対面する
玄関ホールで家族全員で並びました。
(き、緊張するぅ~)
クリス兄様が手を握ってくれます。見上げると微笑んでくれます。
私もニコッと返します。
(ありがとう。クリス兄様)
とうとう馬車が到着しました。
なんだか旅行に行くような大きいバッグを持ってこちらに歩いてきます。
(?? お土産かな?)
「くくっ。たぶん違うよ」
(? 声に出てたかな?)
「ぶっ、ダメだ。笑うな堪えろ!相手が不審に思う」
と父様。
不思議に思いながら相手を見つめると少し困った顔でこちらに近づいてきます。
バートンが荷物を受け取ります。
「ようこそ、レオナルド第1王子殿下。お待ちしておりました。当主のジョージニア・マーロンと申します。こちらが妻のシャーロット、長男のクリストファー、次男のフレデリック、そして長女のシャンディアナでございます。」
「皆初めまして。出迎え感謝する。レオナルド・カールトンだ。よろしく。
・・・侯爵、早速で悪いのだが、少し話をしたい。よろしいか?」
「畏まりました。では、執務室へご案内致します。
皆は応接室で待っていてくれ。」
「はい、分かりました。皆行きましょう。」
ー執務室ー
「・・・こちらは陛下からの親書になる。確認してくれ。」
「はい、畏まりました。 ・・・・。」
「・・・?」
「・・・レオナルド様には何も教えていないと書いてありますな。」
「???」
「家族が待っているので、率直に申し上げます。レオナルド様は王位継承権を放棄なさって、我が家の長女シャンディアナ4歳と婚約関係になりました。そして、今日は顔合わせの予定と聞いておりましたが、こちらによると、このまま我が家で暮らせとの事です。しかし我が家には嫡男と次男がおります。よってシャンディアナは本来どこかに嫁がせるべきなのですがレオナルド様の婿入りという王命により、シャンディアナが成人したら籍を入れ平民となり我が領地で結婚生活をお送り下さいとの事です。」
「・・・・。」
(我が家も有りえない話なのに、殿下本人には相当くるだろう・・・)
「・・・そうか、そうか。すまぬな。世話に・・・なる。」
「・・・レオナルド様、陛下より平民になる前に現王妃様をどうにかするから、それまで生きろと暗号で記してあります。ですので、この屋敷で健やかにお過ごし下さい。但し、うちのシャンディアナは平民になることを望んでおります。」
「!?」
「ですので、娘には平民にはならないとは伝えないで下さい。」
「?・・・わかった」
「では、皆が待っているので移動しましょう」