恋さえも知らないまま
恋さえも 知らないまま
散るは 秋の花の定めと知っても
激しくて 胸の奥で 疼く
彼の 夢の名残よ
地図だけを頼りに 歩いてきた この旅路の傷跡
降りやまない 季節の涙とともに 消え去ったファンタジー
なぜか感情さえも コントロールして 抑えちゃうんだ
それだから 目隠しの夜も また訪れるんだろう
恋さえも 知らないまま
無くす心 陰る光とともに
差し伸べた 掌は
深く 嘆き 夜闇に霞むよ
痛みだけ やけに感じる夜明けに 明日さえも見えない
「前を見て」 そう諭されても 僕の心を 覆うブラインド
母も兄も遠退いて 父の厳しさも消えて
これが自由というならば それは 辿った道の罪深さ
恋さえも 知らないまま
極彩色に 彩れた過去も
名前のない 人たちの
記憶も 掠れ もう二度と戻れないよ
夜更けにて 舞い降りた
やけに悲しい 叙事詩の終わりよ
恋さえも 知らないまま
強い激情に 後押しされたミステイク
夢のあとに 実る 稲穂
僕が 受けることのない収穫の秋よ
過ちと傷は どうしようもない
二人だけでは 力になれない
人々は 声もなく去っていく
空虚のあとの 気怠さよ
そのまま僕を 空に連れ去って
出来るならば 全てを消して
痕跡さえも 残さずに
僕の生涯は 終わっていく
それはそれで 構わない
いつも 終わりは切ないもの
恋さえも知らないまま
散るは 秋の花の定めと知っても
舞い上がる 天使の羽根
千切れ もがれ 最後の煌めきを