閑話1 カルロの回想
本当に不思議なお方だ。出会いはブログリュー公爵領へ向う途中、ハーベスト男爵領都のブルータスで、護衛達の父親が亡くなったとの報せが届き、5人兄弟の護衛達が護衛を止め、急遽故郷へ帰ることになったためだ。
私達は、仕方なく護衛なしで、ブルータスを出発し、不安に取らわれながら道を急いでいたところ、前を歩いていたコウジ様に追いついた。姿格好から冒険者と見えたので、一人でも護衛がほしいと思い、声を掛けたのが始まりだ。幸い目的地まで同行してくださるとの了解をいただけた。
驚いたのは、それから数刻後のことだ。突然10人ばかりの盗賊に襲われたが、コウジ様お一人で、あっと言う間に倒してしまわれた。
本人は、相手が弱かったから、と笑っているが、その強さは尋常ではない。
驚きは、それだけで済まなかった。ブログリュー公爵領のオークスの街に着いたところ、騎士達に追われる少年を助けたかと思うと、たった一人で100人ものテンプル騎士団を倒してしまわれた。
そしてブログリュー公爵を倒すと言って立ち去ったが、それから10日後には、ブログリュー公爵が討ち取られたとの噂が届いてきた。
数日後、何事もなかったかのように、ロッドを連れて帰られたコウジ様は、以前と変わらぬ様子で、シェリー達におやつを作っておられる。そして、以前と変わらぬ道中が戻ってきた。




