クリストファー
僕はクリストファー・マーロン
侯爵家の長男で12歳。
体を動かすよりは本を読んだり勉強をすることの方が好きだ。
顔は母上にそっくりだとよく言われる。
父上は大型犬のようで、母上は高貴な猫って感じかな。
2人とも家同士の兼ね合いから婚約したらしいが
そこから恋に落ちて、結婚して愛を育み、今のおしどり夫婦と言われる関係なっているそうな・・・
本人達から聞いたわけではなく周りから聞いた話だけど。
そして弟が出来た。
とにかく元気。顔は父上にそっくりだと言われている。
元気過ぎてモノを壊したり、猿のように木に登って、そしてそこから落ちてもケラケラ笑っていてこいつ大丈夫か?なんて皆心配してるけど、僕は優秀だとわかっている。
何かをしでかして、罰として僕が家庭教師と勉強しているところに放り込まれたことがある。
「おとなしくしていろ。迷惑かけたと報告があったら食事も抜くぞ」と父上は出ていった。
この弟におとなしくなんてムリだろ・・・なんて思っていたのだが
「今回はマジで俺が悪すぎた。反省する。兄さんもカイン(家庭教師)もごめん」と謝罪をして勉強に参加してきた。
この日は、計算の日だった。僕は紙とペンがある。弟は座ってるだけ。なのに僕より早いのだ。では、紙とペンを持つとどうなるのか・・・。更に早いし、紙をみると僕とは解き方が違っていた。解き方を教えてもらったけど、今までの解き方に慣れてしまっていて少しやりずらかった。
すると弟は、「兄さんのやり方の方が絶対確実。俺は勉強する時間を短くしたいから思いついただけ。」と言ってすらすら解いていく。僕は弟の倍の時間がかかった。僕は全問正解だったけど、なんか悔しかった。
弟は優秀なのにそれを出さないようにしてる気がする。僕に遠慮しているのか?と思い、聞いてみた時の返事は、
「長男は長男に生まれた重責を負う役目があるから大変だけど兄さんは別にそれが苦じゃないし、当たり前と思ってるでしょ?その考えがマジ尊敬。だから兄さんが俺の兄さんで本当に良かった!俺なら絶対にイヤだ。だから兄さんの気持ちが変わっても後継から降りられないし、降ろさないよ?ホントにヤバそうな時に手伝うくらいが次男の役目で俺は自由がいい。」と言っていた。
本当に弟なのか?と思う答えに驚きながらも、じゃあ
僕は長男らしく生きていこう。と思った。
そんな弟は妹ができてから僕を兄上と呼ぶようになったんだよなぁ。兄さんの方が良かったなぁ。
そして妹の誕生だ!
ここはどこ?って感じに目をキョロキョロさせていてホントに可愛い!
小さな手で僕の指を1本ぎゅっと握って、ずっと見つめてくる可愛い顔。あなた誰?と言われているようだ。
「シャンディアナ、君のお兄ちゃんだよ」と言うと手をブンブンとした。可愛い!
とにかく全てが可愛いっ!!
・・・って思っていたけど・・・
記憶があったのだからホントにここはどこでお前は誰だと訴えていたのだろうな・・・
妹は父上と母上のどちらにも似ている。
「いいとこ取りね!ずるいわ、シャンディ」
と母上が言っていた。
家族会議で妹の話は衝撃だった。でも話し合いをして進む方向が決まった。
前回も大変な思いをしたのに、今回も王命で4歳で人生が決まってしまうなんて。
覆す事のできぬ中で足掻こうとする妹の為にこうして父上と今旅に出てる。
最初は気合いに満ち溢れていだが、初めての長距離移動にだんだんと気が落ちる。窮屈だ、お尻が痛い、ゆっくり眠りたい、いつもの食事をとりたい。
今までの生活がどれだけ恵まれていたかを実感する。
でもまだあと2つの国を越えなければいけない。
そういえば弟も妹も自由になりたいと言っていた。
可愛い弟と妹の為に兄は頑張るぞ!!
・・・でも・・隣の父上が服を着替えないからちょっと臭うんだよなぁ・・・
シャンディはオーエンに着いてから着る服って言ったのになぁ・・・
漂う臭いにまた気が滅入るところを、
弟や妹、母上を思い出し、我々に託して待っててくれているのだから頑張ろう!!
再度気合を入れる長男クリストファーなのだった