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特急の車窓から

作者: コマ

トンネルを抜けたら一面に広がるのは茶色の田んぼと道路と電線。

ここは特急の車内で、外に見えるのは何も変わりない一般的な日本の田舎。

でも綺麗だと思う。

あそこに見える学校らしき建物は高校だろうか、中学校だろうか、もしかしたら小学校かも。

学校の周りは田んぼ以外何もなくて、学校がよく目立つ。

あの学校は一体1学年に何クラスあるのだろうか。

そこそこ子供がいたはずの自分の学校でも2クラスしか無かったのに、田んぼしかないこの場所に子供がいるのだろうか。

いたとしても1つのクラスに何人いるのだろうか。

一般的な学校で育った自分は少人数のクラスというのに憧れがある。

なんだかすごく楽しそうだから、一回自分だけで学校の授業を独り占めしてみたかった。

まあ数人はいるだろうけど。10人以上いるかもしれない。

それは分からないけど、少人数授業っていうのは楽しそうで、やってみたかった。

でもクラスメイトと馬が合わなかったら地獄なんだろうな。


カラスが飛んでいる。

よりにもよってカラスか。

ここはタカとかの猛禽類が飛んでいたらこの田舎に雰囲気が出ただろうに。

でもカラスが飛んでいるとなんだかとても普通の田舎がさらに普通の田舎になって、雰囲気が良くなるかもしれない。

どっちでも綺麗だと思う。

田んぼの上に何か飛んでいるのが重要なのかもしれない。

蝶でもいいし、なんならレジ袋でも。


しかしながら、この田舎を特急が走っているのかと思うとそのギャップにわくわくする。

なんだか雄大じゃないか。

本来そこを走るのは3両編成とか4両編成の車両なのかもしれない。

そっちの方がこの田舎には似合っているし、イメージ通りだ。

でもその線路の上には10両編成の特急が走っている。


この鉄道を建設しているとき、そこにいた人々は何を思ったのだろう。

この田舎が鉄道によって裕福になる事を夢見ていたのだろうか。

こんな田舎に鉄道なんか通してどうするつもりなのかと思っていたのか。

この鉄道ができたら都市に逃げようとでも思っていたのか。

そこにいなかった自分には分からない。

この鉄道ができたのはもう半世紀以上前の話だから。


昔のことに思考を飛ばすとそこには物語がある。

その物語を考えるのは大好きだ。

妄想ともいう。


いつの間にか目の前には茶色い山が広がっていた。

どうやら山の中に入ったらしい。

ここに鉄道を建設することは困難だったことだろう。

設計する人は大変だったろう、なんせ山だから平地なんてないし何よりコンピューターのような便利な計算機もない。

電卓はあったんだろうか。

ただ手作業で図面を引いていったのは確実だろう。

今入ったトンネルだって、ここにトンネルをつくっていいのか様々な調査がされたに違いない。

車が入れるような道もなさそうだし、そもそも道らしきものもなかったから、掘るのだって大変だ。

でも現実はすごい。

なんせこの困難だって想像するだけで分かる事を実際にやり遂げてしまったのだから。


事実は小説よりも奇である。

この日本には1世紀も経たず鉄道網が敷かれた。

1世紀もかかってないのだ。

信じられない。

本当に現実は妄想を超えてくる。

だから妄想は楽しくなる。

妄想は現実によってもっと自由になる。

今後100年でどれだけ日本は変わるのだろうか。

考えるだけでワクワクする。

なんせ100年前にはPCが無ければ電卓もなく、鉄道も一部の都市にしかなかったのだから。

きっと100年後はもっとすごいことになってるに違いない。


ああ、最初は酔ってスマホを触れなくなっただけなのに。

車窓から風景を眺めることはこんなに楽しかったのか。

今後何かに乗る時は風景を眺めて楽しもう。

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