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子竜の進む異世界成り上がり  作者: 夜桜
二章 進出、人類領域
23/55

決着

「グルァ‼︎」


俺の変身後、最初に動いたのはトウテツだった。

角に膨大な魔力が収束されて行き、遭遇した時いきなり放たれたあの雷が再び俺へと迫り来る。

その時俺は自らの変化に呆然としていた為反応が遅れてしまい、その一撃の直撃を喰らってしまった。


「しまった⁉︎」


焦ったところで後の祭り。俺は大きなダメージを受ける事を覚悟した。しかし……


「……って?あ?痛みが無いぞ?」


トウテツの雷は間違い無く俺へと当たった。しかしその当人である俺にはダメージどころか痛みすらも無く、寧ろ力が湧いて来るように感じた。


「これは……トウテツの攻撃を吸収した……?」


「グルァァァ‼︎」


俺が呟くと、トウテツはそれに反応するかのようにブレスを放って来た。今度のは初めて見る技であり、どうやら炎属性の攻撃のようで、燃え盛る業火が俺を消し炭にせんと迫って来る。

それを俺は検証の為敢えてその攻撃を受ける事にした。今の状態ならこのブレスでダメージを喰らっても死ぬ事は無いだろう。


「うぐぅ!」


その結果俺はトウテツのブレスにより吹き飛ばされ、無限廻廊の壁に叩きつけられた。

ブレスを受けた部位には激痛が走り、見ると大きく爛れて骨が僅かに見えている。更に壁に叩きつけられた時の衝撃で身体中の骨が悲鳴を上げ、そのうち何本かは折れている感覚がした。


「カハッ!ハァ、ハァ……」


俺の血反吐で地面が赤く染まる。どうやらこの状態になった今でもトウテツの一撃には俺を致命傷に至らせる程の威力があるようだ。


「まぁそりゃそうか……種族的に少なくともランク5つ分は差があるんだもんな……どんな強力な物でもスキル一つでそれを覆せる訳が無いか……」


だがこれで分かった事が幾つかある。

先ず一つ目にトウテツの攻撃には俺を殺すだけの危険度がある。

次にこの状態の俺は混沌竜(カオスドラゴン)のランクより感覚的に2つは上がっている。

そして最後の三つ目はこの状態の俺が無効化出来る能力は雷属性だけであり、他の属性の攻撃は普段通りに通る。と言う事である。


「よし、能力は粗方把握した。行くぞトウテツ!」


傷は既に自動再生(オートリバース)で全て回復しており、ボロボロになった骨は元通りになり、爛れた部位も傷痕一つ無く綺麗に回復している。

俺は空へと飛び上がり、上空から神魔眼をトウテツの顔面に向けて発動させる。


「グルォウ⁉︎」


その攻撃はトウテツにダメージを与える事こそ叶わなかったが、トウテツの気を逸らすと言う役目は十分に果たしてくれた。


「《混沌ノ吐息》」


その隙に俺は混沌魔法を使い、それをブレスに乗せて放った。それは僅かでもダメージを与えられたらと思って放った攻撃だったが、結果としてそれは尋常じゃない被害を齎した。


「ーー⁉︎」


トウテツは俺の口に魔力が収束して行くのを感知した直後、全力で前方へ跳んだ。その距離なんと100メートル。強靭な足から繰り出される威力に地面は抉られ、トウテツが蹴った地面には30センチ程の深さの窪みが出来ていた。

しかし俺の口に収束されたブレスはそんな事などお構い無しに放たれ、敵であるトウテツを消し飛ばさんと猛威を振るう。そのブレスの威力は普段の比では無く、普段放つブレスの3倍もの大きさであった。

俺のブレスは地面に着弾するとそのまま着弾地点を消し飛ばしてしまった。


「やっべ⁉︎」


俺は慌ててブレスを中断させて天井付近まで飛び上がる。これはトウテツの反撃に備えてだったが、結果としてその必要は無かった。


「グルゥ……」


何故ならトウテツは俺を警戒して大きく距離を取ったからだ。

距離を取ったトウテツはこちらを睨み付けながら、俺がどんな行動を取っても直ぐに反応出来るようにと四肢に力を込めている。


「ふぅ……どうやらこの状態は身体能力や攻撃に対する耐性だけで無く、俺の魔力も大きく上昇させているようだな……いや、込める魔力量は普段通りにしたつもりだから魔力の伝導率を効率よくさせているのか……」


俺は冷静に今の状態を再認識し、戦闘方法を確立させて行く。この能力は一つ間違えば自らも傷付ける事となる。使い方はきちんとしなければ。


「取り敢えずこの能力の詳しい検証はまた今度やるとして……今はこの戦いを終わらせるとするか……」


まだ詳しくは分から無いこの状態だが、何故か今なら圧倒的格上である筈のトウテツにも負ける気はしない。

感覚ではランク2つ分は上がっているとは言え相手は素の俺より5つはランクが上の化け物なのだ、油断は出来ない。だから俺は最後の止めはこの身で直接攻撃して確実殺す事にした。


「さぁ、トウテツ最後はお互いこれで決めるとしようぜ」


俺は自らの身体全体に嵐魔法を纏った。その途端俺の身体が水のヴェールに包まれ、周囲には強力な風が吹き荒れ、俺を包んだ水のヴェールの中には雷バチバチと音を立ててが帯電する。

破壊力を考えると混沌魔法の方が適しているのだが、肉体戦となる以上身体能力が物を言う。なので纏う事によって全ての身体能力を上げられる嵐魔法を選択した。


「グルゥァ‼︎」


トウテツもトウテツで俺と同じ様に身体になんらかの魔法を纏い、何時でも来いとばかりに鋭い眼光を向けて来る。


「行くぞっ‼︎」


「グルゥア‼︎」


お互い自らを鼓舞する為に雄叫びを上げて全身に気合を込める。そして俺とトウテツ、二つの攻撃が互いに炸裂し、辺りに轟音を響かせる。


「GULUAAAAAAAA‼︎‼︎」


「グルゥァァァァァァァァァァ‼︎‼︎」


俺の爪とトウテツの爪がせめぎ合い、火花を散らす。二人の咆哮は大気を震わせ、ぶつかり合う事で生じた衝撃で無限廻廊の壁にヒビが入る。


(ぐっ……力では向こうが上か……)


俺とトウテツのぶつかり合いでは向こうの方が上手であり、徐々に俺の方が押されて行く。

このままでは負ける。

そう思った俺はほぼ無意識にとあるスキルを発動させていた。


「《崩貫》」


相手の体内に直接攻撃を叩き込むスキル「崩貫」。俺の体が直接触れないと発動出来ないため、あまりに近付き過ぎたら危険なトウテツ戦では使う事無いと思っていたが、ここに来てこのスキルは絶大な効果を齎した。


「グルゥ⁉︎」


体内で急に起こった衝撃にトウテツの意識が俺から逸れる。


「喰らえっ!」


俺は咄嗟にトウテツに尻尾による一撃を叩き込み、それによって緩んだトウテツの攻撃から脱出し、そのまま縮地を使いトウテツの背後へと移動する。


「これで終わりだトウテツ」


俺は纏っていた嵐魔法の全てを集め、口から竜族特有の技ドラゴンブレスを放った。


放たれたドラゴンブレスはかなり細く、頼りなさそうに見える。だが実際は違う。

このドラゴンブレスは俺が魔力を調節してこのサイズへと圧縮したのだ。

その証拠に俺の放ったドラゴンブレスはトウテツの鋼鉄より硬いだろう皮膚を貫き、狙い違わずトウテツの心臓を貫いた。


「グルゥァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎⁉︎」


トウテツは最後に大きな咆哮を悲鳴のように上げ、やがて倒れた。


「ハァ、ハァ……終わった……」


俺の超直感にはトウテツの生命力は感じられず、近くにも魔物の存在は感じられ無い。まぁこれだけの戦いがあった場所に態々近寄ってこようと言う物好きな魔物はいないだろう。

そこまで考えたところで急に体の力が抜け、俺の体は地上へと落下して行った。


「あーくそっ、動け無い」


今の俺は気力も体力も全て底を付き、満身創痍の状態だ。恐らくもう後数分と待たずに意識を手放してしまうだろう。


「せめてトウテツの死体はマジックポーチに入れておこう……」


動く事もままならない体を無理矢理引き摺り、トウテツの元まで辿り着いた俺は巨大なそれをマジックポーチに入れた。そしてそのまま壁際を目指して最後にはそこで力尽きた。


『条件を満たしましたのでギフト【覚醒の書】を獲得しました。

【覚醒の書】の条件を満たしました。個体名ガドウは第1の覚醒が可能です。覚醒を行っても宜しいですか?』


意識を手放す寸前にそんな世界の理が聞こえて来たが、もう限界であった為に深く考える事が出来ずほぼ無意識に許可を出してしまった。


『覚醒の許可を確認しました。これより個体名ガドウは第1の覚醒を行います。

個体名ガドウは天使(エンジェル)スキル【守護之天使(アルマロス)】を獲得しました。

個体名ガドウは悪魔(デビル)スキル【憤怒之悪魔(サタン)】を獲得しました』


『覚醒により【進化の苗木】の条件を満たしました。これより個体名ガドウの進化を行います』

ガドウの詳しいステータスは次回!

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