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1話 普通のおじさん、異世界転生してしまう

 筆者一年ぶりの異世界ファンタジーです。

 普通のおじさん、だけど無双、だけど善人、更にお買い物チートを授かったおっさん。

 時々無双したり、時々商人の真似事をしたり、自らの欲望に従いながら異世界を楽しんでいくお話です。


 退屈な人生だった。


 人に誇れるものといえば、他人より少し真面目なくらいだった。


 無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職したのが運の尽きだ。


 まさか高所から落ちて死ぬとは思わなかった。


 今ごろあの極悪社長は不慮の事故だと書類に書いているのだろう。実際は過労死だが……。


 私の名前は君内志賀きみうちしが、40代半ばに差し掛かるおじさんだ。


 だがどうやら異世界に転生したらしい。


 今いる森は、見たこともない植物で溢れている。

 身体中に宿る不思議な感覚が、直感で魔力だとわかった。


 安全靴を履いているのが幸いだが、歩けど歩けど山の中で困っている。


 危険は今の所ないが、最悪な事に誰もいない。


 住んでいる所が田舎だったこともあり、森の中だということでパニックになることはないが、私が知っているキノコなどは生えていない。

 食料はない。ひとまず水辺を見つけたのだが、これまた驚いたことがある。


「……少し若返っているのか」


 20代後半か30前半くらいの私が水に反射して映っていた。

 何となく変だなと思っていたが、どうやらそういうことらしい。


 気になるのは、なぜ私がここにいるかということだ。

 神隠しなるものを聞いたことがあるが、それと同じで偶発的に起きただけかもしれない。


 となると、ここで無意味に屍となり朽ちてしまう可能性がある。

 そんな漠然とした恐怖を感じながらも数時間彷徨うも、結局手がかりはなかった。


「お腹が空いたな……」

 

 仕方ない。今で見て見ぬふりをしていたが、やはりこれに頼るしかないのだろう。

 右下にわずかに見えるアイコンに手を触れてみる。


 まるでゲームだ。幼い頃は人並みにアニメや漫画が好きだったので興奮しないと言えば嘘になるが、心がおじさんなので不安があった。


 おそるそそる『ステータスオープン』を唱えると、自身の詳細のようなものが映し出される。


 名前:キミウチシガ

 レベル:1

 体力:E

 魔力:E

 気力:E

 ステータス:やや疲れ気味(甘い物を食べたほうがいいかも)

 装備品:作業現場ワーカー上下(やや安い)、安全靴(やや硬い)

 スキル:空間魔法Lv.1、

 固有能力:超成熟、お買い物、多言語理解

 称号:異世界転生者


 なんだこれは……。


 ステータスはおそらく低いが、スキルを知らぬ間に覚えている。

 だが意味不明な文言だ。後、甘い物は食べたくても食べられないんだが……。


 試しに空間魔法を詠唱してみると、目の前にブラックホールのようなものが出てきた。

 イシコロを投げ入れてみると、1/100と表示される。


 なるほど……。もう少し大きいイシコロだと、3/100となった。

 おそらく体積か何かで判断されているのだろう。

 超成熟とお買い物はよくわからなかった。多言語理解はそのままの意味だろうが、誰とも会ってないので使いようがない。


 とりあえず声に出してみるか。


「超成熟!」


 ……何も起こらない。

 時間差なのか、それとも魔法なのか。


「お買い物!」


 何も起こらない――と思っていたが、視界に映し出されたのは随分と見覚えのある通販サイトだった。


 Nyamazonにゃまぞん。オリジナル製品を販売している大サイトで、どこかに必ず猫のマークが入っている。

 購入できるのかと適当に選択肢してみたが、お金が足りないと表示された。当たり前と言えば当たり前か。


 気になるのは、お届け先の住所の項目がないことだ。

 画面の右下に、何かを入れてくださいと言わんばかりの謎の空間がある。

 試しにイシコロを入れて見たが0円と表記された。

 

 戻ってはこない……。


 もしかすると価値があるものだと表示されるのだろうか。


 そういえば山を歩いている途中に見つけた綺麗な石ころを持っている。

 赤く光っているので何かの役に立つかもしれぬと思ったが、どうだろうか。


「えいっ」


 期待を込めて投げると、数字の表示が――切り替わる。


『計算中、計算中、――800円にゃあ』


「おお……?」


 わずかな期待に胸を膨らませてウィンドウを動かすと、食料品という項目を見つけた。

 そして私は、猫印おにぎり150円4つと、猫ウォーターボトル500mlの100円を2本を買い物籠にいれる。


 ドキドキしながらクリックすると『お買い上げありがとにゃ~』とアナウンスが流れた。

 

 次の瞬間、自身の上部からブラックホールが出現し、そこからおにぎりと水が出てきた。

 猫マークのロゴ付き。間違いない、Nyamazonにゃまぞんの製品だ。


 よくわからない出来事に驚きつつも、とにかくお腹が空いていたので勢いよくおにぎりを頬張る


「ああ……最高だ……私はおにぎりの為に生きていたのかもしれない」


 この世の物とは思えない白米の旨味、海苔が絡まり合った懐かしい味が身体に染み渡っていく。

 数分足らずで胃袋に掻き込む、500mlの水をゴクゴクと飲み干す。

 酒ではないが、五臓六腑に染み渡る……。


 お腹がいっぱいになると、ようやく頭が冴えてくる。

 一時期はどうなる事かと思ったが、もしかしたらなんとかなるかもしれない。


「ぐう」


 だが私のお腹は、まだ足りないと叫んでいる。


 とりあえず、赤い石を探す旅に出よう。

【大事なお願いです】


「おじさん好き」

「ほのぼの好き」

「この話の続きが気になる!」


そう思っていただけましたら

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