フレデリック
俺は来週から3年間学園に行く。
学生寮に入って俺までこの屋敷から出ていいのか?
俺はもう14歳だ。
あれから父上と兄上に会っていない。
1度だけ手紙が届いた。
内容は、
「元気だ。帰宅するための資金を稼いでいる」
それだけだ。
ふざけるな!と思ったがこの1度の手紙で全員が救われたのは確かだ。
手紙が届く前までは・・・
最初は皆でシャンディが描いた魔法陣をただの紙に描いて練習した。俺が身体強化。母上は防音。レオは結界。
父上達が帰ってきたらすぐ実用化できるようにと練習した。
だけど1年過ぎたあたりから、母上はやはり転移にしたいと言い、それをもう狂ったように描き続けていた。
2年過ぎて、母上はぼーっとして空を見るばかりになった。
シャンディは私のせいで・・・と自分を責めまくり、笑わなくなった。
俺は泣くに泣けず、何かをやる気にもならず、腑抜けた日々を過ごしていた。
執事のバートンから
「このまま旦那様がお帰りにならないならフレデリック坊ちゃんがこの屋敷をまとめていくお立場になりますので、少しずつでも私と一緒に始めていきましょう」
と言われ、父上達がもう帰って来ることはないと言われたみたいでバートンにやつ当たりをして部屋にこもった。
数日こもっているとレオが来て、説教をされた。俺がキレてレオにつかみかかってそのままやりあった。
部屋はぐちゃぐちゃ
服はボロボロ。髪はボサボサ。顔は鼻血にアザ。
正気に戻ってからお互いを見てあまりの酷さに笑った。
笑いが収まったら、次は抱きしめあって、泣いた。
スッキリした。
それからはバートンとレオにサポートしてもらいながら領地経営をやるようになった。
レオは俺をサポートしながら、母上とシャンディにも寄り添っていてくれた。
レオがいてくれて本当に助かった。
もうあいつが長男でいいと思う。俺は3男。次男は行方不明。
これでいいと思う!
そんな日々過ごしていたら、突然届いた手紙。
皆で確認した。父上の字に間違いない!生きてるっ!
久々に全員が揃っていて、全員で泣いた。
それからは明るさがこの屋敷に戻り、皆がそれぞれにやるべき事をやり、きちんと話し合い、食卓を囲んで笑いあった。
早く帰ってこい、クソ親父にバカ兄貴!