わかっちゃった
~side柚稀~
「ね~ぇ、柚稀。あんた、ちょっと最近キレイになったんじゃないの?」
「え、本当?」
部署が違うものの、同期で仲の良い皐月がカウンターにビールを置いて言った。
龍也が送迎・炊事をしてくれるようになってから、めっきり外食をしなくなった私。
今日は龍也は勉強に集中したいとのことで、私は久しぶりの外食なのだ!
クルリとパスタを巻いたフォークを持ったまま、皐月を見る。
「うん、なんて言うか……なんだろう、中からキレイって感じ?」
「んー?中から、ねぇ」
体の中、と言えば……
「最近、しっかり三食とってるよ」
「あんたが⁈」
目を剥く皐月。
うん、よく私のことを知っているな。
「龍也がしっかり考えて、作ってくれてる。それかも」
「龍也って、旦那だっけ」
うん、と頷くと、皐月は「はぁ〜」と凄いものを見るように私ん眺めた。
「あんたの旦那、いたれ尽くせりだね。大変だな、あんたの旦那」
「え〜?私、好き嫌いないから楽だと思うけど」
「あんたの世話すんのが、よ」
ジロリ。
そんな音が聞こえそうな皐月の目。
「そんなこと無い。龍也の手伝いは少しならやるし。
この前なんか、煮詰まってる龍也を散歩に誘ったのは私なんだからね」
ギブ&テイク。
すばらしい。
「健人くんと別れたって聞いた時は、大丈夫かなって思ったんだけど。
しっかり旦那を捕まえちゃって」
「はは」
「やけくそかな、とか、しばらく人嫌いになるかなって心配したんだけど。
今日の柚稀見て、安心した。旦那のこと、ちゃんと好きなんだね」
微笑む皐月の言葉に、私は感動しながら首を傾げる。
「好き?誰が、誰を?」
「柚稀が、旦那を」
呆れた顔をしてから、皐月が笑う。
「だからかー、柚稀がキレイになってたのは。
好きな人がいると人は変わるからなー」
ニヤニヤする皐月。
ポカンとしている私の顔が、次第に赤くなるのが自分でも分かる。
「なななな、なにを……」
「んー?自覚ないのー?」
たまに、ドキリとすることもあるけど。
でも、私達は恋愛感情が無いから結婚した訳で。
恋愛感情なんて、無い無い無い無い!
「龍也が笑っていると、私は楽しい。一緒に散歩したり、馬鹿話するのは好きだけど。
でも、それは恋愛とかじゃないよ?」
「惚気んじゃねぇわよ」
バサリッ。
皐月が私の言葉を一刀両断した。
「好きじゃないそれ、恋愛ですよ十分!あー、私も欲しいわ旦那」
……やばい、どうしよう。
好きって意識しただけで、顔が熱い。
火照っている。
「皐月」
「何よ」
「私、龍也が好きぃ〜」
笑った時の顔とか、龍也の集中している時の顔とか。
たまに見せてくれる、頼りになる所とか。
全部、全部ひっくりめて龍也が好きなんだ。
「知ってるわよ」
うーわー。
好きだ、私。




