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32歳男ニート 癌になる  作者: 十三
3/213

11/15

長い

 11/15

 やっぱり一度蚊に起こされたけど、あんまり不快じゃない。


 いつも通り家で何もやることがない状態

 いや、やることはいつもなら能天気にブラゲはしごやらなろうやらをのぞいたりしているんだが

 それに対して全然やる気が起きない 魅力を感じない

 特にブラゲに関しては、昨日書いてあるように時間の連続性を無邪気に信じられる状態じゃないと楽しめる代物じゃないんだろうな


 この心理状態はつらい

 思いっきり大声でおぎゃりたくなるけど、そんなことやってもまったく問題の解決にはつながらないことは明白 一時的にすっきりしてもどうにもならない

 とはいえうじうじしてても同じなんだよね

 じゃあどうするかって問題だけど、どう解消したもんかね

 永遠の命題?

 合理的?に考えれば治ると信じて、心理的に参らないように治療に取り組むのがいいのだろうけど

 まだ確定してないからなあ 方針すら立てられてないからなあぁ


 1日って長いね

 起床して3時間しかたってないのに、精神的負担 心労が当社比できないれべる

 労働という何も考えないで済む時間がない分、しんどい

 こんなものには真正面から戦うものじゃないね

 労働していないという実態から逃げて、逃げて、思考を放棄して現実逃避を続けていたツケ?

 どうだろう?もしもの話になるからどうしようも、毛ほどの意味もないけど

 一般的な日本社会の一員として労働してたら、人間関係に悩んで病む自信があったんだよね

 案ずるより産むがやすしとはいうけど、どうにも一歩が出なかったんだ

 結果としてこの年で同様の事態が起きてしまうのであれば、あんまり仮定の意味を感じない

 結構鬱々としてニート生活してたのが余計癌を助長する要因になってたという可能性を否めないのなら、いやでも、どんな状況でも鬱々と過ごしてそうだ

 確実に言えることは、今が最悪最低てこと


 もしもという話は、現状が良い状態にあって、あっちの選択をしてたら悪かったかもしれないという、自分の選択の正当化するためのものであって、現状が最悪の場合、あっちの選択をしてたほうがよかったかもしれないという話には何も救いを得られないなぁ

 現実逃避?

 あーすればよかった、こーすればよかった

 伯父が健康診断で見つけて対処した大腸がん、その骨転移で亡くなったという話は聞いていた。50代だったはず

 自分はそのころ何歳だったかは記憶にないが、高校生だったかな

 それから母はよくうちは癌家系だというようになった。とくに俺と次兄は幼少期からおなかを下すことが多いから気をつけろと。

 一応市の30代健診を受け、便潜血検査もやってたんだけどな。内視鏡を受ける機会はなかった。

 統計から漏れた身としては、なんとかならないのかなと不満がなくならない

 血液検査でわかりやすいのは肝臓の異常?大腸がいくら侵されようが、人体は何の反応も示さないらしい。

 現状腹部に違和感があるような気はするが、ないような気もする。その程度の自覚症状。

 既に肝臓の中に何個か大きめ?の腫瘍があり、肺にも小さいのが何個かあるらしいけど、全然自覚症状がない。やべーよこれ、

 肝臓の病気かなって思ってたら、何個も腫瘍がある場合は他の所からの転移の可能性が高いとかほげぇとしか言えない。

 11/18に大腸内視鏡検査を緊急的にねじ込んだ医師。相手さんは枠はない枠はないと繰り返してたみたいだけど、よっぽど緊急性高いらしいですよ奥さん。まぁ普通に待ってたら来月になるとかいう話だったみたいだけど。


 ぁ、昨日の診察をまとめておこう。

 別のそこそこ大きな病院(11/4受診、以下「そこ大」)からの紹介状をもって大学病院を受診。

(本来の予定なら11/9だったけど同居家族にコロナ陽性者が出て延びた)

 大学病院への予約が非常に速いのは重病の可能性大っぽいね?


 問診、血液検査、造影剤つきCT。

「そこ大」でも血液検査したけど、まぁ同じように異常値。

 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)54 (基準値13-30)

 乳酸脱水素酵素(LD) 510 (基準値124-222)

 C反応性蛋白(CRP) 0.50 (基準値0.00-0.14)

 そして癌マーカー?

 CA19-9 583 (基準値0-37)

 なお「そこ大」だと暫定値で1068とか言われたから、少し減ったね?

 不幸自慢が楽しくなってきた。


 造影剤でヨードにアレルギーあるかって訊かれたけど、初体験なのでもちろん分からない。

(影を造る薬剤だから造影剤?まんまやね)

 左腕 手首と肘の中間よりやや手首側に針を刺して注入。

 万歳状態でCT内へ

 注入が始まるとめちゃくちゃ体が熱くなるというか、血流が異常によくなる感じというか。胸の中心がつっかえて、ちょっと吐き気っぽいのもあって「これ大丈夫?アレルギー反応出てない?」とか思ったけど、少し経つと一気に楽になった。

 造影剤投与の説明書に

 駐車開始後30-60秒くらい経過すると、体が熱くなることがありますが、すぐに治りますので心配ありません

 と書いてあるけど、体感ではもっと長かった。緊張してるし、副作用かもしれないという恐怖心もあったからかな。

 そのあとは通常通り、少し息を止めてCTスキャンされるだけ。


 しばらく待機時間があり、検査結果を聞くことに。

 結果は前にも書いてあるからので省略。


 10:00診察予約で9:30に受付して、会計時15:00過ぎ。大学病院時間かかりすぎ問題。


 検査結果聞いてから、次の大腸内視鏡検査の説明、注意事項伝達、会計、大学病院の敷地出るまで、茫然自失と表現すればいいのかな、悪夢心地といえばいいのかな。体は動くんだけど、心はどうにも反応が弱いというか、「俺が癌かー」という思いにとらわれて他に感じる余裕がない感じだった。


 組織内の癌っていうけど、自壊しない組織なら人間単体よりよっぽど強いね とかふと思った。

 あれか、増殖やら転移しないならどうとでも対応できるということか、くそう。


 だめだ、これが情緒不安定ってやつか?

 涙のタガがいかれてやがる。母親を車で送迎するだけで感極まる。いったいあと何回こんな機会があるのだろうか。脳裏によぎる。泣きそうになる。

 多分今が一番心理的に不安定な状態なんじゃないかな、これが続くとなると・・・さらに悪化したらどうなるんだろ

 これをすれば治るとか、すればいいことが決まる、決めつけてしまえば楽になれるだろうな。この心理につけこむ悪徳商法死すべし。両親が変なのに引っかからないでほしいと切に願う。心が楽になるのは素晴らしいことだけど、ね。頼む。



 前にも書いたけど、時間の連続性ってやっぱり大事なんだ。それが断絶してしまう死という現象に対して、正面から向き合うのは理性がもたない。本能的にそれを察知しているから、死について考えてしまうほどの暇を持て余す人間は少ない。

 何か生産的な趣味を持つか、寝食を忘れて没頭できる趣味を持たないニートは悲惨だと思う。俺がそうだ。何をしててもふと脳裏によぎる命題


 何故生きているんだろう

 いつまでこの生活を続けるんだろう/続けられるんだろう


 命題への漠然とした不安を見て見ぬふりをして、漫然と過ごす日々。今日と同じような明日がやってくると、何の確証もなく信じられた毎日。


 三十路という大台に乗ったときに悟ったのは


 死にたくないから生きている


 ということだけだった。

 とりあえず何故生きているんだろうという命題は脳裏をよぎらなくなった。子供の言い訳かな?

 後者の命題については、いまだに答えは出ない。

 余命宣告されるか分からないけど、終わりが近そうであることは察せる。強制終了だ。時間切れ。

 命題への答える権利は失われた。

 代わりに、強烈に思考をむしばむ


 いつまで生きていられるんだろう


 という不安が手に入った。俺の手には余る、莫大な、膨大な、過大な、反吐が出るほどの重すぎる荷物。体が癌にむしばまれるより早く心が絶鳴をあげそうだ。


 現在時刻は15:17、上に書いた「1日って長いね」から5時間余り。

 こうつらつらと適当に文章化することによって気はまぎれる気がする

 これも一種の現実逃避かな


 それにしても、どんな顔して過ごせばいいんだろうね

 元から夕食を皆で囲む以外一家団欒はなく、個人主義というか、自由というか、あまり干渉がないというか。

 そもそも俺が自分のことを話すってことがなかったから、「俺、癌にかかったっぽい」ということを話すことすら引け目を感じてた。ニートという引け目もあったし。

 心配かけたくないけど、心配してほしい。俺が死んでも気にしないでねって言いたいけど、気にしてほしい自分もいる。かまってちゃんかな?面倒くさい。面倒くさいけど、本音を言葉にするとこれなんだよね。

 持て余す不安、俺の身を気にしてほしいけど気にしすぎないでほしい面倒な気持ち。



 異世界転生ものが蔓延るなろうだけど、読むたびに思ってた。

 お前死んでおいて滅茶苦茶軽くね?って。両親兄弟友人との関係が断絶しておいて何の感情も浮かばないの?って。

 俺が天涯孤独の身だったら、ここまで不安定な気持ちにならなかったのかな。

 青春恋愛ものの、こんな気持ちになるなら好きになんてならなければよかった的な。


 いや、主人公君たちは事故死とか突発的な死に方多いけどね。

 癌に侵されて徐々に死に向かっていく系死因の主人公だったら鬱展開まったなしの予感。


 はー、胸が苦しい、吐きたくなるような、胸がつかえる感じ。

 不安で胸が張り裂けそうってこういう状態なのかな。いっそ張り裂けてしまえばいいのに。

「自殺」という二文字の存在が大きくなる。

 そういえば朝ドラでちょうど主人公の幼馴染が、それをにおわす回だった。

 仕事での不安なんて全て捨てていいんだよ、癌になってお先真っ暗に感じてる俺の方が自殺したいよ

 横で一緒に見ている両親がどんなこと考えているか、知りたいような知りたくないような。


 どうせ助からないのならさっさと自分で始末をつけてしまえとも思うけど、両親に自死を選ばせてしまったと思われたくない。

 死にたいという衝動が大きくなることはもちろんある。今までのニート生活でも毎日のようにあった、ふと脳裏によぎる命題への答えとして、そもそも其れを放棄することになる自死という選択肢。

 誰にも迷惑をかけない自死方法ってなかなか思いつかないんだよね。いや、そもそも誰にも迷惑をかけない人間なんて人間じゃないかな。単にヒトというものであって人間ではなさそう。


 電車への飛び込み自殺は衝動が大きくなってしまった時期と、それを容易に達成できそうな手段が身近にあってしまった悲劇。電車通勤通学してる人がほぼ全数占めるんじゃないかな。わざわざニートが切符買って行うことは、自殺の名所と有名になってる以外はないだろう。

 飛び降り自殺もそうだと思う。身の置き場がなく、何となく高い場所に来て、魔が差した。

 死に向かう労力って大きい。それを維持するのはしんどい。アンガーマネジメントのように、10秒深呼吸すればやり過ごせることが多いと思う。遺書を書くという大きな一工程を挟むと思いとどまれる人も居たんじゃないかな。

 きちっと遺書を書いて、自死を完遂した人は、凄いと思う。その覚悟と行動力があれば、いくらでもその境遇から逃げ出せる力を持ってたであろうに、ひどく惜しい。

 死への誘惑、今となっては分かる気がする。理解できる気がする。彼らにとってそれは解放なのだ。この、一人では抱えきれない、莫大で、膨大で、過大な、不安からの。

 でも、癌(仮)に侵されたニートという身になって、声を大にして言いたくなる


 命を粗末にしてはいけません


 逃げ出してしまえ。今すぐ引きこもれ。余裕が出来てから次を考えよう。

 生きていてもしょうがないと以前は思っていました、消えてしまいたいとも思ったことがありました。でも死ぬのだけは止めてくれ。切に願う。陳腐でありがちな言葉になってしまうけど、真理なんだと思う。



 命を粗末にしてはいけません

 生き続けたくてもできなかった人もいるのだ




 外が大分暗くなった。

 この現実逃避は非常に疲れる。



 一話として昨日の分をなろうに投稿してみた

 所詮自己満足、誰も見ないだろうけど、やってみた

 変な達成感がある。勢いでやっちまったなとも思う

 もし俺が死ぬまで毎日続いたらすごいことだ

 遺書として使える・・・使えない?

 今更手書きという文化を取り戻せないんだよね

 先がどうなるか分からないけど、この不安が少しでも軽くなるといいな

 それともこの状態にも慣れる日が来るのかな


 元気なうちに遺影でも撮っておくか?

 縁起でもないと思われたくないけど、げっそりした顔を遺影にしたくないような気もする

 何かしら写真あるだろうけど、マスク着用してる姿のような・・・

 あかん、思考が沈んできている。

 夜の気配がすると余計に沈みやすい気がする

 夜になるとご機嫌になってたのは何年前までかな。学生時代までかな

 いや、昼間の苦痛があるからこその夜の輝きだったのか

 ニート続けるうちに、昼間でもできることなら夜やらなくてもいいやって思って、生活リズムはそんなに崩さないようにしてたし。夜更かしするほど熱中できることがなかったとも言える。

 そういえば「よふかしのうた」は楽しかったな。夜の輝きへの憧れを思い出すいいアニメでした。吸血鬼になれば癌にもならずにすむのかな


 9時くらいから垂れ流して書くと無駄に文章量増えるな。そして非常に疲れた

 ゲームやら小説やら、消費者として現実逃避するほうが負担は少ないかもしれん

 まぁ癌告知(仮)翌日だからね、仕方ないね。

 それにしても全然眠気が襲ってこなかったな。漫然と過ごしてると寝落ちすることが多々あったんだが。不安で変に興奮してるのかな。それとも文章をひねり出すことによって脳内が活発になって睡魔も寄らなかったんかな。


 明日から大腸内視鏡の下準備として食事制限だ

これで5551文字らしい

丸一日使ってもこんなもんなのね

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