俺達A組なんですけど
<可愛い>って魔法のような言葉じゃないか?
俺は可愛いに限界なんてないと思う。
なぜなら、毎度毎度のように可愛いの限界突破をしてくるやつが、隣にいるからだ…
「あかつきー…?なんか考え事?」
隣から最近少しずつ聞き慣れてきた耳触りのいい声がしたので振り向くと、由良紗奈が俺の事を不思議そうに見つめていた。
「あー、うん。ちょっとな。」
この由良こそが俺が可愛いに限界は無いと思った理由であり、いつも想定を超えた可愛いを発揮してくる張本人なのである。
俺の名前は暁蒼真。高校1年のA組。俺たちの学校はアルファベット順にクラス分けが成されてはいるが、それが成績の良さによるもので無いことは新年度一発目のテストで解った。俺らのA組は壊滅的に平均点数が低い。ほとんど全員が赤点か、赤点ギリギリ回避ぐらいの成績の中、余裕で85点以上を取っていたのが由良と俺だけだったことから、由良とは少し話すようになった。その時はまだ出席番号順に座っていたから席が遠かったのだが、5月になり席替えをした時俺と由良は窓際の席で隣同士になった。その頃から俺は思い始めたんだ。可愛いに限界なんて無い、と。