話し合い 2
〜side龍也〜
教えてくださいと、美羽がうったえかけてくる。
「選ぶよ、俺は柚稀を」
しっかりと、美羽の目を見て言う。
美羽は幼い頃から、俺の嫁になることを言い聞かされてきた。
その頃から成長した今でも 、そうなんだと思っている。
だから、美羽には言ってあげなくてはならない。
「美羽、お前は視野が狭いよ。俺が好きというよりは、俺しか知らないだけだろ」
「私は龍也さんだけです」
「親に言われたから?」
「それもあるけど、でも違う。龍也さんが好きなんです」
「自分で選んだわけでもないのに?美羽、お前は本当に好きな奴に会ってないだけなんだよ」
そんな、と美羽の顔が泣きそうになる。
「私、龍也さんが大好きなのに……」
美羽が俯いた時、失礼しますとウエイトレスが料理を運んできた。
きのこのクリームスパゲッティが目の前に置かれる。
目の前には、泣きそうな美羽がいるというのに。
俺は、柚稀はご飯はどうしているのだろうか、など考えてしまった。
「私、魅力無いですか?」
「あるよ。ただ、その魅力は人それぞれってだけ。美羽の魅力は、他の奴から見たら良いと思う」
「柚稀さんの魅力は、どこですか」
聞かれて、少し言葉に詰まる。
それでも 、次の瞬間には言葉が出てきた。
「俺の料理をうまいって幸せそうに食べるとことか、バカみたいに不器用なとことか、仕事に対して一直線なとこ」
ああ、俺、こんなこと思ってだんだ。自分で話しておきながら、驚いてしまう。
美羽は悲しそうに、小さく微笑んだ。
「私は、柚稀さんみたいにはなれない」
「美羽は美羽だ、どうやったって柚稀にはなれない。美羽を好きだって言ってくれる奴に、目向けてやれよ」
「……」
美羽は何も言わずに、パスタを一口。
「美羽、もっと周りを見てみろよ。今までとは違うものが、絶対に見えるからさ」
「でも、ずっと好きだったの。告白されたことはあるの 。でも龍也さんの方が好きだから、断ってたの。
龍也さんにとって、私は要らないことが分かった。柚稀さんのことが大好きなんだって、嫌だけど認めます。
分かったけど、認めるけど。でもね、龍也さん。私、そんな簡単に諦められない。
龍也さんにとって迷惑だとは思うけど、良いでしょう?これくらい。私に黙って結婚したんだから」
それを言われてしまったら。
美羽には一切の断りも連絡も無く、柚稀と結婚したことを言われたら。
世間的に見てもどう見ても、非があるのは婚約者じゃない女と結婚した俺の方で。
「……俺は柚稀が好きだ。柚稀に迷惑をかけなければ、あとはどうしたって良い。それだけは、覚えておいてくれ」
美羽は寂しそうに、悲しそうに、それでいながらどこか嬉しそうに笑った。




