26 あの小娘、よりによって 〝おにいちゃん〟に喰われちまったw
「あ……あーっはっはっは!」
ネイギーは狂喜した。
あの小娘、よりによって
〝おにいちゃん〟に喰われちまった!
笑いが止まらない。
そうしていると、
ドラゴンが再び拳を振り上げてきた。
「おっと」
ゴーレムの両腕がそれを防御する。
がしゃぁんっと
ゴーレムの体が破損した。
しかし、ネイギーが念じるとたちまち元通りに戻っていく。
自分が居る限り
ゴーレムが負けることはない。
ドラゴンはどうせ、抽出し損ねた魔源の残りかすが動き出しただけだ。
冷静に考えればなんてことない。
変身はそう長くはもたないだろう。
「しかし……ふふふ……、
あーっはっはっはっはッ!!」
ざまあない。
これがバカの末路だと思うと、もうこれ以上の笑いのタネは思いつかなかった。
さっさと逃げればいいものを、戦って、めちゃくちゃにやられて、最後に護ろうとした男に喰われちまうとは。
あの男もそうだ。弱いくせに、無理するからわけのわからないものになって、妹を喰っちまった。
「どうしてもっと上手に
生きていけないんだろうね?
正真正銘のアホだよ!
あっはっはっは!!」
ネイギーは腹を抱えて笑った。
だめだ、お腹が痛い。
これはまずいな、
しばらく笑いっぱなしかもしれないぞ。
「くっくっく、最後に面白いものを見せてくれてありがとう、小さな捜査官さん。
ぷっ……はははははははははははは!!」
「そのイライラする笑い声、今すぐやめて」
「――――――っ!?」
ドラゴンの口が開く。
鋭い牙と牙の間に、
あの捜査官は立っていた。
「なんで……お前ッ!?」
「私のおにいちゃんを甘く見たわね」
捜査官のロッドが煌々と、はち切れんばかりに充電した雷を、まるで発射するのが待ちきれないといわんばかりに保有している。
小娘を口に隠し、時間を与えて充電させ、ゴーレムと術主に同時攻撃――。
「これが目的で……ッ!?」
ドラゴンが拳を叩き付けてくる。
足場を奪われたネイギーは空に逃げた。
その頭上を、恋慕のホウキが舞い上がる。
「ギィィィガァァァァァ――――ッ!」
「うおぉぉッ!?」
「サンダァァァァァァァァァァァッ!!」
グワシャァァァァ…………――――ンッ!!




