そして誰も書かなくなった
「……また、一人消えた」
ログイン画面を見ながら、僕は呟いた。
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僕は、至って普通の高校生。
趣味はWEB小説を書くこと。
色々なサイトを巡ってきたが、今は『ノルメッテ』というサイトで活動している。
有名なところも活動していたけれど、今はそこに居着いている。
理由とすれば、活動人数が少ないからだ。
人が多いところだと、分母が多いから読まれにくい。
それに比べて、ノルメッテは100人も満たない場所。
相互で読める人が多くなりそうだ、そう考えて登録したのだ。
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それから数ヶ月が経った頃、僕は疑問に思う現象を見かける。
それは、1年以上のユーザーが居ないのだ。
公式の説明では、このサイトは5年も続いているとのことだ。
明らかに、おかしい。
初期からのユーザーは居なくとも、それ相応の人は居る筈なのに……
最初に気がついた時は、単に合わないだけだと思っていた。
しかし、だ。
登録が一年を迎えた同じ戦友が、翌日にアカウントが消えていたのを目の当たりにしたのだ。
それに加え、登録したら解除は出来ない。
謎の『アカウントロック』がされていて、犯罪であるハッキングでさえも解除が無理らしいのだ。
登録者数が日に日に少なくなる。
それに、僕以降に入った人は居ないのだ。
ネットで調べても、何も出てこない。
この不可解な現象は、いつまで続くのだろう。
▪▪▪
「………また、一人消えた」
ログイン画面を見ながら、僕は呟く。
あと残りの戦友は、5人。
登録者が使える掲示板では、この異変について残りの人たちが盛んに語っている。
『このサイトは、呪われて居るんじゃないか』
『もしそれが本当だったら、俺たちはどうなるんだ』
『そんなの知らないわよ。バッタリ[アカウント]が消えるもの』
(……あれ)
そうこう、話しているうちに一人の戦友が消えるのが確認出来た。
『……今一人、また消えましたよね』
僕がそう書き込みをした途端、画面が真っ暗になった。
「どうなってるんだ!?」
背後に誰かが居るのが分かる。
振り向いちゃいけない。
何故かは分からない……
そうじゃない、振り向いたら殺されr
《WEB小説は、今後……》
《情報の海に沈んでいくんだよ》
《そんなところに、身を委ねる間抜けな輩に》
《『決着ノ刻』だ》
この日を境に、『WEB小説』というジャンルが終わった。
誰が何の目的で、このジャンルを消したのは分からない。
そして誰も書かなくなった。
この物語はフィクションです。
……いや、フィクションでもあったら怖いよね。
『そして誰も書かなくなった』
そんな末恐ろしい世界なんて、世紀末よりツラいんじゃない?
あとこれは余談ですが。
中の人、地味に『作者名』に別名を載せました。
多分誰かは分かりそうだが、気にしたら負けである。
そんじゃそーいう事で。
じゃあの。