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a shame married couple  作者: コシピカリ
24/60

飲み会の前

〜side龍也〜




「渡部渡部、ニュースニュース!」

「あんだよ」


今日のノルマを終え、一息ついて早々。

笠原が、片手に何らかの書類を持って振り回しながらやって来た。


「俺の叔父さん、今日の飲み会に参加するってよ」


目を丸くして、笠原を見る。笠原の顔は至って真面目で、嘘をついてる様には見えない。


「絶対なんか訊かれて離されないぞ、お前。覚悟しとけ」



今井幸司。


笠原の叔父であり、また、俺の元婚約者の父親だ。つまり、笠原と元婚約者は従姉妹にあたるというわけだ。


今井幸司はジジイと仲が良く、並のちょい上ぐらいの顔をしているため、顔ファンが多い政治家だ。


俺の勤めているこの会社は、今井幸司が主な株主をしている。

株主が飲み会に参加するなんて聞いたことが無いが、株主には逆らえない。



「マジかよ知らなかったんだけど。今日行かなくて良いか?」


「それは諦めろ、わざわざメンバーチェックしたらしいぜ。

目当ては十中八九、お前だろ」


「マジかよ……」



まあ、わざわざ参加する理由はそれしか見当たらない気がするが。


俺の結婚を知った笠原は、それを何とか誤魔化してくれた。

バレたのは、ジジイが原因だろう。


「俺もこってり絞られたからな」


まあ頑張れよ、と無責任な言葉を残し、笠原は行ってしまった。



今井美羽。


まだ俺が幼い頃に、ジジイと今井幸司が勝手に決めた元婚約者。


別に、彼女が嫌いってわけじゃない。

髪は艶のある黒髪で、背中まである。顔も小さくて肌は白く、清楚な感じだ。


和服が特に合う大和撫子。まさに良家のお嬢様だ。

守ってやりたい、と思う男がたくさんいるのも頷ける。


おまけに笠原の従姉妹。


俺と婚約関係にあると知った笠原は「なかなかの物件だぞ、当たりくじ引いたな」と言った。


教養もあって、品があって、確かに当たりくじだ。


柚稀と違って、家事全般ができる。疲れて帰って来て、あたたかいご飯があるのは、幸せだろう。



ただ。



美羽は違う。美羽ではない。


一緒に生活しているところが、まったく想像できない。

したところで、楽しそうな気がしない。


何回か、付き合いで食事をした事はある。

話す事は彼女の身の回りのことばかりで、正直退屈で、疲れた。

息が詰まりそうだった。


美羽はそれに気づかず、俺に楽しそうに話しかける。



自慢でも自信過剰でも何だって言われてもしょうがないが、美羽は俺に好意を抱いている。


お嬢様だからか、今まで欲しいと思ったものは全て手に入れてきたという。

その執着心が俺に向かってくるのが、ヒシヒシと伝わってくる。



俺はそこまで美羽が好きではないし、何より、美羽と結婚したら政治家への道がより強くなる。


弁護士になりたい俺にとっては、ありえない未来なのだ。



もちろん、それに耳を傾けてくれる大人なんて、周りにはおらず。

唯一の味方である親父は、あまり頼りにならない。


久しぶりの飲み会なのに。


ノルマを早く終えた自分が、うらめしくなった。









あけましておめでとうございます!

拙い文章ですが、今年もおつきあいよろささくお願いいたします!

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