第二話•初弾
ゲシュトラント少将の率いる第八装甲師団はガルニア領内へ進軍した。
進軍する道中に準備砲撃で破壊されたであろう
陣地やガルニア軍の軍用車、建物が見えた
「相変わらず重砲による砲撃ってのは凄まじい…誰かが戦場の神は砲兵であると言っただけある。」
砲撃の凄まじさに無宗教無神論者であるはずのラントも``戦場の神は砲兵である、、という言葉を例えとして持ち出しす。
ゲシュトラントの指揮下の部隊は特に敵に遭遇することもなく順調に進軍する。
道中味方の急降下爆撃隊が彼の指揮下の部隊の上空を通過した。
「それにしても敵の姿が見えませんね。まさかとは思うが戦いもせずに逃げたのでしょうか?」
ゲシュトラントの搭乗する指揮官専用戦車の操縦手の
アルベルトが尋ねる
「流石にそれは無いだろう。相手は腐っても正規軍。
きっと後方の防衛陣地まで後退して防衛の準備をしてるのだろう。もっとも、先程の急降下爆撃隊がその陣地を叩く手はずになっているはずだが。」
アルベルトの質問にゲシュトラントは淡々と答えた。
更に彼の部隊は前進する。
そこでようやく敵の姿が見えた
「右前方120メートル、敵戦車有り!その数…一輌…?」
砲手のハインツは困惑した。なぜたった一輌なのだろうと
「多分だが、味方の急降下爆撃から逃れた感じなのだろう。」
「なぜ分かるんです?」
ゲシュトラントの推測にハインツが尋ねる
「右前方奥のの森林地帯から火の手が上がっているだろう。ありゃ空軍の急降下爆撃隊がやったに違いない」
右前方奥の森林地帯を指さして答えた。
「アルベルト、停車しろ。そしてハインツ照準急げ。」
その後にゲシュトラントはアルベルトとハインツに
即座に指示した。
「右40度!!砲角そのまま…」
砲手ハインツは砲塔を右40度方向に旋回させ、照準を合わせる
「砲撃準備完了!!」
ハインツが声高らかに報告する
「撃てぇ!!」
ゲシュトラントが大声で射撃命令を出すと、
ハインツはトリガーを引き、砲を放った
砲弾は見事に命中。しかも弾薬庫に命中したらしく敵戦車は大爆発を起こした
「初弾から大当たり。幸先がいいことこの上ないな。」
ゲシュトラントは顔には出ていないが落ち着いた彼の言葉には歓喜を帯びていた
「よし。このまま目的地まで一気に進むぞ。」
「前進!!」
ゲシュトラントは高らかに指示を出した
続く…