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この星の記憶  作者: 神常神


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14/18

嘘つき

下からあの()()()()を撃ち抜いてやった。

ざまぁみろ!

破片は自由に操れるんだよ!

自分の体だぜ!なあ!


「ふみゃふみゃふみゃふみゃー」


しかしもう無理だ。

限界だ。

残り65%から70%ぐらいか。

もうこのままじゃ、速く動くこともかなわない。

くそ!

本当に炎は相性が悪い。

くそ!くそ!

まぁいい。上の様子は気になるが、今は逃げるか。


「ん?」


そうだ。せめてあの車だけでも壊しておかないと、()()()()にふみゃふみゃ嫌味を言われちまう。

両手を前に構え、特大の一発の準備に入ろうとした時、背後に何かが着地する音がした。


「もし、今までの全てが一度経験したものだとして、追い詰められたのも演出だとしたらどうしますか?」


その声に体ごと振り向くと、そこにいたのは、今撃ち抜いたはずのブチグソだった。


「なんでおみゃえがここにいやがる!」

「今言いましたよ」

「今ふみゃふみゃにしたはずだろう!」

「全て演出だって」


何だ?

体が震えてる?

バカな!

ふみゃが怖がってるってのかああああ!


「不思議ですか?でも僕は不思議じゃないです。一度は撃ち抜かれましたから」


何言ってる?


「だから今回は賭けたんです。あなたの罠が僕を目視してないことに。気づきませんか?僕がベストを着てないことに」


はあ?何言ってんだ?


「あなたが撃った理由は音ですよね。きっと。僕はあなたの破片の近くに思いっきりベストを投げただけです。僕の力だと結構響いたでしょ」

「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいんだよおおおおお!」


両手から細かく玉を発射する。

しかし素早い動きで全てかわされる。

だが奴は、右に左に避けるだけで距離を詰めてこない。

何だ?何で詰めてこない?

まだ奴の動きは目では追える。

だが体を欠損してるせいで、ふみゃは殴り合いじゃ絶対奴には勝てない。

奴もそれは分かっているはず。

なぜ来ない……は!

ふみゃは撃つのをやめた。


「どうしました?」

「おみゃえ、仲間を待ってるな?」


そうだ。

なにを焦ってるんだふみゃは。

コイツにはふみゃを直接倒す技が無い。

だからさっきの炎野郎か、上で戦ってる奴が来るのを待ってるんだ!

ん?

ちょっと待て。

そう言えば炎野郎はどこに行ったんだ?

てっきり下に一緒に落ちてると思ったんだが。

そう言えば……いないじゃないかあああ!


「おおい!あの炎野郎はとこいったみゃあ!?」

「あの炎野郎?はて?誰のことですか?」


棒立ちで顎に手をやり、考える素振りをするブチグソ。


「舐めてんじゃねぇぞてめええ!」

「ああ、もしかしてシュウ君のことですか?彼なら落下した時に、あそこの階に投げ入れましたよ。優しくね」


そう言って、向こう側の上の階の方を奴は指差す。

投げ入れましたよの後に、何か言っていたが小さくて聞き取れなかった。

奴の指先の方向を確認するが、炎野郎の姿は確認出来ない。

でももういい。

ふみゃも時間は稼げた。


「お前は馬鹿な奴だあああああ!」


車を両腕に向け構える。


「ふみゃは構えなくてもチャージできんだよおお!あの車をぶっ飛ばしてやるうう!」


ふみゃの言葉に反応した奴は、まんまと一気に距離を詰めてきた。

やっぱりな。やっぱり焦って距離を詰めてきた。

そうだよな!

車壊されたらヤバいもんな!

さあ、その勢いのままふみゃをバラバラにしろ!

蹴るなり殴るなり撃つなり好きにしろ!

そしたらおみゃえらのいない場所まで逃げてから、再生するからよおおおおお!

しかし奴は、ふみゃの横面の前まで距離を詰めてきて、何もしなかった。


「なっ」

「本当は、本当はチャージなんてしてないんですよね?」

「なんで―」


奴はふみゃの両腕を掴むと、凄い力で気をつけの姿勢をとらせてきた。


「実は僕も一つ嘘を吐いていました。さっき、今までの全てが一度経験したと言いましたが、ごめんなさい。本当は、今の場所まで二度経験してました」


何言ってんだ……。


「何言ってんだよおみゃえええええ!」

「そして今からは未体験。受け止めます!」


奴はそう言いながら、向き合った俺の体を少し持ち上げる。すると背中に重い衝撃が走った。

何だ!!


「よう、スライム。殺しに来たぜ」


背中に悪寒が走る。


「おみゃえ、まさかおみゃえ!」

「時間稼ぎはお互い様ってことです。僕はあなたが自ら撃ち抜いた穴の下に、あなたを止めておきたかった。彼がこちらに来るまでね」


バカなっ。


「墓穴を掘るって言うけどよ」


背中の奴が、背中に両手を置いてきたのを感じる。


「上に掘る奴は初めて見たぜ」

「やめ―」


一瞬で体が蒸発を始める。


「むぎゃああああああああああああ!」


背中の感覚が徐々に消え、腰、肩と炎がふみゃを襲っていく。

その間に体の50%が欠損したのだろう。

ふみゃの心臓が形となって、胸の部分に現れてしまった。

ヤバいヤバいヤバいいいいい!

しかしどれだけ焦り、足をばたつかせようとも、押さえられた力に抗うすべは無かった。


「むみゃああああああああああ!」


そして自分の体が炎で掘り進められ、心臓に着火したのを感じた。

何なんだよ……何なんだよコイツりゃ……はあ。こんな死に方ってみゃいぜ……。






押さえ付けていたはずの体が急に原型を失い、一気に液体になり溶けるように全て消え去った。

終わったのか?


「……アツ、アツアツっ」

「ああ大丈夫かっ」


奴が消えたため残り火を被ったが、僕に馬乗りの形になったシュウ君に払ってもらった。

その際、自分で払えないほど、腕がいうことをきかない状態になっているのに驚いた。

でもこっちはまだいい。筋肉の疲労だろうから。

それより指先が心配だ。

きっと相当(ただ)れてる。


「なぁ、終わったのか?勝ったんだよな」

「うん」

「いよっしゃああああああああ!」


僕に覆い被さるようにして叫ぶ彼に、体の心配は後回しにしてもいいかなと思った。

そうだ、今は喜ぼう。

泥の奴はここには来ないから。

僕らは、勝ったんだ!


「やったあああああああああ!」

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