いつかの未来
いつもは厳粛な空気が漂う司令室。
多数のモニターが部屋の大部分を占めており、普段は複数のオペレーターが席に着き忙しなく行動している。
しかし今は違った。
部屋一面に血が飛び散り、呼吸のたびに鉄の臭いが鼻腔を刺激している。
そして複数の生き物だったそれが部屋の床に転がっており、今はもう2人しかその場に立っていなかった。
1人は含んだ笑みを浮かべ、1人は滴る血を止めようと、体を押さえ息も絶え絶えになっている。
「悲しいものだな。いざ対峙してみれば、こんなにもあっけないとは」
コツコツと足音が部屋に響き、見るからに重傷を負っている男に、もう1人は近づいていく。
その顔は、子供がおもちゃを買ってもらった時のようだ。
「安心しろ。お前はまだ殺さない。四肢を切断し保存しておいてやる」
邪悪に笑うそれの隙をつくように、男は歯を食いしばりエネルギーの充電を終えた銃を構え、トリガーを引いた。
しかしそれが音を立て、火を吹くことはなかった。
「くっ」
それはやれやれと目を閉じ首を横に振った。
「もうそれはロックしている。と言うか、ロックしていなくても俺には効かない。俺の能力を忘れたか?本当になぜ、お前のような奴が神に選ばれたんだろうな?まぁ、おかげで誰が能力を持っているか分からなくて困ったよ」
「……なんで……裏切ったんだ?」
銃を握った腕を力なくだらんと下げると、絞り出すように男はそう口にした。
その言葉にそれは、先ほどまでとは違い、男の慣れ親しんだ笑顔でこう言った。
「最初から仲間だと思っていなかったよ」
「……そう、ですか」
それは血の滴る銀の剣を振り翳した。
「まずは右腕からいこうか」
ブウゥゥンと銀の刃が、モニターの弱光を艶めかしく反射させ、空気を切り裂く音と共に、男の血飛沫がそれの体を赤く染めた。




