ディナー 2
〜side柚稀〜
「あっ、これおいしい!これもー」
「まだ頼むか」
「えっ、じゃあこの玉子焼きもっ」
「おーけー」
苦笑する瀬田に構わず、箸を動かす私。
視線は目の前のおいしーいご馳走に釘づけのまま。
「っは〜〜、おいしい!いやー、本当良いお店知ってますね」
「うまそーに食って、うまそーに飲むなぁ、お前」
目を細めて私を見る瀬田に、えへへと頭をかく。
「久しぶりのお酒と外食なんでー。飲むと食もすすむと言うか」
「なんで酒禁止なんだ?」
「いや、一回手酷く酔ってしまいまして。それで、素面じゃ絶対にやらないことやったんですよ」
「へぇ。何やらかしたんだ?」
興味津々に尋ねてくる瀬田だが、それを教えることなんて出来ない。
まさか、酔った勢いで初対面だった龍也と結婚しました、なんて。
「えへへへ」
笑って誤魔化す私に、瀬田が眉をひそめる。
「本当にうまくやってんだな?」
「それは大丈夫ですっ、本当に」
ただ何かあるとすればそれは、自分の気持ちを隠すこと。
好きだって気づかれないようにすること。
それ以外は、本当に問題ない。
「前押しかけてきた子はどうなった?」
「今旦那と話し合ってるはずですよ。よく話しあうって」
「……不安じゃないのか?」
「へ?」
今までの緩い空気から、いきなり何だかシリアスな空気になる。
瀬田が、真面目な顔するからだ。
「旦那が、若い女の子といるんだぞ。嫌じゃないのか?」
「えっ、いやでも、話しあえって言ったの私ですし」
「辛かったり泣きたくなったりなったら、いつでも俺に言えよ。いつでも、甘やかせてやるからな」
「課長……」
まじまじと、瀬田の顔を見る。
「なんか、お父さんみたいですねっ」
素直にそう述べると、瀬田はガックリと肩を落とした。
「お前って、そーゆー奴だよな……」
瀬田が大きくため息をついたが、その理由は瀬田しか知らない。




