懐かしい感じ
今日は私の10歳の誕生日。
リック兄様は今日は授業が終わったら屋敷に帰ってくる予定です。
リック兄様が学園に通ってる間は、レオが領地経営をしてくれてます。
暗闇みの底に沈んで彷徨っていた日々もあったけど、引き上げてくれたのはレオ。
食べることも、寝ることも、笑うことも全てがイヤになり泣いてばかりいた時も側にいてくれたレオ。
見上げれば私の名前を呼んでくれて、手を伸ばせば抱き上げ、抱きしめてくれたレオ。
大好き。
そして、あの頃と比べると少し考えも変わり、平民を目指すのは変わらないけど、侯爵令嬢でいる間は侯爵令嬢としてきちんとしたいと思い、母様に相談しました。母様は涙を流し、「私が教育してあげる」と言ってくれて今日も勉強中です。
平民生活に向けて、料理、洗濯もしっかり学んでます。
母様もたまに一緒に料理をします。父様は帰ってきたら驚くでしょう。ふふっ。
それから術の強化。今後収入を得るためにマジックバッグをたくさん作りました。空間術を訓練して父様に渡した巾着よりも中は大きい容量で、早く作れるようになりました。
次に結界。これは以前、なんの先触れもなしに第2王子が我が家に訪れたのです。モロい部分があったみたいで侵入を許してしまったのです。我が家は大騒ぎです。第2王子も大騒ぎです。レオはどこだと。たまたま領地に行っていて不在で会うことは無かったけど、レオは隠れているに違いないと言って屋敷の中を探しまくり。私は病弱設定なのですぐに自室に向かいベッドで寝ました。そしていくら使用人が止めようとも部屋に入ってきましたからね。クローゼットも開けてましたからね。好感度は元から0ですが今回でマイナスです!
報告を受けたレオもぷんすかです。私を抱きしめながら「もう結婚してしまおう、婚約者なんかじゃ不安だ」とぎゅうぎゅうされてぐえっと声が出ました。
それからは結界訓練をして更には選別できるまでにしちゃった。それくらいもうあの人に会いたくありません!
夕方になり、リック兄様が帰ってきました。
リック兄様は私を見つけると
「シャンディ~会いたかった、誕生日おめでとう~」
と言いながら走ってきてぎゅうぎゅうに抱きしめます。
昔から力加減は変わらずです。
走るなと母様がばしこーんと頭を叩き、レオは長いと言って引き剥がします。
「なんだよ、久しぶりなのに・・・」とリック兄様はブツブツ。
「学園で何を学んでるのかしら?まったく・・・さ、早いけど食事にしましょ」と母様。
リック兄様の学園の様子を聞くのは大変面白かったのですが、1学年上にいる第3王子に付き纏われてるから面倒という話になってからは以前の第2王子の事も皆思い出し、それぞれ文句がはじまります。
「1つくらいいい話をしてあげたいのに何も浮かばないわ」と言う母様に皆で笑います。
そんな時です。突然、頭の中に「もう少しで会える」と聞こえてきたのです。手からフォークが落ちます。反対の手のナイフも落ちてしまいました。両手で顔を覆い震えてしまいます。
「シャンディ?」とレオが立ち上がりこちらにきてくれます。
片方の手は顔覆ったまま、もう片方の手はレオに伸ばすとその手をとり、抱き上げて「どうした?」と抱きしめられます。
「と、父様達が・・えぐっ・・近くまで来てる。やっと・・うぅ・・会える。」と何とか伝えます。
「「「!!っ」」」