パッシブスキル
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ルナーケン・・・神銃。神が勇者の為に祝福を込めて作り出した銃。神の祝福により錆びる事も壊れる事も無い。使うには銃に魔力を込めて引き金を引く。込める魔力によって威力が大きくも小さくもなる。神級。
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シュヴァルツ・ヴァイス・・・魔銃。神をも喰らう大悪魔の能力が封じられている伝説の銃。大悪魔の能力により錆びる事も壊れる事も無い。使うには魔力を込めて引き金を引く。込める魔力によって威力が大きくも小さくもなる。伝説級。
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インフィニティ・ソルセルリー・・・ベルト。魔力の回復速度を激的に上げてくれるベルト。その速度は通常時の10〜20倍。特SSS級。
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水王竜の腕輪・・・腕輪。水王竜リヴァイアサンが数百年間魔力を注ぎ込み続けた至高の腕輪。自動治癒能力を持つ。SSS級。
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「これは……凄まじいな……」
俺は完全解析で見たリヴァイアサンから貰った道具の能力にただ感嘆の息を吐くだけだった。
武具は魔物同様、F、E、D、C、B、A、特A、S、特S、SS、特SS、SSS、特SSSのランクに分けられる。だが魔物とは違うのはこの上に更に3つの特別なランクがある事だ。
魔物の場合は特SSSの上に魔王の事を指す魔王級と言うランクがあるが、武具は特SSS級の上は伝説級、聖級、神級と呼ばれる物である。
伝説級はその名の通り伝説になる程の武具の事を指し、迷宮の最下層で偶に見つかったり、力の強い大国の国宝となっていたりする。
聖級とは聖なる祝福を受けた武具の事を指し、聖獣や神獣などの力が込めらた武具がこう呼ばれる。
そして最後の神級。これは今までの物とはまるで別格である。何故なら神級とは神が自ら祝福、あるいは自らの力を授けた武具を指すからだ。
俺の持つ竜神刀も恐らく竜神と言う存在が自らの力を込めた物なのであろう。祝福だけではあんな性能にはならない筈だからな。何故俺が竜神の加護と言う物を授かったかは不明だが、いつか竜神とやらに直接会った時にでも確かめたいものだ。
「リヴァイアサンの奴、こんな物をくれたのか……」
まさかあのリヴァイアサンがこの武具の価値を分かっていないわけが無い。仮に俺のような鑑定系スキルが無くてもこれ程の物となれば雰囲気で嫌でも分かる。
「だが、こんな強い武具を貰っても使いこなせ無いとただの宝の持ち腐れだ……暫くはここを拠点として鍛錬するか……」
どんな武器もどんな防具も、使い手がそれに見合った実力が無いとそれはただの見栄にしかならない。武具の性能に頼り過ぎているといつか必ず自分にツケが来る。父さんの教えだ。
勿論リヴァイアサンとは会うつもりは無い。恐らくあいつの事だから俺がここ残っている事は間違い気付いている筈だ。
だが次に会う時は戦う時だと約束をした。それにそれを提案して来たのはリヴァイアサンの方だ。だからリヴァイアサンの方からこちらに再び接触して来る事も無いだろうと思う。
人間の街には早く行ってみたいが、今の俺の目的は魔王ヴェへムートを殺す事だ。人間の街に行ったとしても、冒険者になって情報を集めるだけだし、そんな事何時でも出来る。
最初こそ人間の街に潜り込んで生きて行く為に必要な金銭を稼ぐ事が人間の街を目指した理由だったが、ここ隔絶の森ならば強力な魔物の肉も膨大な魔力を浴びて育った美味い木の実も生きて行く為に必要な水もたくさんある。ならばこの環境を利用しない手は無い。
「よし、そうと決まれば一先ずは獲物を捕らえるか」
俺は竜化を解いて人型に戻ると、魔力把握を全力で発動させて獲物を探す。もうそろそろキリンを恐れて逃げた奴等も戻って来ているだろうし、問題無く見付けられるだろう。それに湖の周囲を探索していれば水を飲みにやって来た魔物を見付ける事も可能だ。
湖の周囲を歩く事約5分。早くも俺の魔力把握に引っかかる存在を感知した。
俺はそちらの方に気配を出来るだけ隠しながら足早に近付くと、二匹のグレンウルフが水を飲んでいるのを確認した。二匹でいると言う事は恐らく番か幼い兄弟の類だろう。
俺は早速先程リヴァイアサンから貰った2丁の銃を構えた。
「取り敢えずこれに慣れる事から始めるか……」
俺はルナーケンを手前のグレンウルフ、シュヴァルツ・ヴァイスを奥のグレンウルフに狙いを定める。
ルナーケンとシュヴァルツ・ヴァイスに魔力を込めて何時でも発泡出来るように構え、引き金を引く。
ドパンッ‼︎
豪快な音を立てて奥にいたグレンウルフの頭が吹き飛ぶ。
「チッ!片方は外したか!」
俺は直ぐ様武器を二丁銃から竜神刀に変え、思考を100倍に引き上げ、突然の事に驚き硬直している生き残ったグレンウルフに一瞬にして肉薄し、そのまま首を切り落とす。
「ふぅ……やっぱり一発じゃ無理だな……一匹仕留められただけでもラッキーだったと思うべきか……だが……」
俺は同時に発泡した筈の二丁の銃だが、何故かルナーケンの方にだけ違和感を感じた。何故か引き金を引くのが遅れたのだ。
二匹のグレンウルフをマジックポーチに放り込んだ後、近くの木に試し撃ちとして何発か撃ち込んでみたが、やはりルナーケンの方だけ僅かに遅れる。
「まさか神の祝福の影響か?」
ルナーケンを完全解析で見た際に書いてあった神の祝福と言うものを思い出して呟いた。
神の祝福とは神が気に入った者に授けると言うものである。もしかしたら俺はこのルナーケンに祝福を込めて英雄とやらに渡した神には好かれていないのかもしれない。いや、そうなのだろう。祝福は相手が変われば祝福ではなく呪いとなる。
そうと分かったら最早ルナーケンには用は無い。俺はルナーケンをマジックポーチに放り込み、片手に竜神刀、片手にシュヴァルツ・ヴァイスを構え、更なる獲物を探す。ルナーケンは今度食って俺の糧にしてやろう。
その後夜になるまでの数時間でグレンウルフ5匹、デビルイーター3匹、ヘルシャーク1匹を捕らえる事に成功をした。
「あ、そういやまだディザスターリザードとバーサークベアーを食って無いな」
狩りを終えた俺は、リヴァイアサンと別れた場所より大体4キロメートル程移動して発見した湖沿いの開けた場所にて今夜の獲物を何にしようかと考えていた。そこで漸くディザスターリザードとバーサークベアーを捕らえていた事を思い出した。
「あー……ヘルシャーク食う前だったら格上の存在だって事で能力取れたかもしれなかったな〜……」
目の前に転がる二匹の死体を眺めて俺は溜息を吐いていた。
「まあいいや……今でも別に困っているわけがじゃないし……」
そう呟いきながら俺はディザスターリザードとバーサークベアーに喰らい付いた。
『ディザスターリザードの捕食を確認しました。スキル【危険察知】を獲得しました。スキル【立体機動】を獲得しました。
バーサークベアーの捕食を確認しました。スキル【高速移動】を獲得しました。スキル【豪腕】を獲得しました。【危険察知】を獲得した事により、【魔力把握】が【危険察知】に統合されました。統合により【危険察知】はパッシブスキル【全把握】となりました。
【立体機動】と【高速移動】を獲得した事により、【立体機動】と【高速移動】は統合されました。統合によりパッシブスキル【全域移動】となりました』
「パッシブスキル?」
俺は世界の概念が語ったパッシブスキルと言う意味不明なスキルに首を傾げる。勿論ステータスを見てもパッシブスキルなんて欄は無い。
俺はパッシブスキルとして統合された魔力把握を発動しようとしたが、やはり統合されたスキルは発動出来無いようで、魔力把握を発動する事が出来なかった。
「参ったな……魔力把握が無いとかなり困る……」
そう呟いた瞬間、俺の脳裏に何かが過り、その何かに動かされるようにその場から飛び退いた。
その瞬間、俺が一瞬前までいた場所からジュワッと音が聞こえ、ちらりとそちらに目をやると地面から紫色の毒毒しい煙が立ち上り、刺激臭を出していた。
「なっ⁉︎」
咄嗟に攻撃が来た方向を見ると、周囲の闇に溶け込むかのような色をした変な魔物が木々の間から此方に向かって口を開いていた。
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シャドウリザード・・・竜型。普段から木の上に生息し、暗闇に紛れるような黒色をした竜型の魔物。気配を殺して暗闇から毒液を吐き出して獲物を仕留める。しかし毒さえ抜いてしまえばその肉はとても柔らかく美味とされている。特S級
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「シャドウリザード……」
思わず漏れた声に反応したのか、はたまた攻撃が外れたからかはシャドウリザードのみぞ知るだが、奴は俺が気付いたのを確認すると直ぐ様闇に溶け込んで逃げ出した。
「待て!」
咄嗟に追い掛けるが、相手は木の上で生活する魔物だ追い付けるわけが無い。それに加えて今は夜だ。暗闇に紛れて行動するシャドウリザードを見付けるのは不可能に近い。
だが何故か分かる。奴がどう移動したか。奴が何処にいるか。そして何故か奴との距離はどんどん縮まって来ている気がする。
シャドウリザードが逃げ出して約1分程、俺の視界にははっきりとシャドウリザードが写っていた。
「いた!」
その声が聞こえたのか、シャドウリザードはこちらを振り向き、驚愕の表情を浮かべ、はちゃめちゃに毒液を吐いて来る。その数は優に10を超えている。だがその全ての動きが分かる。右、左、下、上、右、右、下、左、上……全ての毒液を躱した俺は、腰にぶら下げてあるシュヴァルツ・ヴァイスをシャドウリザードの足に照準を合わせて感覚に任せて引き金を引いた。
ドパンッ!ドパンッ!
闇夜に響き渡る銃声。そして巨大な物体が地面に落ちた際に生じる軽い振動。
「ふぅ、めんどくさい奴だったな」
目の前で伸びているのはシャドウリザード。シャドウリザードの両足には俺が撃った二発の魔力弾が綺麗に当たってその両足を吹き飛ばしていた。これでは意識を取り戻しても満足に歩く事すら出来無いだろう。
俺は伸びているシャドウリザードの首をシュヴァルツ・ヴァイスとは逆の手に持っていた竜神刀で切り落としてシャドウリザードの命の灯を完全に消す。
「だがなるほど、分かったぞパッシブスキル……」
パッシブスキルとはつまり常時発動し続ける能力と言う事だ。
俺は今まで魔物の索敵や魔力の把握を魔力把握に頼って来た。しかしこのパッシブスキル「全把握」を持っていればその動作の全てを感覚だけで出来るようになると言う事だ。
そして「全域移動」。これは統合されたスキルを考えると恐らく立体的に動いたり素早く動いたりするのをアシストする能力なのであろう。
俺がシャドウリザードに有利な環境でも奴に追い付けたのはこれと「全把握」で最も適した動作を行い続けたからなのであろう。
「だがこれも俺が成長しなければ十全には能力を発揮出来無いんだろうな……よし、なら鍛錬あるのみだ!」
俺はとどめを刺したシャドウリザードをマジックポーチに仕舞い、再び来た時と同じように木々を飛び回りながら感覚に身を任せて元の場所に戻りながら立体的な動きを試したりしてみた。
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Name: ガドウ
Rece: 暗黒竜(魔人)
Special: 「弱肉強食」「思考加速」「並列思考」「完全解析」「海竜化」
Skill: 「闇魔法」「竜覇気」「嗅覚上昇」「豪腕」・・・New!
Divin: 「ガリオンの寵愛」「竜神の加護」「麒麟の加護」
Gift: 「王種の種」「王種の証」「進化の苗木」「神種の種」
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Passive: 「全把握」・・・New!「全域移動」・・・New!