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この星の記憶  作者: 神常神


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20/21

遭遇

僕らは適当に公園から離れた場所で敵を撒いた後、急いで公園に向かっていた。


「お父さんは?」

「母子家庭なんだよ」

「あ、そうなんだ」


悪いこと聞いたかな?


「でも保護されたあとは、男の異星人に少しの間面倒見てもらってたから、俺にとってはその人が父親って感じだな」

「何それ!気になる」

「それはまたいつか話してやるよ。それより、これからのプランは?」

「とりあえず二人と早く合流しないと。あんまり遅くなると、慎重なカイルさんでも二人で戦闘を開始しちゃうと思うから」


そもそも二人が襲われて、戦闘に入る可能性だってある。


「……α。分かってると思うけど、公園にいるのは多分―」

「うん。でも、一人で突っ込むのはやめてね。この戦いは、シュウ君一人のものじゃない。僕ら四人のものだから」

「……」

「公園が見えてきたよ」


シュウ君を公園の入り口の前で降ろす。

今いるのは、前回の時とは違う入り口だ。

前回の入り口を探し外を回るか考えたが、時間のロスを考え、このまま公園の中から地下室を目指すことにした。


「ここにはアイツらいないな」

「うん。別の入り口から入ったのかも。僕らも中に入って地下室を目指そう」

「ああ」


僕らは銃を手に持ち、公園の中に侵入した。


「なぁα。俺は銃を使うべきか?それとも自分の能力で戦うべきか?どう思う?」


横を歩く彼の言葉に、僕は思考を巡らせる。

さっきの戦闘。シュウ君の能力で倒した敵は固まって、液状に溶けることはなかった。

これは多分、発火によって水分が蒸発したからだ。

それが有利に働くのかどうかは今は分からない。

そしてもし敵が、シュウ君の話に出てきた奴なら、泥が爆発する物質に変わる可能性がある。

なら接近でしか発動できないシュウ君の能力は、相性が悪いんじゃないか?


「もしシュウ君の記憶の中の奴と、今から戦う敵が同じなら、推測だけど泥が爆発するか、泥の触れた表面が爆発する可能性がある。飛空車や人が爆発したのを見たって言ってたよね?多分、その時降ったのは泥の雨だよ」


僕の考えを聞いたシュウ君は、ほえぇと言った表情をした。


「お前、頭良いよな」

「えっ、そうかなぁ。えへへ」


そんなやりとりをしたながら歩いていると、少し離れた所に背の高い木々があるエリアが見えてきた。


「シュウ君、あそこら辺に目的地があるよ」


僕の言葉にシュウ君の顔が引き締まる。


「あそこら辺て、どこだよ?」

「うーんと、あの木々の道のどっか」

「どっか?」


彼の額に皺がよる。


「ごめん。正確な場所は分からない。けど、あの木々ら辺で間違いないはず」


前回きた時は足の痛みで、ほとんど途中のルートは覚えていない。

ただあんな木々があった道を、通ったことは覚えてる。


「……お前よくそれで提案したな」

「えへへー」


僕は笑顔で誤魔化した。

そんな時、僕ら以外の小さい声のようなものが聞こえた。


「ん〜ん」


ん?

音の方に目をやると、人懐っこいのだろうか?尻尾を振った一匹の中型犬が、甘えた声を出しながら、こちらに近づいてきていた。


「おお、可愛いな」


シュウ君がそれを迎えに行こうとする。

なんでこんな所に犬が……!


「待って、こんな―」

「本物ならな」


僕の忠告をかき消すように、シュウ君の銃は犬目掛けて火を吹いた。

犬は数発被弾したあと、泥になって崩れ落ちた。


「趣味が悪いな、お前」


そしてそのまま、彼は近くの木に向かい銃を撃ち出した。

僕が状況を把握できない中、数発の弾丸を受けた木の影から、勢いよく誰かが飛び出してきた。

彼はそれを追い標準を合わせ撃つが、しなやかな動きとキレのある方向転換で、見事に翻弄されてしまっていた。


「チッ」

「危ないじゃにゃいかー。当たったらどにゃいする気?」

「シュウ君、一旦撃つのやめて」


僕は彼の肩に手を置き声をかける。

すると彼は銃撃をやめ、目の前の存在も動きを止め、僕らの対角線に立った。

その止まった姿はほぼ人で、褐色の肌、頭に猫耳を生やし、手と足は獣のように体毛が多く生えていた。

そして人よりも肘から先と、膝から先が一回りほど太かった。


「この肉球が傷ついたら、お兄さんたちのこと、ぷにぷにしてあげられにゃいよ〜」


彼女は両手の肉球を見せながら、ニヤニヤと笑っている。

()だと思った理由は、控えめだが胸があったからだ。


「お前は誰だ?」


シュウ君が問う。


「私?私は猫娘。まだ名前はにゃい。いにゃいにゃいばぁー」


彼女は舌を出しておちょくってくる。


「気をつけて。コイツは、僕らの思ってた敵じゃない」

「ああ」


僕らは彼女に銃口を向けたまま、じりじりと距離を詰める。

そう、詰める。

なぜなら僕らに逃げるという選択肢はなく、先ほどの彼女の動きからして、もっと近づかなければ弾が当たらないと判断したからだ。

それに僕らの能力も接近戦でしか、使えない。

だから近づかなくては。

シュウ君もきっと同じ考えのはずだ。

だから僕は自分の能力(ちから)とシュウ君を信じる。

刹那、僕は全速力で彼女との距離を一気に詰める。


「にゃ!」


突然の動きに反応が遅れた彼女。

その隙に背後に回り込み、僕は彼女を気をつけの姿勢で羽交締めにした。


「シュウ君!」


さっきスラリムにやろうとしていた作戦だ!

僕が相手を拘束し、シュウ君が燃やす。

彼もその意図が通じたようで、銃を下ろし全力で駆けてくる。


「離せにゃん!」


やはり獣人。

かなりの力で暴れられるが、どうやら僕の力の方が強いようで、バタバタともがくしかできないようだ。


「押さえとけ!」


シュウ君の両手が、暴れる彼女の両肩に触れる。

発火。

すると瞬間で、後ろにいても熱を感じるほど、熱気を帯びた。


「いやあああ!熱いにゃ!話を聞いてほしいにゃ!」

「うるせえ、遺言なら聞いてやるよ!」

「敵じゃないにゃ!」


待てよ。

確かにコイツは木の影に隠れていたけど、攻撃はしてきてない。


「シュウ君!一旦話を―」


僕は帯びる熱気の中、思わず目を見開いた。


「私は被害者にゃ!」


なぜなら彼女の焼かれていた部分が、固まっていたからである。

エネスタにいた女性たちと同じように。


「助けてほしいにゃ!」


そして、大きな声で叫んだ彼女は爆発した。

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