正反対の兄弟
本条充が実の息子の昭の元にある男を連れてきた。
その男の名は英明。
英明も充の息子だという。
「ということは俺と兄弟なのか!?」
昭は眉間に皺を寄せながら充に訊く。
「ああ。そうだ。お前たちは腹違いの息子。英明が長男。昭が次男で1才違いだ」
充が言い張った言葉に動揺する昭。
「なっ!父さん、いくら母さんが死んだからって母さんの前の人との子供を兄貴だなんて認めないよ俺は!大体お前はそれでいいのかよ!」
英明がゆっくりと口を開く。
「俺はずっと父さんというものがどういうものか、わからなかった。そんな最中父さんを名乗るものから連絡があって最初は半信半疑だったんだ。でも、あったらすぐに父さんだと確信したよ」
「お前たちは二人とも俺に似ているからな」
充の言葉が重くのしかかる。
「でも父さん。父さんは今やセニアグループの理事長。俺は社長だ。もしや俺達の座を狙っているだけかもしれないよな」
昭はそう言っては訝し気げに片眉を上げた。
「それでいいじゃないか」
充が不思議そうな顔をする。
「は?」
「え…僕そんなつもりは」
英明が断りを入れる。
「ほら別になりたくないみたいじゃん」
昭は安心した顔で軽く笑う。
「お前のそこがいけないんだ」
充が厳しい顔をする。
「え、父さん?」
昭は上擦る。
「お前はたるんでるし、せっかくの兄弟が揃ったんだから何か競いごとでもしてみろ」
「それにしても仕事で争うなんて!」
充の言葉に驚く昭。
充は英明を真っ直ぐ見つめ、
「英明はどう思う?」
「正直、争うことが兄弟ならやってみたいという気持ちが強いです」
充は笑いながら、
「やはり英明の方が俺に似てるわ」
英明はその言葉に目を輝かす。
昭は「な!俺だって似てるわ!」
「ほう、昭も負けず嫌いだったな」
充は昭を試すように言う。
「これからは英明はこのセニアグループの社員として働いてもらう」
「はい!」
充の言葉に目を輝かす昭。
「はーい」
やる気のない返事で返す英明。




