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子竜の進む異世界成り上がり  作者: 夜桜
第一章 強さを求め
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検証

俺は人間の住む「アクウェリウム」と言う国を目指して進んでいた。そして現在アクウェリウムの領地と俺が住んでいた魔の平原の境にある「隔絶の森」を歩いている。

「隔絶の森」とは人間国の領地と魔王達が支配する魔国を丁度両断するように聳えている森だ。その事からその名が着いた。

因みに俺の住んでた魔の平原は魔王ヴェへムートが支配する領土の最南端に位置している。

そして何故俺が歩いているかと言うと、住処で入手した武具の性能の確認と少しでも今の体に慣れる為だ。

隔絶の森はかなり危険な場所である。

生息する魔物の危険度は最低でも特A級以上。

この世界での基準はF、E、D、C、B、A、特A、S、特S、SS、特SS、SSS、特SSSの13段階評価に、魔王達を指す魔王級を加えた計14段階評価となる。つまりここに生息する魔物は最低でも上から7番目以上に位置する凶悪な魔物ばかりと言うわけだ。それ故、人間達も魔王達もうかつには手を出せ無い。だからこそここが人間族と魔族との境界線となっているのだ。

この世界は東西南北、全てに人族と魔族の領域を区切る場所がある。東の「隔絶の森」西の「死滅海」南の「無限廻廊」そして北の「終焉火山」。これらの全てが凶悪な魔物が跋扈する危険度特SSSランク指定の場所である。特に北の終焉火山と南の無限廻廊には名持ち(ネームド)の特SS級である父さんですら勝てない特SSS級の魔物が生息しているらしい。しかもその特SSS級の魔物は同じ特SSS級の中でも最上位に位置し、魔王に匹敵すると言われているらしい。そんな所で鍛錬するつもりなど無いので、無難にここ、隔絶の森にした。特A級の魔物なら今の俺でも何とか勝てる……と思う。

因みにそんな俺の今の装備はこうだ。


ーーーーーーーーーー

主武器: 竜神刀 神級


副武器: 星屑の短剣 A級


鎧: ナイトメアコート 特A級


服: 宵闇の服 特A級


腰: ダメージイーター B級

アイテムポーチ(無限) SS級


足: ダークネストラウサー S級


靴: ムーンライトブーツ 特S級

ーーーーーーーーーー


父さんは昔、かなりの数のダンジョンに挑んでいたそうで、そのおかげでかなり充実した装備が手に入った。特に「宵闇の服」と「ダークネストラウサー」は多少の傷や汚れは自動で直したり落としたりしてくれる便利な代物だった。

父さんは魔人では無かったから人間の服の類を全くと言って持って無かった。だからこの二つが見付かった事はかなりの僥倖であり、思わず安堵の息を吐いてしまった程だ。全裸での装備とか流石に嫌すぎる。宝箱に入ったままだったから多分入手したのはいいけど使い道が無く、そのまま放置されていたのだと思う。父さんそう言うとこはかなり適当だったし。


「とにかくまずは身体能力に慣れないとだな……」


そう考えたところで、丁度良く一匹の魔物が現れた。俺はすぐさま武具を探している際使った特殊スキル「完全解析」を使用した。今回はこの体に慣れると同時父さんを喰らった際手に入れたスキルの検証もするつもりだった。


ーーーーーーーーーー

グレンウルフ・・・獣型。群れ作らず、産まれて間も無い時と繁殖の時以外は一匹で行動する特殊な狼型の魔物。特A級。

ーーーーーーーーーー


グレンウルフは俺を視界に入れると同時に跳び掛かって来た。俺はそれを特殊スキル「思考加速」により100倍まで引き上げられた思考で相手を観察し、余裕を持って躱す。


「なるほど、「思考加速」は俺の知覚速度を100倍まで引き上げてくれるのか。いや、慣れればもっと引き上げられるっぽいな……でもそれには俺自身がそれに耐えられるように成長しなくちゃいけないんだろうな」


俺が呟いていると、標的を失ったグレンウルフが俺に向き直り再び跳び掛かって来た。しかし今度は周囲の木々を利用して立体的に動いて翻弄しながらだ。

俺は再び思考を100倍まで引き上げてグレンウルフと次に足掛けるつもりらしい木の間に移動して、すれ違い様に首を切り落とす。


「ふむ……そして俺の肉体は100倍の速度でも動く事が可能、と」


俺は考察しつつ首を失ったグレンウルフをアイテムポーチにしまい、次の敵を探して再び森を歩く。すると暫くしたら何やら争っているらしき音が聞こえて来た。俺はその音の正体を確かめようと出来るだけ気配を殺して音のする方向へ移動する。


「うわっ、何だよこれ……」


今俺の視界では二匹の魔物が争っている。しかしその規模が尋常じゃない。

太い木々はまるで棒切れのようにへし折られ、巨大な岩だったと思われる物は粉々に砕け、地面には幾つもの巨大なクレーターが今も製造されていた。そして極め付けはその魔物達の攻撃の速度だ。その攻撃の音はまるで小規模な隕石を錯覚させるほど重く、鋭く、早い。


(おいおい、マジかよ……なんつー攻撃力してるんだあいつら……)


俺は内心呟き、「完全解析」で二匹を見る。


ーーーーーーーーーー

バーサークベアー・・・獣型。巨大な体から繰り出される一撃は岩をも砕き、その足は爆発的加速を可能とさせる力を持つ熊型の魔物。特S級。

ーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーー

ディザスターリザード・・・竜型。素早い動きで獲物を翻弄して、相手を疲れさしたところで襲いかかる竜型の魔物。見た目によらず力も強い。特S級。

ーーーーーーーーーー


特S級か……父さんは特SS級の名持ち(ネームド)だったからそれより弱いのは確かだ。しかしそれはあくまで父さんならばの話。今の俺からしたらこの二匹は勝てるかどうか微妙な奴等だ。俺は既に二回の進化を得た名持ち(ネームド)の魔人だが、まだ生まれてたった4年程。圧倒的に経験が足りてない。


(奴等は幸い俺に気付いていない……なら逃げるか?……いや、ここで逃げてちゃ魔王に何かに届くわけが無い……それに奴等は今戦いで弱っている筈……奴等を殺るなら今しかない!)


俺は隠れていた場所を飛び出し、瞬時に思考を100倍に引き上げ、竜神刀を構える。

俺の存在に一早く気付き咄嗟に回避をするディザスターリザードだったが、それはバーサークベアーにより阻まれ、動きが一瞬止まる。俺はそこに瞬時に飛び込みディザスターリザードの体を刀の性能に物を言わせて真っ二つにする。そこで漸く俺の存在に気付いたらしいバーサークベアーが足に魔力を纏い一瞬にして距離を詰めて来た。俺はそれを距離を詰めて来たバーサークベアーの体の上を転がるようにして回避、そのまま背中越しでバーサークベアーの頭目掛けて竜神刀を振り下ろす。それはしっかりとバーサークベアーの頭を捉え、そのまま重量に従い胴体までも切り裂き絶命させる。


「ふぅ……なんとか勝てた……正直最初ディザスターリザードに気付かれた時は焦ったな……幸いな事にバーサークベアーのおかげで変に対応されずに倒せた……」


正直武器の性能に頼っただけの雑な戦闘だったので、真正面から戦ったらどうなってたかは分からないが、一応勝ちと言っていいだろう。

俺は周囲に充満する血の匂いに顔を顰めながら呟く。そして倒したディザスターリザードとバーサークベアーをアイテムポーチに入れて歩みを進める。

その後も順調に数々の魔物を倒しながら進んだが、気付いたらもう夜になっていた。隔絶の森は昼でも暗いのでこうしてしっかりと注意しないと昼と夜の区別がつかない。


「もう夜か……今日一日で結構な数戦ったし、この体にもある程度は慣れたかな……」


俺は森の中心部の開けた場所で休む事にした。ここなら敵が来ても十分に戦える。

俺は今日狩った獲物のうちで最も多いグレンウルフを今夜の食事にする事にした。ただしこのままでは2メートル程もあるグレンウルフを食べるのにかなり不便なので竜化をして体を8メートル程の暗黒竜(ネオ・ダークネスドラゴン)に変えて食べる事にした。


「さて、とグレンウルフからは何を獲得出来るかな」


期待を胸に「弱肉強食」を発動してグレンウルフを食らい付きいきおいよく補食する。


『グレンウルフの補食を確認しました。スキル「嗅覚上昇」を獲得しました』


すると何時ものように無機質な声の世界の概念が新たな能力の獲得を教えてくれた。


「「嗅覚上昇」か……中々使えそうなスキルが手に入ったな」


俺は二匹目のグレンウルフ食べながら呟く。やはり二匹目からは能力の獲得は無かった。まあこれは弱肉強食の説明にもあったし分かり切った事だったが。

結局この後グレンウルフを更に二匹程食べて、計四匹のグレンウルフが俺の胃袋に収まった。能力は手に入らないが、身体能力等は向上したので無意味では無い。


食事を終えた俺は「闇魔法」で自分の気配を消し近くに倒れてあった木に頭を掛けてリラックスしつつ、周囲の半径200メートルの範囲に「魔力把握」を張った。もし敵がこれに触れれば寝てても瞬時に起き上がり戦闘に移れる。そう思い安心しながら俺は眠りについた。


ーーーーーーーーーー

Name: ガドウ


Rece: 暗黒竜(ネオ・ダークネスドラゴン)(魔人)


Special: 「弱肉強食」「思考加速」「並列思考」「完全解析」


Skill: 「闇魔法」「竜覇気」「魔力把握」「嗅覚上昇」・・・New!


Divin: 「ガリオンの寵愛」「竜神の加護」


Gift: 「王種の種」「王種の証」「進化の苗木」

ーーーーーーーーーー

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