第三話•ガウチェスキー将軍
急に架空の都市名とか出てくるけど許してね。
後、久しぶりの更新です。
ゲシュトラント指揮下の第八装甲師団は
さしたる抵抗も受けないまま、
最初の攻略目標である、ガルニア北部の都市、
ラヴォニア近郊の木々の生い茂る丘陵地帯まで迫ったところで一旦進軍を停止させた。
(妙だな…ここまで迫ってるのに抵抗がないとは…
まさか…何かしらの罠が仕掛けてあるのだろうか…)
あまりにもの抵抗の無さにゲシュトラントは罠を警戒した。
「第十二偵察小隊のレイター少尉に伝え…ん?何だあれは…?」
ゲシュトラントが偵察小隊への命令を送らせようとした矢先、一輌の軍用車がゲシュトラント達の下へ向かってきた。
「ラントさん…撃ちますか…?」
砲手のハインツはゲシュトラントに撃つべきか尋ねた。
「いや、撃つな。白旗を掲げてる。おそらくだが降伏交渉をしに来たのだろう。だが、念の為、臨戦態勢を崩すな。」
「了解です。」
それから十数秒と経たずして軍用車が到着し、
中から白いヒゲを生やした小柄な将軍が数人の将校達共に降車した。
「儂は、ラヴォニア防衛軍総司令官、ユゼフ•ガウチェスキーである。今回我らはラヴォニアの破壊を防ぐべく、降伏交渉をしに参った次第である。」
ガウチェスキー将軍は威厳ある声でそう宣言した。
「して、そちらの名は?」
ガウチェスキー将軍はゲシュトラント少将に
名を尋ねる。
「第八装甲師団師団長、ライセル•ゲシュトラントだ。
将軍、降伏交渉をしに来たというその言葉に偽りはないな?」
ゲシュトラント念を入れて尋ねる。
「偽りは無い。降伏交渉をしに来たのは事実である。」
ガウチェスキーは厳かに答えた。
「了解した。フリッツ、第二装甲軍司令部へ伝えろ。
``ラヴォニア防衛軍総司令官が降伏交渉を申し込んできた、、とな。」
「了解。」
ーーー第二装甲軍司令部ーーー
「だそうです、将軍閣下。」
第二装甲軍の通信将校、グスタフ大尉は
第二装甲軍司令官、ゲスター•ヴァイトリッツ装甲大将
へ、第八装甲師団より伝えられた事を報告した。
「うむ、報告ご苦労であった。」
「で、降伏交渉の方は…」
「認めよう。即座に彼を我が司令部まで丁重に案内するようゲシュトラント少将へ伝え給え。」
ーーー第八装甲師団前線司令部ーーー
「たった今、降伏交渉を承認することと司令部まで案内せよとの旨の返答を受けた。従って俺は将軍とその付添の将校達を司令部まで案内する。」
ゲシュトラント少将は淡々とガウチェスキー将軍に告げた。
「感謝する。」
「さぁ、こちらへ。」
ゲシュトラント少将指揮戦闘戦車から降りると、
ガウチェスキー将軍らが乗ってきた軍用車に乗り込んだ。そして席につくいて運転手に指示した。
「この道をまっすぐ行けば司令部だ。」
「了解です。」
若い運転手は落ち着いた口調で答え、軍用車を発進させた。
「しかし…狭いな…」
ゲシュトラント少将がつぶやく。無理もない、
ゲシュトラント少将は身長は優に2メートルを超えるため、通常の軍用車では小さすぎるのだ。
「そちらが大きすぎるだけじゃ。全く羨ましい限りじゃわい。儂もそのくらいあれば、もうちょい威厳を示せるのじゃが。」
ガウチェスキー将軍は少ししょげた雰囲気で言った。
「将軍、威厳があるかどうかは背が高いか低いかは関係ない。小さくとも威厳のある人間は過去にも今にもに五万といる。別にしょげる必要はない」
暫く、ガウチェスキー将軍は黙考した後に口を開いた。
「そうか…それもそうじゃな!ゲシュトラントとやら、感謝するぞ。」
ガウチェスキー将軍は元気よく答えたのだった。
ーーー第二装甲軍司令部ーーー
「着いたぞ。ここだ。」
軍の司令部なだけ有り、立派で威厳あふれる建物となっている。
「ゲルト軍曹、門を開けろ。ヴァイトリッツへの来客だ。」
守衛のゲルト軍曹はゲシュトラントの言葉の意図を汲み取り、門を開けさた。
「感謝する。」
ゲシュトラントは一言ゲルト軍曹に告げると軍用車を
進めさせた。
ゲシュトラント少将の案内で暫く軍用車を進め、
駐車場へ軍用車を停車させた。
「さてと、行くとするかの。」
「気をつけろよ、将軍。ヴァイトリッツは大のガルニア人嫌いだからな。」
「わかっとるよ。そんなん百も承知じゃ。」
「そうか。」
「さっ、行くとするかの。ゲシュトラントとやら案内を頼む。」
「分かった。」
2人がこんな会話を交わした後に、司令官室へ向けて歩みを進めた。
続く………
用語解説
•ラヴォニア…ガルニア北部の都市。中世的で美しい町並みが特徴。また、鉄道網などが集中しており、戦略的な要所となりうる都市である。