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この星の記憶  作者: 神常神


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13/18

VS スラリム

轟音と共にさっきまでいた場所が崩れ落ちた。

しかし僕が確認すべきは()()()じゃない。

今空中を一直線にこちらに来ているスラリムの方だ。

僕は視線をスラリムから外さず、さっきとは逆サイドの廊下を駆け抜ける。


「シュウ君」

「おおう」


抱えられたことにまだ驚いているのか、どこか間が抜けた声が返ってくる。


「見ての通りアイツは速い」


空中では向きを変えられないようで、奴はさっき僕たちが攻撃をかわした場所に着地した。

図らずもまた廊下で向かい合う形になる。


「だから、僕が()()()する」

「え、ちょ待っ」


彼の了解を待たず、一旦下ろした彼の太もも部分に手を回し、無理矢理担いだ。

小さい悲鳴のあと、腹筋の力で体勢を整えた彼は、僕の肩に手を回して話しかけてきた。


「何してんだよ!」

「くるよっ」


僕はまた奴の玉を避ける。

今度は手すりを乗り越え、1つ下の階の手すりを、片手で掴む形で落下する。

爆風を感じつつも手すりを片腕の力だけで上り、一気に廊下を駆ける。


「シュウ君!」


その勢いのままに手すりを踏み台にして、覗いていた奴の横面を斜めに横切る。

そして上の階の腰壁を力いっぱい蹴り、反転し矢のように奴に襲いかかる。


「任せた!」


奴にタックルのように体を浴びせ、勢いよく壁と板挟みにする。

まさか向かってくるとは思っていなかったんだろう。

対処の遅れた奴に対し、僕の肩越しに伸びた両手が一気に発火させる。

片手は顔。もう片手は腕と、押さえつける形で燃やしていく。


「むみゃあああああ!」


暴れる奴を僕も全身を使って壁に押しつける。


「死ね化け物!」

「むぎゃああああああああ!」


炎が大きくなる。

しかしそんな時。

無意識なんだろう。

その熱と炎の迫力に、僕の押さえつける力が緩んでしまったらしい。

その一瞬の隙に奴は自由だったもう片方の手を、僕と自分の間にねじ込んできた。

そして小さな玉を数発撃たれ被弾した僕は、普段とは違う体の重さにバランスを崩し、手すりを乗り越えエントランスに落下してしまった。

その際に僕の体から離れたシュウ君の足首を掴み、二つ下の階に無理矢理投げ入れることができた。

しかし彼の落下死を防いだ代わりに、僕は両足で着地できずに背中から受け身を取る

形で、地面に叩きつけられた。

衝撃が全身を駆け巡り、呼吸ができない。

それでも体が頑丈なせいか、こんなことになっても意識はハッキリしていた。

片手を動かし、撃たれた部分を確認する。

幸い、奴の砲撃は溜めていなかった分弱く、防弾ベストを貫くことはなかった。

こんな状況でも冷静に判断している自分に驚きつつ、無理矢理体を反転させ四つん這いになる。

痛い。けど、頑丈だ。

自分の能力を改めて実感して、ゆっくりと立ち上がる。

……体が頑丈。そう、僕の能力はそれだけだ。


「それだけのはず」


じゃあ何なんだこの記憶は!

バサバサバサバサ。

死んだ瞬間の記憶に頭を抱えそうになっていた時、風を切る音が建物内に無数に響いていることに気づいた。

まるで大きな翼を羽ばたかせているような音。


「まさか!」


見上げると吹き抜けたエントランスの高い位置に、奴らは飛んでいた。

嫌な笑みを浮かべて。

アイツらがなんでここに居るんだ!

吹き抜けとはいえ建物の最上部には天井があり、外からは入れないはず!


「お前らは絶対に許さないぞ〜」


さらにスラリムがいつの間にか、2階の手すり部分に立って、直線上に僕を見下ろしてきていた。

だがその体はボロボロで肩やお腹、足の一部分がちぎれたように無くなっていて、再生できていないようだった。


「絶対に許さない絶対に許さない絶対に許さないぞー!」


スラリムが叫びながらエントランスに飛び降りると、それを合図に飛んでいた化け物たちも奇声を上げ急降下してきた。


「ギャアアア!」


そしてその内の1匹の化け物がスラリムの横に、風穴を開けて勢いよく落下した。

それを一瞥したスラリムは上を確認する。

すると1匹、また1匹と断末魔を上げ落ちてくる。


「何だ?どうなってんみゃあー!」


僕も上を確認すると、最上階に近い廊下の部分から出た弾が、奴らの1匹を撃ち抜くのを確認できた。

さらにその隣の1匹は、縦に真っ二つになり降ってきた。


「何だ何だ何だ!おみゃえらは2人だけじゃないのかー!」


スラリムがこちらに向き直る。

すると表情からは伝わらないはずの、憎しみを肌で感じた。


「むにゃー!」


しかし恐怖を感じるより先に体が動いた。

その振り向きざまに左手を構えた奴に対し、僕は地面を目一杯蹴る。

奴の左斜め前に一気に移動し、次に奴の前を横切り右へ。

そして翻弄(ほんろう)された奴に今度は突っ込み、細くなったお腹部分に全体重を乗せた蹴りを浴びせた。

すると奴は勢いよく吹っ飛んでいく。

しかし僕は奴が壁に激突するより先に追いつき、かかと落としで地面に叩きつけた。

そしてスリングで腰元にぶら下がっていた銃で、蜂の巣にしていく。

どうせ打撃じゃ殺せない。

ならまた再生しなきゃいけないまで破壊する。

きっと今こいつを倒せるのは、シュウ君だけだ。

複数に飛び散った奴の破片がまた、同じ方向に移動を開始する。

その内の先行している破片群を追い、2階へジャンプする。

再生したところを潰して周り続ければ、シュウ君が戻ってくるまで時間を稼げる。

さっきシュウ君を投げ入れた時、そこまで勢いはなかったはず。

大丈夫。きっと戻ってくる。


「ギャアアア!」


一瞬エントランスに落ちていく、化け物に気を取られる。

上でもまだ戦っているようだ。

この間に破片は角を曲がり、視界から外れてしまう。

だが、それはさほど問題ではない。

なぜなら直ぐに僕も曲ったから。

問題なのは曲った先で数個の破片が、止まっていたことだった。

移動をやめた。

そう。

再生を始めた。

違う。

この時初めておかしいことに気づいた。

なぜ先行した破片群に対して、他の破片は追ってきていないのかと。

これは、罠だ!

そんな時足元の床が盛り上がるのを感じた。

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