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a shame married couple  作者: コシピカリ
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〜side柚稀〜


あー、頭がズキズキ。二日酔いするほど、私昨日の打ち上げで飲んだっけ?


体の節々も痛い。


「ーーーーい、おい」


肩を不意に叩かれ、「はいぃっ⁈」と変な声を出してしまう。


叩いた本人、瀬田は、そんな私に逆に驚いた。


「そんな驚くなよ、俺が驚く」


「ああ、はいすみません。何の用ですか」


「一昨日の会議の資料、作ったのお前だよな?あれ評判高かったんだよ。また頼んで良いか?」


そう言って渡してきたのは、次の会議の内容の書類。


一昨日の会議の資料。

駅前に新築オープンする、有名チェーン店の内装工事。

どんなコンセプトの案があるのか、どこの業者が良いのか。利用するであろう客層の予想。


あれは確かに私、頑張った!褒めでもらえる出来だ。


「またやらせていただけるんですか?喜んで!というかやらせてください」


塵も積もれば山となる。


会議の資料作りだって、上に気に入ってもらえば出世の第一歩。


「あれ以上のを作りますから!」


ドンと自分の胸を叩き、少しよろける。強く叩きすぎた……。


「お前、大丈夫か?」


「大丈夫ですよ、何言ってるんですか。悪いと言えば、二日酔いで頭ズキズキってことぐらいです」


途端に瀬田の顔が険しくなる。


部長って顔しかめても綺麗。羨ましいなーーーーボーッと 、そんなことを考える。


「ーーーーうわっ、部長⁈」


我に返ると、羨ましい顔がすぐ目の前に。

身をのけぞらせようとするよりも速く、瀬田が私の頭を抑えた。


「部長?」


「お前なぁ……」


瀬田の手が私のおデコに触れ、それから強烈なデコピンが一回。


痛みに頭を抱えると、 瀬田は私に渡した書類を取り返した。


「熱あんじゃねーか、バカ。今日は帰って寝ろ」


「熱……」


頭がズキズキするのは、熱のせいだったのか。そういえば、寒気も少々……


冗談じゃない。


「大丈夫です書類ください部長」


「大丈夫じゃねーだろ」


大丈夫ですから本当に!


もう10月だ。龍也の受験が迫ってきている。

料理は龍也がやっているけれど、洗濯も掃除も、今では私の仕事。


そんな中、私がダウンしたら龍也に迷惑しかかけないのは目に見えている。


というか。


移してしまう可能性だってある。

ならば、なるべく一緒にいない方が良い。私の菌も、家に持ち込まない方が良い。


これ以上、龍也のお荷物になるなんてごめんだ。


「顔赤いぞ、さっきも熱かったし。今日は本当に帰れ」


「大丈夫ですっ」


「……とりゃっ」


再びデコピン。

さっきより、大分強い。


「何するんですかっ」


押さえる手を瀬田が掴んで、私を引っ張る。


「来い」


「あ、部長っ⁈」


連れてこられた先は、応接室。

今日は確か、誰かが使う予定も無い。


そこのソファに、私は横になっている。


「1人で帰れそうか」


「帰りませんてば」


「無理すんな」


瀬田が熱を測るように、おデコに手を乗せる。


大きくて、冷たい。


横になると実感する、体のだるさ、痛み、辛さ。


「帰れなさそうだな」


「……すいません」


「謝んな。俺が送ってやっても良いんだけど、どうする?」


「え、それは悪いです……」


第一、瀬田はまだ仕事中だ。私より仕事を優先しなければならない。


あー、体は熱いのに寒い。


「旦那に迎えに 来てもらうか?」


「……ん、はぃ?」


ボーッとする。

今ここは会社で、私はーーーー


「おい、やっぱ重症なんじゃねーか」


あ、冷たいのが気持ちいい。

なんだろう、この冷たいの。



「……あーマジ勘弁」


誰かが何かを言ったのが聞こえた。


それを最後に、私は意識を手放した。

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