「旦那さんの悲哀」
朝目覚めると短編集
「蟹旦那」
朝起きたら蟹になっていて大慌てな俺。
助けを求め奥さん下へ、
なんとかリビングに到達したが、
奥さんが鍋持って俺を追い立て、
ダッシュで逃げようとするも
蟹歩きしかできない蟹だったと思い知らされ
あちこちぶつかり速攻捕まり、
そのまま茹でられ真っ赤。
テーブルに盛られる頃、
幼い一人息子に、
「パパは?」
と心配されていたが、
「パパにありがとう。感謝、感謝」と、
ママに言わされ、
パクパク食べ、
「どうせならタラバが良かったわぁ…」
奥様のその一言以降、
朝っぱらから蟹喰う家族は
ついに無口になり、
殻だけになっていく俺だった。
おしまい(合掌)
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「モスキート旦那」
朝起きたら蚊になっていた。
あの夏の天敵に!
驚いて妻に助けを求め体も軽く、
広大になった部屋の中を
すいすい飛びまくれるのは、
それはそれは快感で
爽快だったが、
そうではなく俺は
元の旦那さんに戻らないとと必死で、
朝食を作ってる妻のもとへ、
惑星くらいありそうな
でかい妻の二の腕に着地出来て安堵していると、
バンッ!
と、食らった彼女の手の平に押し潰され、
「ギャアアアアア!」
っさっさっさっと払われ吹き飛ぶ私。
「うわーもうこんな季節、
蚊は大嫌いなのー
殺虫剤買って来なきゃ」
妻の普通の話し声はまるで、
怒号のようにでかく響き、
「妻よ血を吸うのはメスだけだ…」
俺の絶命の言葉だった。
おしまい(合掌)
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「蟻旦那」
朝起きたら蟻になっていた。
焦った俺は奥さんに助けを求め階下へ、
朝食の準備をしている彼女の元へ急いだ。
身軽な小さな体。
屋内のあちこちは
今の自分にとってただのアスレチック場。
そこが例え壁でも、
強靭な六本足で登ったり降りたり、
驚くほど軽やか。
ただ距離は凄まじく遠く、
ちょこまかと歩いても歩いても
愛する人の下へは遠く、
気が遠くなりかけていて、
奥さんの顔もどんどん遠のきそれは
まるで幻…そして私は、
力を振り絞りついに、
山のようにそびえ立つ奥さんの足に到着し、
よじ登ろうとしたが、
脚は勝手に意図しない方へ歩き出し、
「なぜ違う方へ?
行きたいのはそっちじゃない…
おい脚よどこへ行こうとしてる?!」
頭で分かっていても、
体は言う事を効かず動きに任せるしか無く、
振り向くとそこに愛妻。
後ろ髪引かれるまま、
どんどん遠ざかりついに開け放たれた
風に揺れるカーテンをくぐり、
窓から庭へポトリと落ち、
自然の中へ身を投じていた。
「うわぁああ俺はいったいどこへ行くんだよー」
何度も振り返り、
料理を作ってくれているその優しい横顔に、
「奥さーんたーすーけーてー」
恐ろしくて怖くて悲しくて、
ポロポロ涙は流れるままに歩き続け、
脳裏に浮かんでいた奥さんの顔も
全てがぼんやりし始め、
「あ!」
確信に気づいた途端、
「女王様ぁああ~~!」
俺はただの蟻になっていた。
おしまい(合掌)
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