第4話: 新たな場所へ
イーサンは村での生活に慣れ、家族の信頼を得る。過去の後悔を振り返り、新たな旅立ちの時が来る。未来は希望か、試練か?
一週間があっという間に過ぎ、体が完全に回復した。畑仕事に本格的に参加できるようになった。アンドレは俺を家に泊めてくれた。その間、彼の態度が変わったのがわかった。
最初は必要最低限の言葉しかかけず、直球で冷たかった。初めて会った日の騒ぎが原因だ。彼は村のリーダーみたいな立場で、俺の存在が家族や村に悪影響を及ぼすのを恐れていた。
だが、時間とともに好感を持ってもらえたようだ。目線を逸らさなくなり、言葉が丁寧になった。畑や農場で全力で働いたおかげだ。
村人たちのイメージも改善した。最初は厄介者扱いだったが、努力とリマラの助けで、ようやく好意的に見られるようになった。
農業に慣れたが、他の面で苦労した。
ここには電気も水道もない。風呂や洗濯は川に行くしかない。前世では貧乏でも、そんな基本的な便利さはあった。今は贅沢に思える。
太陽が出る前に起きるのも嫌だが、選択肢はない。この家族は俺の分も食わせてる。怠け者になれない。ダレルはいいけど、俺は違う。
幸い、仕事の難しい部分は終わった。暇が増えた。悪い点は、木の葉を数えたり人生を考える以外にやることがないこと。大学で哲学者になれるかも。
前の世界はクソだったが、恋しいものもある。
家族とダイニングに座っていた。昼の陽光が埃だらけの窓から差し込み、埃の粒子を照らす。
リマラがニンジンとカブのスープと固いパンを用意した。大きな鍋から蒸気が広がった。
パンをちぎり、スープに浸して柔らかくした。前世の食事は味気なかった。ここのはシンプルだが、少ない調味料で味わい深い。
スプーンと皿の音、咀嚼音だけが響く。ダレルがスープをうるさく啜る。
「イーサン、将来の計画は?」
家族の長が突然の質問を投げかけた。
「えっと…」 考えを巡らせ、答える。「まだわからない。」
冷水を浴びせられた気分。最初は回復したら出ていくつもりだったが、延び延びになった。
油断しすぎたか?
もちろん、永遠にいるつもりはないが…わからない。あんなに早くとは思わなかった。
「仕事で旅してたって言ってたよな。何をするつもりだ?」
何か専念する? 考えたこともない。金が必要なら、夜に盗むか工場で雑用だ。
何のスキルもない。何ができる?
空の皿を脇に寄せ、アンドレは腕を組んだ。
「追い出すわけじゃないが、もう一人養う余裕はない。わかってくれ。」
「うん…わかってる。」
目を合わせられなかった。恥ずかしく、気まずい。スープに映る自分の顔しか見えなかった。
「畑を手伝ってくれてありがとう。でも、自分で何かしなきゃ。」
どうすれば? 何もない。悪い道に戻りたくない。
「家族はいるか? 捨てて何か探しに来たのか?」
「いや、家族はいない。」
心の中で笑った。彼らが知ってる唯一の人々だ。俺は一人だ。初めてじゃないけど、ここでは違う感じだ。
沈黙がテーブルを支配した。
異世界で生き延びる方法を考えなきゃ。まず、金と住処。どう手に入れる?
会話が続いた。
アンドレにここで仕事はあるか聞いたが、否定された。小さな村で、自給自足だ。
リマラが口を挟んだ。
「オルミルに行ってみたら? 仕事が見つかるかも。」
「そうだな。ここじゃ何もない。」
「どこだ?」
「数日後、ダレルが収穫を売りに行く。お前も行け。」 アンドレは息子を見た。「聞いたか? イーサンを連れてけ。」
「うん、うん。聞いたよ。」
悪い考えを振り払った。起きてもいないことに落ち込むのは無駄。ここで二度死に損ないを生き延びたんだ。これくらい乗り越えられる。何が難しい?
食事の後、リマラがテーブルを片づけ、皿をキッチンへ運んだ。
俺は後を追い、手伝った。何度か家事を手伝ってる。言葉を交わさず、彼女が水と石鹸で洗い、俺が拭く。何分か続いた。
沈黙を破ろうと思ったが、思い浮かばなかった。彼女も同じらしい。テーブルでの会話が気まずい空気を作っていた。
「パパのこと、ごめんね。追い出す気じゃないよ。」
「大丈夫。もう何か見つける頃だ。」
片づけ終わり、彼女は服の入った籠を持って川へ出た。俺は家の外に座り、山の景色を眺め、仕事に戻る前に休んだ。
ため息をついた。
生き延びる方法を探さなきゃ。オルミルに行っても、仕事が見つかるとは限らない。スキルがない。
唾を飲み込んだ。悪い考えを振り払うと言ったが、難しい。
夜はどこで過ごす? キャラバンを見つけて以来、路上で寝てない。初めてじゃないけど、やりたくない。
俺の運命は最悪だ。
座ったまま、視線を失った。ペシミズムと戦い、対抗しようとした。
負けそうになり、ため息をつき、椅子から立ち上がった。仕事に戻る。気晴らしが必要だ。
座って起きないことを嘆くのは時間の無駄。これを新しい人生で避けたい。
十分に離れられないうちに、アンドレの声が家から呼んだ。振り返り、急いで戻った。
「イーサン、忙しいか?」 彼が聞いた。
「畑に行くところだった。」
「あれは今日はいい。頼みがある。」
数歩下がり、アンドレは息を吸い、息子の名を叫んだ。
「ダレル! 下りてこい!」
二階から返事が聞こえ、階段を降りてきた。目をこすっていた。
寝てたのか…?
「何だよ?」 彼は重いあくびを漏らした。
「夕食に小さな獲物を狩ってこい。肉がなくなった。」
一瞬、ダレルの顔が輝いた。
振り向いて数歩進んだが、父に止められた。連れがいると言われた。
「待て、今回はイーサンと一緒だ。狩りを教えてこい。」
「え? なんで? 邪魔になるだけだぜ。」
予想通り、議論が始まった。ダレルは拒否し、自分勝手な理由を並べ、父は息子と一緒に行けと主張した。
黙っていた。会話に割り込むのは意味ない。
初めてダレルに同意した。この家族の息子は気に入らないし、向こうも同じだろう。滞在中、仕事中しか話さず、それ以外は無言だ。
アンドレが頼む理由がわからない。おそらく、最悪の場合、自分で食料を手に入れられるようにだ。
「でも…」
「命令だ! 時間を無駄にするな、行け。」
ダレルは父に軽く押され、離れた。父が見えなくなると、舌打ちした。
頭をかき、ため息をついた。最後に、家の入り口で待てと言った。
しばらく座って待つと、ダレルが戻ってきた。
弓二つと矢筒を持っていた。
「持て、矢筒を着けてついてこい。」 彼が言った。
ようやく矢筒の名前を知った。
何とか矢筒を着け、体に巻いた。彼は見事な手つきでやった。
「行こうぜ、謎の男。丸一日かけたくない。」
リマラの兄は俺を「謎の男」と呼んで、家族に話した起源をからかっていた。誰も完全に信じていない。
最初は苛立ったが、時間とともに無視した。
唾を吐きかけるのも無駄だ。父とトラブルを起こして追い出されたくない。
今は追い出されたも同然だが。
森へ歩いた。村の家が小さくなり、奥へ進んだ。
滞在中、家族のことを知った。アンドレと休憩中に話した。ダレルは兄で、双子だ。年齢差はわずか。
ダレルは過剰に活発だ。アンドレは息子は静かで、リマラが元気だったと言った。彼女がダレルみたいな性格だとは想像できない。
正反対だ。
もっと聞こうとしたが、アンドレは拒否した。表情が暗くなり、目に悲しみが見えた。その後、仕事に戻れと言った。
奇妙だったが、追及しなかった。人のプライベートだ。
家族の秘密はさておき。ダレルと旅を続けた。
彼が先頭。言葉を交わさない。俺に言うことはなく、ダレルは獲物の跡に集中していた。
小さな動物を二匹捕まえ、村に戻った。
驚くが、帰り道もまだ怒っていた。
これらはこの世界で俺が持つ唯一のものだ。失いたくない。役に立たなくても、俺の物語の一部だ。誰だかわからなくても、この世界に残す痕跡だ。
特別な感じがする。
家に着き、無事だった。父は息子が今回は従ったことに驚いた。俺たちの長い顔に気づいたが、聞かなかった。ただ、ダレルが俺に狩りを教えたか知りたかった。
肯定的に答えた。一日の怒りは十分だ。
夜が落ち、暗いマントが空を覆った。夕食はウサギのローストと茹でたジャガイモ。数日で最高の味だった。テーブルではダレルの悪いジョークくらいで、会話は少なかった。
部屋に戻り、疲れ果てた。瞼が重く、ベッドが誘うように呼んだ。
体を投げ、天井を見た。しばらくそのままでいた。
好奇心で携帯を調べた。ダレルがキーボードを壊したが、カバー内のボタンは見えた。小指の爪で電源ボタンを押した。
驚いたが、携帯は正常に起動した。ため息をついた。バッテリーは3本残っていた。盗んだ奴のは品質が良かった。
メニューを懐かしく眺めた。お気に入りの女の子の番号を見て、楽しい思い出を思い出し、馬鹿みたいに笑った。彼女たちは俺を恋しがってるかな。ストレス発散にまたやりたい。あれから苦労したし、まだ始まりだと思う。
ギャラリーを見ると、予想外の写真。頭に穴の開いたトーマスの死体。嫌悪で視線を逸らし、携帯を投げそうになった。すぐに写真を削除し、ジミーへの連絡とメッセージも消した。あれを忘れたい。
リラックスしようと、音楽を再生した。俺だけが聞こえる音量で。
いつ眠ったかわからない。
夜中に起き、部屋を出た。暗くて鼻も見えず、つまずかないよう注意した。
暗闇で用を足すのにまだ慣れない。尻が冷える。
トイレは家から離れた小屋で、穴だけ。初めて使った時、不快だった。トイレットペーパーもないから、掃除も大変。
止めておく。
用を済ませ、家に戻る途中、庭から淡い光。好奇心で近づいた。
リマラが石の祭壇を掃除していた。ランタンの弱い光でようやくわかった。
「誰だ!?」
慎重だったつもりだが、気づかれた。一歩進み、姿を見せた。
「落ち着け。俺だ。」 手を上げた。
「びっくりした…」
彼女はため息をつき、参加を誘った。
隣に座り、石の平らな表面に絵が見えた。年月で傷んだが、女性のシルエットと名前: アステラシア。
「何してる?」
「ママの墓を掃除してる。昼間に時間がなかった。」
こんな夜中に?
村は平和だが、気をつけないと危ない。明日待てないほどか?
家族の母がいないのは、最初に気づいた。聞くのは失礼だと思ったが、気になった。
彼女の顔に抑えた悲しみが見えた。何かを吐き出したいようだ。
「遅いんじゃないか?」
「うん、でもこの時間ならパパや兄貴に迷惑かけない。」 彼女は囁いた。
「なんで迷惑かける?」
リマラは息を止め、歯を食いしばった。
話したそうだ。父と兄がいるのに、なぜ隠す?
彼女の隣に座り、ママの絵を見た。
「きれいな絵だ。若いね。」
「うん…ママは私が子供の時死んだ。」 ため息をついた。「ここに来るたび、罪悪感を感じる。」
懐かしい言葉が、涙のように落ちた。俺を不安にさせた。
「ごめん、ごめん。泣かせたくなかった。」
「大丈夫、私のせい。」
リマラは深呼吸し、気持ちを落ち着かせた。沈黙の後、話し始めた。言葉は風に溶けるほど弱かった。
「私のせいだ。」 目を閉じた。「ママは私を探しに森へ出た。迷子になったから。」
口が震え、頰が赤くなった。
「パパは一緒にいなかった?」
「ううん、パパと兄貴はその日街にいた。私たちだけだった。私は森で遊んで、夜まで迷子になった。」
注意深く聞いた。彼女の母は突然の嵐で死んだ。雷が近くの木を壊し、彼女の目の前で。彼女はその日から感情を抑え、父が自分を恨んでいると考えた。もちろん違うのに。
家族にとって厳しい年月だったが、乗り越えた。でも、リマラは違う。まだ悔やんでいる。
「時間を戻して止めたかった。」 星を見ながら言った。
「母を失う気持ち、わかるよ。今日、家族がいないって言ったよな。」
「うん…」
「本当だ。子供の頃、両親を失った。あの日から一人だ。今も。」 無理やり笑った。
「本当? ごめん。」
「謝るな。」 肩をすくめた。「でも、両親がいればどんな人生だったか想像するよ。罪悪感はわかるが、あれは事故だ。そんな風に思ってたら、落ち着けないよ。」 肩に手を置いた。「ママが悲しむ姿を見たら、どう思う?」
「うん…そうだね。」
「ただ…もう考えないようにしろよ。」
最後の言葉が正しいか馬鹿か知らない。でも、失敗は少なかったと思う。悲しみを避け、少し話した。
彼女は俺の過去に興味を示した。最初は疑っていたが、アネクドートを話すと信じてくれた。
もちろん、犯罪者だった部分は省いた。嫌われたくない。
家に戻った。
部屋に入り、藁のマットレスに体を投げ、すぐに眠った。悪いのは、朝が早く来たこと。疲れすぎてベッドから出たくないが、強引に起きた。




