男どもの昼食 2
〜side龍也〜
「美羽に言ったんだよ、龍也が奥さんを選んだ意味を考えろって。結婚までした相手なんだぞって」
「で?」
「でも諦めないって言うんだよ。何言ってもその一点張りだから、いい加減にしろって言ったら、キレられた」
ああ。
目に浮かぶ。
『衛くんなんか嫌いっ』
そう癇癪気味に叫ぶ美羽。それが嫌いなんだ。
「それをさ、あいつの家でやっちゃったんだよ。居心地悪くなった美羽の捨てゼリフ、何だと思う?しばらく龍也さんのとこに行くから!家に帰らないから!だよ」
……やめてくれ。
本当にやめてくれ。俺のことをまだ好きならば、すぐに分かることなのに。
結局美羽は、自分しか見えてないんだ。
「本当に悪い。美羽が行ったら、すぐ迎えに行くから連絡してくれ」
「……お前は」
隣で深い溜め息をついている笠原に、顔を向けずに尋ねる。
「美羽に、自分の気持ち伝えてんの?」
途端に笠原がむせ始める。カツが喉にひっかかったのか、急いで水を流し込む。
「何言ってんだよ」
「好きなんだろ、美羽が。従姉妹にしちゃ、やけに気にしすぎだし過保護」
「……」
その無言が答えだった。
笠原はさっきとは違う種類の溜め息をもう一つつく。
「俺が守ってやりたいって思ってる。でも美羽は知らないぜ、言ってないからな。ずっとお前の嫁になるって言ってたし、お前相手なら仕方ないって思ってたし」
「それは昔だ。今は違う、俺には柚稀がいる。美羽を振り向かせるなら今だぞ。幸い、従姉妹だし一番近いとこにいるのはお前だ」
笠原は見た目が少々チャラいが、優しくて良い奴だ。
俺の夢を理解してくれているし、味方でいてくれるし、何より親友の様な奴だ。
笠原のことはよく知っている。こいつなら、美羽を全力で幸せにするだろうから。
「告白しろよ。従姉妹を理由に逃げんな。一人の男として、真剣に向かい合えよ」
好きだと伝えられる位置にいるなら。
言っちまえよ。
大好きだって。
言えない奴だっているんだから。




