新しい家族 3
泣いた者は涙をふき、衣服が乱れた者は整え、お化粧が落ちた者は、侍女を呼び、直し終えて、
全員揃ったところでバートンがお茶を出してくれました。
「「「「「ふぅ~」」」」」(全員分)
バートンが入れてくれるお茶は最高です。
クッキーも出たので目を輝かせて見ていると、
クリス兄様が1つとって「はい、あーん」と口に入れてくれます。
もぐもぐごっくん。「ありがとう。クリス兄様、美味しい。」
(前世はこんなにのんびりとお茶とお菓子なんて時間は無かったから幸せ~)
「ははっ、シャンディは思ってる事が顔にすぐでるね。前回はあまりお菓子にはありつけなかったのかな?」
と、父様に言われ、恥ずかしさで顔が赤くなってしまいます。誤魔化すようにクッキーをリック兄様に「あーん」します。
「ホントだ、美味しいな」
(リック兄様は動じない。す、すごいわ)
そんなことを考えていると、父様が
「ところでシャンディ。オーエンという国は今もあるんだよ」
「え?本当?ならちょっと行きたいです!!」と身を乗り出してしまいます。
「うーん、でもシャンディが行くには遠すぎる」と言って地図を出してくれました。
「我々の国カールトンからオーエンまでに国が4つある」
と、カールトンからオーエンの間の国を指でトントントントンと叩いていく。
(・・・え、3つだと思ってた・・・3つでも遠すぎるけど・・・)
「・・シャンディはオーエンでやり残したことでもあるのかい?」
「うーん、やり残しというか欲しい物があるのです。」
「欲しいものとは?」
「魔法紙と魔法ペン、それからたくさんの魔法石です。魔法石に私が魔力をこめます。魔法紙に魔法ペンで魔法陣を描けば魔法が発動します。魔法陣は複雑で難しいので第1王子に絶対にこれだけは欲しいというモノを決めてもらってそれだけを描き続ければ流石に発動する魔法陣を描けると思うのです。」
「それは、僕もやればできる?」
「はい。でもホントに地味で複雑でゲンナリする作業ですよ?」
「なぁなぁシャンディ、俺に向いてる魔法陣てどんなのがある?」
「うーん、リック兄様だと・・・あっ!!いつもお皿や花瓶を割って怒られてるからリック兄様の周りに結界を張って割れないようにするとかが合ってるような・・・」
とても期待していたリック兄様のお目々が段々とどんよりしちゃいました。
「あははっ」
「それが1番だわ」
「ナイスだよ、シャンディ」
皆は楽しそうにしてます。
「・・・ぐぬぬっ」
申し訳ないのでクッキーを1枚「あーん」しておきます。
もぐもぐ「・・・美味い」
「「「あははっ」」」
「私には?」と今度は父様が聞きます。
「うーん、父様だと・・・あ、何か大事なお話とかがあるときに絶対に聞かれない防音の魔法陣とか?」
「・・・ふむふむ、なかなかにそそられるものだな」
「シャンディも魔法陣を描けるのかしら?」
今度は母様からの質問です。
「はい、叩き込まれたので描けます。でもその魔術を使えるので、私には魔法陣は魔力が無くなったときのお守りみたいな感じかも。」
「まぁ、便利ねぇ。うらやましいわ」
こんな感じでこの日の話し合いは終わりになりました。