VSトウテツ2
すいません、投稿する時間間違えました!次回からは気を付けます!
「行くぜトウテツ。これでお前を倒せなきゃ俺に勝ち目は無い」
俺は竜化した事により小石サイズになったマジックポーチから一つのネックレスを取り出す。
「力を借りるぞ、麒麟」
『ああ、漸く使ったのだな。ガドウ』
麒麟のネックレスは使うと同時に俺の体に吸い込まれるようにして消えて行き、それに伴い体内に巨大な魔力が入り込んで来る。その感覚に顔を顰めていると何処からともなくキリンの声が聞こえて来た。
「久しぶりだなキリン。だがすまないが今は話している余裕は無いんだ。だから取り敢えず力を借りる」
『今のお主の状況は麒麟のネックレスを通じて大方把握している。だがそれを踏まえた上で安心しろ。この瞬間は時が止まっているからな』
時が止まっている。普通は信じられ無いが神獣であるキリンがそう言うって事は事実なのだろう。実際トウテツにも動く気配は見られ無いしな。と言うか今気付いたけど俺も動けない。
「そうか。なら問題は無いな。だけどこうして話し掛けて来ると言う事は何か用があるんだろ?」
『正解だ。相変わらず鋭いなお主は』
俺の質問に声だけだがキリンが苦笑したように感じた。
取り敢えず時が止まっているのならばこうして会話するのも問題無いだろう。
「それは褒め言葉として受け取らせて貰おう。で、用って何だ?」
『全く、せっかちな奴だなお主は。まあ良い、お主が使った麒麟のネックレスはかなり特殊な物でな』
それは分かるだろう?と聞いてくるキリンに脳内で小さく頷き肯定の意を示す。
『それは私の力を一時的に使えるようになると言う効果の物だが、そこに一つの問題が生じる。即ちお主が私の力に耐えられるか否かだ』
「なんだと?」
俺はキリンの言葉に思わず聞き返してしまった。何故ならもし耐えられなかったらトウテツを倒すどころか自滅をしかねない。そして俺はあの時出会ったキリンの絶対的力を使いこなせる自信が無い。
「もし耐えられなかったらどうなるんだ……?」
恐る恐る聞く俺に、キリンは安心しろと言う。
『お主に授けた物はあの時のお主でも使いこなす事の可能な物だった。だからあの時より成長したお主なら問題無く使いこなせるだろう』
俺はキリンの言葉に思わずホッとした。だがそうだとすると分からない。何故力に耐えられるか否かと言うことを伝えたのだろうか?
『お主の考えている事は分かる。何故私がこんな事を言ったのか?と考えているんだろ?』
「何だ、そっちこそ鋭いじゃないか」
俺は冗談交じりにそう言った。どうせ直ぐに疑問は解消されるのだ。それならばトウテツと戦っている間ずっと張り詰めていた神経を、時が止まっている少しの間だけ緩めるのは構わないだろう。
『ふふふっ、流石にまだまだお主には負けないさ』
キリンはとても楽しそうにそう言う。そんな声に俺も思わず笑みを漏らす。
『さて、話を戻すが、お主に渡した麒麟のネックレスは私を呼ぶ事が出来る。だから今直ぐ私がお主の所へ行ってトウテツを殺しても構わないが……お主はそれは嫌だろう?』
「ああ、幾ら抗ったところでどうしようも無い敵で、かつ絶対に逃げられ無いと言う場合は話は別だが、俺自身の力でも何とかやり合える敵の場合は自身の力でやりたい。……そして今回の場合は後者だ」
俺はキリンの質問にそう答えた。事実トウテツは俺よりかなり格上の存在だ。だけどまったくもって歯が立た無いかと言うとそうでも無い。確かに奴の攻撃は一撃で俺を戦闘不能にさせられる。だが奴の攻撃はなんとか避けられるレベルだ。それに俺の攻撃は奴にはそう簡単には致命傷を負わせられ無いが、きちんとダメージは与えられる。ならば最後まで戦ってみたい。
『そうか……お主ならそう言うと思っていた。ならば私の力を使いこなしてみろ。
そのネックレスに込めた私の力はかつてのお主でも使いこなせるものだった。しかし何故かは分からんが今のそれに含まれる私の力は以前私が込めたものとはまったくの別物になっている』
「……は?」
今キリンはなんて言った?「以前私が込めたものとはまったく別物になっている」だって?あいつさり気なくものすごい爆弾を落としやがった!
「え?あ?は?ち、ちょっと待て!なら今まさに俺が使おうとしてる力は何だよ⁉︎」
『いや、それがさっきも言った通り私にも分からんのだ。
麒麟のネックレスの能力は私がお主に授けた時と同じなんだが、何故か内包した筈の私の力が別の物になっているんだ』
こんな状態は初めて聞いたと言うキリンの言葉は最早俺の頭には入って来なかった。
(おいおい、ならこの流れ込んでくる力はなんなんだよ……危険は無いのか?)
そんな風に考えていると、キリンは説明を続けるぞと言って続きを説明し始めた。
『麒麟のネックレスに含まれる力は確かに私の力だ。それは感覚で分かる。しかしその力の中に何かが混ざっている感じがする。そうだな……例えるならばとある川の水の中に別の川の水が混じっていると言うのが適切か……すまんな、どうも私はこう言う説明は苦手だ』
キリンはこう言う説明は苦手だと言う事に謝って来るが、俺にははっきりと分かった。つまりキリンが麒麟のネックレスに込めた力の中に何か別の力が混じったのだろう。そしてこのネックレスを持っているのは俺だ。ならば導き出される答えは一つだけ。
「つまりこのネックレスに込められたあんたの力に俺の力が混ざり合った、と言うわけか……」
『ま、混ざり合った⁉︎//』
何故キリンはそこまで動揺するんだ?
「だってそう言う事だろ?あんたの知らぬ間にあんたの物では無い力が混じったのなら、それはこれを持っている俺の力以外考えられ無いだろ?」
『ううっ……確かにそうだが、でも混ざり合ったなんて……』
なんかキリンのキャラが崩壊している気がするのは俺だけか?……まあいい。取り敢えずこの状況は無視する事にして麒麟のネックレスに起きた問題についての話に戻そう。
「取り敢えずこの力は俺とあんたの力が混ざり合った物だと考えよう。それが一番可能性高いしな」
『わ、分かった……でもそれなら力を使いこなせるか否かの問題は解決したな。お主の力が混ざり合ったと言うのなら感覚的にも普段とあまり変わらんだろうしな』
確かに俺に流れ込んで来る力は使いこなせそうだ。キリンに言われて細かく探ってみた結果キリンの膨大な力の中にうっすらと俺の力と同じ物を感じる。どうやら俺の考えは間違っていなかったようだ。
「ん……確かにな」
『ならば後はそれを基点として私の力を上手く使いこなすだけだ。……だが気を付けろ。お主に授けた力は以前の物でも街一つは簡単に消し飛ばせる程の物だ。使い方を間違えると己の身を滅ぼす事になる』
急に神経な声音でそう言うキリン。だがこの力には本当にそれ程の力がある。それは俺でもはっきりと分かる程濃密な魔力を秘めている。
「……分かっている。だけど俺がトウテツに勝つにはこれしかない。絶対に使いこなしてみせる」
だから俺も神経に返す。キリンも俺の本気を察したのか、一つ息を吐いて静かに語る。
『分かった……もう間も無く止まっていた時間が動き出す。そしたらもう私は干渉出来ない。ガドウ、お主なら出来ると信じているぞ』
その言葉と同時に止まっていた時が動き出し、キリンの気配も消えた。ここからは全て俺次第だ。
「グルゥアアア‼︎」
醸し出す気配が変わった俺にトウテツは警戒の咆哮をあげる。だが今更そんな物に気圧される事などない。
俺は自分に流れ込んで来た力の操作に意識を集中させる。今この瞬間だけはトウテツに意識を向ける余裕は無い。
「ぐっ、く、あ、あああ……!」
力が俺の中で暴れる。
「く、ぐぅぅぅ……!」
俺はそれを自分の魔力で無理矢理押さえ込み、自分の力へと変える。
(ぐぅ……こ、れ、し、き、で……俺を弾けると思うなぁぁぁぁぁ!)
「GYAOOOOOOOO‼︎‼︎」
俺は大気を震わせるが如き声で咆哮を上げる。ただしその咆哮に含まれる魔力は尋常で無く、それはトウテすらも萎縮させてしまう程強大な物だった。
(おおおおおおおおおおお!)
だが俺にはそんなトウテツの様子に構う余裕など無く、ただ只管自分の中で暴れる力を抑え込む事に集中していた。そして……
(こ、れ、で、どうだっ‼︎⁉︎)
俺は自分の中で暴れる力を全て制御下に置く事に成功した。その直後……
(な、なんだ⁉︎)
体から青白い光が溢れ出て来て、辺りを塗り潰す。そして光が晴れた時、そこにいたのは銀色の体躯に青白い雷を所々纏わせ、左右の角に加え額から竜神刀のように反り返った3本目の角を生やした一頭の竜。
『伝説スキル【神化】を獲得しました。
【王種の種】が芽生えました。【王種の種】の芽生えに伴い能力が大幅に上昇しました。【神種の種】が芽生えました。【神種の種】の芽生えに伴い能力が大幅に上昇しました』
「GLUAAAAAAA‼︎」
再び無限廻廊に俺の咆哮が木霊する。
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Name: ガドウ
Rece: 混沌竜 (魔人)
Legend:「神化」・・・New!
unique: 「混沌魔法」
Special: 「弱肉強食」「竜化」「海竜化」「神魔眼」「超思考」「幻想魔法」
Skill: 「闇魔法」「竜覇気」「豪腕」「影移動」「嵐魔法」「魔力転移」「火魔法」「空力」「縮地」「瞬身」「振動」「崩貫」「毒生成」
Divin: 「ガリオンの寵愛」「竜神の加護」「麒麟の加護」
Gift: 「王種の種(芽生え)」「王種の証」「進化の苗木」「神種の種(芽生え)」
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Passive: 「全把握」「全域移動」「超感覚」「能力加速」「生命上昇」「自動再生」




