空想公開霊元「大川隆鵬の霊元」
(仮称)阿佐ヶ谷センチュリーホールにて、平成29年3月11日土曜日午後8時
「うん?…何だ、この貧乏くさい所は?」
ー大川隆鵬さんですね。
「何だと!知るかっ、そんな事!」
ー幸福の化学を主催している大川さんですね。
「ふざけた事言ってじゃなねぇよ。何だ、何かの意趣返しか?誰に頼まれたんだ、え?!」
ーいえ、そうではありません。お呼び立てして申し訳ありませんが、お話し頂けますでしょうか。
「…。」
ー大川隆鵬さんですね。」
「…。」
ー東大を卒業して、一流商社で働き、今は幸福の化学を主催している大川隆鵬さんですね。」
「…。」
ー大学に入って東大生だったのでモテ始め、その時に○子と付き合ったのに、捨てて○代に乗り換え、結婚の約束までしたのに、今度就職の時にはその○代を裏切って○美に乗り換えた大川さんですね。
「…。」
ーでは、その○子さんからお手紙を頂いており、また○代さんからは貴重なお写真をお借りしておりますので、○子さんのお手紙をここで朗読し、○代さんからのお写真を公開したいと思います。
「待てよ。オイコラ待てよ!何勝手な事言ってんだよ。」
ーでは、お話し頂けるのですね。」
「…。何だ、オレがその大川って奴だと仮定してだな、仮に、オレが大川だとしてなら、まあな。」
ー有難うございます。では大川隆豊さんのお知り合いという事でも結構ですので、宜しくお願い致します。
「あぁ知ってる、知ってる…。」
ーところで、大川隆方さんは…。
「なんだテメェ、さっきから表記がブレてるじゃねぇか!」
ーどうして分かるのですか?
「オレの能力ナメンじゃねよ!真面目にやれよ!」
ー失礼しました。では改めまして、大川隆鵬さんは過去世において、釈迦族の王子様でいらっしゃいましたが、大川さんが出家したために釈迦族が滅んでしまいました。その事がトラウマになって、今世では安全保障について、厳しいお考えを持つようになられたのでないかと、拝察しているのですが。
「何だ、分かってるじゃねぇか。そりゃま、有るには有るな。でもなんだ、オレが王様になっても、オレの代は良かっただろうけど、先は見えてたからな。なんせ骨の無い連中だったから、遅かれ早かれ、ってとこも有ったな。それよりもあれだぞ、出家の何たるかをオレの出家で示す事ができた訳だ。普通の出家なんぞ、女房を捨てた、子供を捨てた、そんなもんだろ。ところがオレなんか、国を捨て、国民を捨てて出家したんだぞ。オレが出家したせいで、死んだのが一人や二人じゃねぇんだ。生易しいもんじゃ無いんだ、分かんだろ?出家って言うのはその位のもんなんだよ。自分も捨て国も捨てる奴なんて、この世でオレとスパイしか居ねえわな。」
ースパイですか。
「そうだよ、国に捨てられて記録も残らないスパイなんか、ごまんと居るんだからな。」
ー随分、慈悲の心がおありなんですね。
「有ったり前だろ、オレは慈悲のカタマリで通ってんだぜ。」
ーそうでしたね。その方が女性遍歴を…。
「いいんだよ、いいんだよ、あいつらには良い思いをさせてやったんだから。○代なんか毎晩いい思いさせてやったのに、何を今更言ってやがんだ。でもオレだって後悔してんだぜ。あそこがキュッと締まるあんないい女、そんじょそこらには居ないってのは後から知ったんだよ。勿体ねぇことしたよな。それにオレが○○○を挿れてやると…」
(プライバシー保護の観点から以下、割愛)
ーこんなに大川総裁が打ち解けて下さるとは、とても嬉しく思います。
「あに言ってんだよ。もっとエロい話しは幾らでもあんだよ。打ち解けた内には入らねぇよ。どーせよ、こんなもん誰も読まねぇんだから、何だって話してやらぁ。」
ー有難うございます。
「馬鹿にされてて有難う、っておめぇホントに馬鹿だな。」
ーやはり「英雄、色を好む」と申しますので…。
「そういう事、そういう事。ナポレオンとアレキサンダーを足したよりも偉いんだから、当然だよ。そのオレが、何で今の日本のクソくだらねぇ道徳観念に縛られなきゃならねぇんだよ。冗談じゃねーぜ。好きにやらせろってんだ。」
ー全くそうですね。それにしても総裁は本当にブレ幅の大きい方ですね。
「そんなの決まってんだろ、天使から悪魔まで全部付き合いがあんだから、細かい事なんかいちいち構っちゃいられねぇんだよ。そうだ、Y組の有名組長とかアルカポネとか、なんだったらルシフェルをここへ呼んでやっても良いんだぜ。」
ーいや、流石にそれは…。
「はっ、肝っ玉が小せぇなぁ。ルシフェルなんかおもしれぇー奴なのに。」
ーそういう事ではなくて、霊媒師が呼び出した霊が、さらに別の霊を呼び出すというのは、ちょっと複雑すぎて支障が出そうですので。言ってみれば、仮想化したOSの上で更に別のOSを起動させるようで、いつの間にかライセンス違反を起こしてしまうような事態では、と思うのですが。
「ハハハ、おもしれぇー事言うじゃねぇか。まぁいいや。」
ー本日は、わざわざお越し頂き、有難うございました。
「何だよ、呼びつけておいて、もう終わりかよ。」
ー他のお仕事に差し障りがあるといけませんので…。
「大丈夫だよ、オレの代わりに他の霊がオレの体に入って仕事してっからよ、ダイジョーブ。」
ーそんな器用な事が出来るんですか?
「当ったり前だろ。それじゃなきゃこんな商売できるかってんだ。おっそうだ、こいつ(大川隆鵬を降霊している霊媒師)、酒は飲めるんだろ?」
ーはい、まぁ普通には…。
「このまま飲みに行こうぜ。タクシー呼べや。ここはどこだ?」
ー阿佐ヶ谷ですが。
「なんだ、そんなド田舎に呼び出しやがったのか。」
ーいえ、そんな田舎では…。
「六本木によ、店持たせてんだ。そこへ行こうぜ。いくら飲んでも元の体に帰ればスッキリすんだから、こんな便利な事はないな。ハハハ。」
ーそう言われましても…。
「なんだ、支払いが心配なのか?ハハハ、オレの店だから気にすんなよ。」
ー先方からすると一見の客で、アカの他人ですよね。
「オレの店だけどな、ハハハ。飲むだけ飲んで、オレだけ帰っちまうのも面白いか、ハハハ。そうだ、酔っぱらってケンカしても、捕まるのオレじゃないな。」
ーこの者はまだ逮捕歴はないのでご勘弁下さい。
「何だよ、オレには逮捕歴があるみたいじゃないか。おっ、酒もいいけどよ、女はもっと面白そうだな。そーだそーだ、違う感覚が楽しめるぞ!これだ、これ!」
ー総裁、何だか楽しそうですね。
「おぅ、ワクワクしてきたぜ。そりゃオレにだってストレスはあってよ、言いたいこと言ってる様に見えても、我慢してんだぜ。他所の教団のヤツらが文句言いに来たりすっとよ、おめぇらの商売が下手なだけだろ!って言ってやりてぇんだが、止めてんだ。税金払ってるようなバカと一緒にされたくねえのによ。」
ーあれ、総裁、過去世に王族であられた方の物言いとは思えませんが。
「何言ってんだよ、幸福の化学は国家より偉いんだよ。日本が潰れたってオレらは繁栄してくんだから。オレが税金払うんじゃあべこべだ、日本がオレに税金払えってんだよ。」
ーそういう事ですか。少し理解できました。幸福の化学がメタ国家、という理解で宜しいでしょうか。
「宜しいんじゃない?それよりよ、ウチの幹部の女でよ、いいナオンが居んだがよ、そいつが何を勘違いしたか身持ちが堅くてよ、やらせねぇんだよ。そいつのマンションの合い鍵を作って持ってっからよ、今からその鍵取りに行って押しかけようぜ!」
ー何をされるお積もりですか?
「決まってるじゃねぇか。押し入ってやっちまうんだよ。」
ーそれじゃ強姦じゃないですか。
「オレがオレの体でやる訳にいかないけどよ、こいつなら大丈夫!」
ー総裁、大丈夫じゃないですよ。それこそ犯罪で、この者が逮捕されるじゃありませんか。
「良いか、こうゆう事だ。今の日本は強姦は親告罪だ。あのナオンがサツに駆け込まなきゃいいのさ。やった後でよ、オレが帰って、そいつに本社で会うだろ、どうしたんだ?何か有ったのか?私に隠し事をしても駄目だよ、と声を掛けるだろ、それから執務室に呼んで、話しを聞くわけだ。すると昨晩、突然こんな男が押し入ってきて襲われたんです、って告白する訳だな。するとオレが、これはお前のカルマを清める為に、エルカンタービレ様が思し召し下さったのだ、と言えばよ、そいつは涙を流して喜ぶ、ってぇ寸法さ!オレもそいつもウィンウィンだ!ガハハハ!」
ー総裁、それはあんまりじゃありませんか。人の道としてどうかと思いますが。
「何だよ、オレに意見するつもりかよ?!」
ーいえいえ、総裁は人類でこの上ない尊い霊であると存知上げております。
「何だよ、いやに謙りやがって、お前の魂引っこ抜いて、入り込んでよ、やりたい放題やってやっても良いだぜ。ハハハハ。」
ーそんな事まで出来るんですか?
「そうだね、プル式の降霊しか知らねぇだろうけど、プッシュ式だって出来るんだ。」
ー成る程。悪霊が憑依するのと同じ事ですね。
「違うわ。あれは大概自分で呼び込んでるんだから、あんなのと一緒にすんなや。」
ーそうですか、勉強になりました。
「おっ、やべぇ!」
ーどうされましたか?
「ウチのヤツが帰って来やがった。」
ー何がいけないのですか?
「他の霊に仕事させてるのがカミさんにばれちまう。後でとっちめられちまうわ。」
ーいや、総裁ともあろう方でも、おカミさんには分が悪いのですか?
「あーまずいまずい、今から帰るわ。」
ーでは、本日は大川隆鵬総裁、有難う…。
「違う、違う。」
ー、のお知り合いの方、お越し頂き、有難うございました。
「おっ、またな、今度は急に呼ぶんじゃねぇぞ。電話してからにしろよ。次は遊びに行っからよ。準備しとけよ!あばよ!」