仲間割れ、仲間は誰?
「僕1人でやれって言うんですか?」
「ああ。お前は敵の居場所を知っているんだろ?きっと攻撃方法も知っている。違うか?」
「だからみんなでやろうって―」
「ああ、俺たちは後方から援護してやる。α、お前には先陣を任せる。行け」
「そんな」
無茶苦茶だ!
「初めての戦場なんですよ!」
「ちゃんと後方から助けると言っている」
「ふざけ―」
ドゴオオオオオォォォン!
また車内の激しい揺れに皆バランスを崩す。
「時間がないぞ。バリアはあと一発もつかもたないか分からない」
無症状にも近い彼の顔に、体が熱くなり握った掌に爪が食い込むのを感じた。
この分からず屋が!
「もういいです。分かりました」
僕は銃を手に後方のドアに向かい、近くの壁のボタンに手を掛ける。
「カイルさん。僕もあなたのことは信用してません」
ボタンを押すと、ドアはシャッターのように上にスライドした。
僕は煮えたぎる思いに身を任せ、全力で飛び出す。
こないだと同じ場所なら。
そう思い視線を高くする。
いないか?
あえて入り口の方に走りつつ、そのまま廊下をなぞるように視線を移していく。
……いた!
6階の逆サイド!
一気に踵を返し跳躍する。
この勢いなら、届く。
矢のように一直線に飛んだ僕は、6階の落下防止用の手すりを掴みスピードを殺す。
綺麗に着地。と同時に一気に敵に踏み込む。
「ふみゃふ―」
僕の動きに一歩遅れたソレを、思いっきり体重の乗った右ストレートで、壁まで吹っ飛ばす。
そのまま壁にめり込んだソレに、銃を乱射する。
スーツを着ていないため、弾の大きさは調整できないが、代わりに反動が少なく狙いが定めやすい感じだった。
しかしピンポン球ぐらいの大きさの弾では、こいつを殺すことはおろか、体の一部すら吹き飛ばせないだろう。
それでも僕は頭と胴体を中心に、エネルギー弾で化け物を壁に磔にし続けた。
考えろ、考えるんだ!
どうすれば倒せる!?
そんな最中度重なる衝撃に耐えれなかったのか、化け物を磔にしていた壁が崩れ、部屋の中が露わになった。
と同時に化け物も部屋の中に倒れたため、当たる的を失ったエネルギー弾を、撃つのをやめる。
急な静寂。
普通の生き物なら絶対に死んでいる。
でもコイツはバラバラに吹き飛ばされても死なない。
本当に不死身なのか?
それともカラクリがあるのか?
崩れた壁の奥。
ここからでは足先だけしか確認できない。一歩二歩とゆっくり、銃口を向けながら距離を詰める。
しまった。やられた。
足先だけ残して他が消えている!
どこに―。
「ざんねん」
背後。
凍った背筋を無理やり動かし振り向く。
すると化け物はこちらに手を構え、手先にはエネルギーが溜まっているのを確認できた。
「ふみゃふみゃってか〜?」
「あ」
死ぬ。
だが気付く。
勢いよく廊下を走ってくる音に。
化け物もその音に反応し、後ろを振り向く。
次の瞬間、その顔を片手で勢いよく掴み倒し、廊下に叩きつける。
シュウ君!
「むみゃ!」
「燃えろ、化け物」
彼の手と化け物の顔の間に炎が生まれ、一気に化け物の頭を燃やしていく。
「むみゃああああああ!」
化け物は暴れ叫び、シュウ君を吹っ飛ばす。
そして自らの手で燃える頭を撃ち吹っ飛ばし、壁、天井と伝い上の階へ頭から下は消えていった。
「シュウ君!」
慌てて駆け寄る。
「大丈夫だ。ちょっと壁で頭打ったくらいだ。それよりお前の方こそ大丈夫か?」
「僕は大丈夫だよ」
僕は彼に手を差し出す。
「助けに来てくれてありがとう」
「ああ。仲間だからな」
彼が僕の手を握った瞬間、嫌な声が聞こえた。
「許さないぞー」
シュウ君がさっき走ってきた廊下の奥。
階段を律儀に下りてきた化け物。
表情は相変わらず虚空を見つめ、にっこりとしているが、さっきの声には間違いなく怒りがこもっていた。
「お前、怒ってんの?」
「お前じゃない。スラリムだ」
スラリム?この化け物の名前か。
「怒ってんじゃない。ふみゃってんだ」
「いや、つまり怒ってんじゃん」
引き起こしたシュウ君は、どこかニヤついていた。
「ねぇ、シュウ君」
僕は小声でシュウ君に喋りかける。
「僕はアイツ、火に弱いんじゃないかと思うんだ」
「ああ、俺もそう思う。生き物である以上火は基本天敵だ。あのスライムって野郎も、さっきの反応からして効果ありだ」
名前間違えてるなと思いつつもツッコまず、手を構えて攻撃準備に入った奴に対し策を捻り出す。
「掴むよ」
「え?」
僕はシュウ君の腰に手を回し、片手で抱える。
「死ね」
奴の手から大きな玉が発射された。




