サプライズ 3
〜side柚稀〜
「卵をいれて。溶いたの全部入れて大丈夫だから。それからこねる」
そうそう、と羽田さんが教えてくれる。
怒鳴る龍也とは大違い。料理って、こんなに静かに出来るんだ。
「こねたら次は形成。平べったくしてから、こう」
パンパンと右手から左手、左手から右手へとお手玉のように持ち替える。
「空気を抜くんですよね!」
「そうよ、これで完成。あとは焼くだけ」
パンパン。
羽田さんみたいに、うまくやりたいんだけど。
「力入れすぎね」
楽にして、と言われるけど。
それが難しい。
なんとか様になったけれど、羽田さんのと比べると雲泥の差。
「まあ、良いんじゃない?龍也くんなら、食べてくれるわよ」
「そうなんですけど……」
真っ黒焦げの、初めて作ったハンバーグを、龍也は文句を言いながらも食べてくれた。
だから、今回も食べてくれるとは思うんだけど……
でもやっぱり、美味しいのを食べさせてあげたい。
「どうですかっ」
「ーーーー合格よ」
羽田さんにOKをもらい、ハンバーグは焼くだけ。
私1人だと、こんなスムーズにはいかなかった。
「あとは、何を作ろうかしらねぇ」
羽田さんが冷蔵庫の中を吟味している時、私は小学生がせやるみたいに思いっきり右手を挙げた。
「私にも作れちゃう、でもすっごい美味しいスープがありますっ」
「あら、そうなの。どんなもの?」
「私は今日はゴボウなんですけど。ゴボウを切って、ミキサーに入れるんです。それに牛乳と生クリームでなめらかにするんです。栄養満点野菜スープです」
「本当、美味しそうだし簡単そうね。やってみましょうかしら」
「材料ありますっ」
私がゴボウ刻むわね、と羽田さん。
信用されてないんだなって思うけど、私だって危ないことはしたくない。
お言葉に甘えて、私は見るだけにする。
「牛乳と生クリームはこれくらい?」
「お好みですけど、前はそれぐらいでした」
「じゃ、これで良いわ」
スイッチを押して、本当にすぐ。
栄養満点野菜スープが出来上がった。
「ハンバーグも焼きましょうかね」
「はーい」
羽田さんが手際よく、形成されたハンバーグを焼く。
焦げ目がついて、良い匂いが充満する。
「はい、柚稀さん。龍也くん、喜んでくれると良いわね」
羽田さん宅から出る時に、焼いたハンバーグとスープをタッパーに入れて渡してくれた。
「はい!今日は本当にありがとうございました」
「良いのよ。あのね、私たち子供が遠くにいてね、中々会うことが出来ないのよ。だから今日は楽しかったわ。ありがとう」
またお料理しましょうね、と羽田さんが言ってくれた。
「はい!」
龍也、はやく帰ってきてよ。
私の作ったハンバーグ食べながら、話したいことがたくさん出来たよ。
はやく、お帰りって言いたい。




