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a shame married couple  作者: コシピカリ
59/60

サプライズ 4

〜side龍也〜



「ただいーーーー」


「お帰りっ、龍也」


ただいまと言い終わらないうちに、柚稀が満面の笑みを浮かべて出迎えてくれた。


「お疲れ、模試どうだった?今日暑かったけど、会場って冷房つくの?あ、お風呂沸かしておいたの、ゆっくり浸かってね」


俺が言葉を挟む間も無いまま、次々と質問をして、最終的には俺を風呂場へ追い込む柚稀。


いつもなら、こんなに急かさないのに。


怪しい。


「何かやらかしたのか?」


「やらかすって、何それ。信用無いんだ、私って」


「まあ、そうだな」


「さっさと風呂行け」


ラベンダーの香りの入浴剤入れておいたよ、という柚稀の言葉を背中で聞き。


脱衣所から柚稀が出て行ったのを確認してから服を脱ぐ。


風呂場に入ると、確かにラベンダーの良に香りがする。


浴槽に体を沈め、思い切り湯に浸かる。


程よい温度の湯と、ラベンダーの香りは、模試で疲れた頭を癒やしてくれる。


至福の一時。


ここに酒があればさらに良いんだけどな、なんて考えて。


夕飯の支度をしなくてはならないことを思い出す。


急いで出ると、柚稀が驚いた顔をした。


「えっ、もう出てきたの?早いんだけど、ちゃんと浸かった?」


「浸かったよ、けど夕飯の支度があるから」


そう言うと、柚稀がもうっ、と顔を膨らませた。

ふぐみたいだなと思ったが、さすがにそれは言わない。


「模試で疲れてる時ぐらい、気にしなくて良いのに」


「人が生きるのに欠かせないだろ、食は」


「スケールでか」


「いーから、そこどけ」


キッチンの前に立ちはだかる柚稀を何とか押し退け、冷蔵庫を開ける。


「……何だコレ」


中にあったのは、見憶えの無いラップのされたハンバーグと器に入っているスープ。


よく見ると、作りかけのサラダもある。


「あーもうっ。龍也がお風呂入ってる時に並べて驚かそうと思ったのに!早く出てくる龍也が悪いんだ」


「柚稀が作ったのか?」


「そう!」


そっぽを向く柚稀は、顔を真っ赤にしている。


それが、無性にかわいくて、愛しくて。


「ありがとな」


「べ、別にっ」


「じゃ、並べるか。へぇ、焦げてないじゃん。すごいすごい」


バレないように、ふざけるしかなくて。


「味は保証する。羽田さんと作ったの」


「へぇ、じゃあ後でお礼行かないとな」


「うん」


ハンバーグは、レストランで食べるような凝ったものでは無いけど。


そんなものよりも、ずっと美味しかった。



「あ〜あ、結局サプライズ失敗かぁ」


「いやいや、驚いたよ」


「本当?でもそっか、冷蔵庫にいきなりハンバーグが入ってるんだもんね」


「まあ、な」


それもあるけど。


柚稀が、わざわざ大嫌いな、大の苦手とする料理を、俺のためにしてくれるなんて。


それが、一番の驚き。


それでいて、もの凄く嬉しい。


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