そして、その目が俺に訴えています。

 『コウジ兄様、ずるいっ。次はラピタの番だから。』



 【 豆知識 】

 中華料理の点心には、まだまだ、いろんなものがあります。

 芝麻球(チーマーチュウ)と言うごま団子や、杏仁豆腐などのデザートも点心(軽食)です。

 


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