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皆違えど皆好き  作者: 焼肉定食1280円
3/3

ツンデレヤンキー登場

「おはよ。」


次の日になって俺は驚いてしまった。俺だけじゃなくクラスの全員が同じ顔をしていた。何せ昨日まで真面目にボタンを止めてピシッとしていた女の子がボタンをあけ前髪もオールバックにして目付きも少しするどくなって、言わゆるヤンキーのようになっていたからだ。


「おはよ…」


「え…あ、あぁ、おはよ。」


脳内が大渋滞を起こしすぎて一瞬返しに困った。いやぁ、男子三日会わざれば、刮目して見よ…とかなんか言うが女子は一晩会わざればってか?変わりすぎだろ。


「オレの席ここで合ってるか?」


「あ、あぁ。」


こいつ、記憶が無いのか?まぁ、人格が変わっているのだから無理もないか。


「おい、よ、よう…ちゃん。」


「え?」


俺の名前…っていうか昨日あいつが俺につけたあだ名。彼女とは初対面のはずだが…

てか、怖い感じのやつほど照れた時は可愛いっていうのをアニメでよく見ていたがこれほどとは…これが俗に言うギャップ萌えというやつか?いや、それより…


「おまえ、記憶があるのか?」


「そりゃ人格はちがえど体は同じだからな。記憶や気持ちもほぼ同じだ、たぶん…」


「ふーん。」


てことは変わるのは人格のみで記憶はほぼそのままということか。いいような悪いような。まぁ、俺からすれば説明する手間が省けてありがたい。


「てか、教科書類入ってるのかその鞄?」


見ると教科書が入ってるとは思えないくらい少ないんですが…


「あぁ、前の人格の野郎入れとくの忘れてたのか…どおりで軽いわけだ。」


いや気づけよ!持った時点でわかるだろ!昨日あったばかりだから強くは言えないが心の中でだけつっこませてくれ!


「まぁいいや、教科書くらい見せてもらぇりゃいいし。」


まさかまた俺の借りる気か?まぁいいけど。


ーー

「あのー、丹比さん…ちゃんと授業を受けてもらえますか…?」


先生が恐る恐る注意を呼びかける。よく見ると机に足を乗っけてかなり印象が悪い。昨日のあの三角定規みたいな真っ直ぐな姿勢とはまるで正反対だ。


「あ?受けてんだろ?」


「ひっ!」


あまりの威圧にさすがの先生も後ずさった。まぁ、俺でもこうなる。


「おい、先生に喧嘩を売るな、足をどけろ。」


「お、おいてめぇ!勝手に人に触んな!」


「お前が言う事聞かねぇからだろうが!」


「お前呼ばわりすんな!オレァちゃんと名前があんだよ!」


「る…じゃないのか。」


「…麻耶(まや)だ。覚えとけ。」


「あっ、あぁ。えと、麻耶さん…ちゃんと席に着いた方がいいと思います。」


今思えば俺、こんなガラの悪いヤンキーによくこんな言葉が出てたなぁ。


「…ちっ。」


イライラしてるのか顔を赤くしながらもちゃんと座ってくれた。下よく見たら足組んでるけどまぁ、このくらいはいいだろう。


「ありがとう鷹木くん。では授業を続けます。」


そしてそそくさと先生はその場を後にし何事も無かったかのように授業を続けだした。まぁ、その次の授業からは足はあげなかった。しかし、いびきをかいて寝てたり、外を眺めていたりと…全く授業を受ける気が見られなかった。


ーー

「おいてめぇ!」


やっと昼だと思って弁当食おうと思ったら呼び止められた。


「うぉっ!」


足をドンッと壁にぶつけ俺の進行方向を塞いだ。足ドンっていつの時代のヤンキーだよ。


「さっきはよくもやってくれやがったな!」


「いや、あれはお前…じゃなかった、麻耶さんが悪いだろうが。」


「うるせ!オレに指図すんな!」


「…悪かったよ、でもあぁでもしないとなんかしでかしそうな感じだったからやったんだよ。」


「ふん、そこまで馬鹿じゃねぇよ。」


馬鹿なことをやってる自覚はあるのか?つくづくよくわからんやつだ。


「んで、なんで昨日オレに優しくした?」


「はぁ?」


さっきも言ったけど、麻耶は初めましてだ…あ、昨日の記憶が残ってんのか。彼女のインパクトが強すぎて訳分からんくなる。


「まぁ、別に大した理由はねぇよ。教科書貸すのは当たり前だし、案内に応じたのも単に俺も最近出かけてなかったからだったし」


「そっか。」


なんだ?今度は急に大人しくなりやがった。


「まぁ、その…なんだ…礼は言っとく。」


「お、おう。」


ほんと調子狂うな。


「今日…用事あるか?」


「ないけど…」


このパターンは…まさかな。


「うちに来い…」


えー!そっち!?いきなり急展開すぎませんか!?


「勘違いすんな!親が昨日お前を紹介して欲しいって言われたから。」


ーー


「摩耶ちゃん!おかえりなさーい!」


ドアを開けた途端摩耶さんに抱きついてきた女性。髪の毛は黒く、短めでスタイル抜群、お姉さん…かな?


「うぉぁ!母さん!いきなり抱きつくな!って言うか早く離せっ!」


「だぁってぇ!いつも帰ってくるの遅いから…」


え!?これお母さん!?若っ!アニメかよっ!お姉ちゃんって言われても全く違和感ねぇよ!


「そらあんたがこんだけベタベタしてくりゃな!」


「初めましてぇ!摩耶の母の丹比 智陽子っていいまぁす!」


無視すんな!という娘の言葉をガン無視して丁寧に挨拶をしてきた。


「かあさん、こいつが昨日言ってたやつだ。」


「えと、はじめまして、鷹木…」


「ようちゃんよね!琉偉から話は聞いてたの!とっても優しくしてくれたって、あの子、不思議ちゃんだから周りから距離を置かれることが多いんだけどあなたは違うみたいね?」


「ま、まぁ、そうですね。」


何となく気持ちがわからなくもないから…。あいつも大変な思いしてきたんだろうなぁ。


「もういいか?早くオレの部屋に行くぞ?」


「もう行くの?まだようちゃんと話したいこといっぱいあるのにぃ!」


「いや、今じゃなくていいだろが!」


「ええー!あっ、後でおやつ持っていくからね〜」


「いらん!」


ーー

「ったく。」


「なかなか元気なお母さんだね。」


「あぁ、母さんはオレたちに優しいからな。」


オレたち…か。ほかの人格にも同じような対応をしてるのか。すごいなあの母親。


「で、家にあがったわけだけどなにかしたいことでもあったのか?」


「…おまえ、彼女とかいんのか?」


「えぇ!?い、いねぇよ!」


修学旅行中の男子か!それに女の子から言われるとドキッとするからやめろ!


「そうなのか。」


ほっとしたような顔をしてるがなんだ?バカにしてるのか?


「なんでそんなこと急に聞いたんだよ。」


「う、うるせぇなぁ!関係ねぇだろ!」


「いや、俺のこと話してたから!」


「……。あいつ、お前のことかなり気に入ってんだよ。」


「えっ…」


それって……いや、まさかな…


「別に好きってわけじゃないっぽいけどな!勘違いすんなよ!」


ですよね〜…まぁ、わかってたさ…分かってはいたさ!!


「ただ、お前を気に入ってるからこそあいつを傷つけることがあったらオレはお前を許さねぇ!それだけだ!」


「…なんだそんなことか。」


「そんなことだと!?」


「いや、悪い意味じゃなくて!…俺は親友を裏切ったりはしないし、ましてや女の子を傷つけることなんてしないよ。」


「ならいい。」


「なんか良い奴だな摩耶さんは…」


「はぁ!?」


「なんか琉偉のお姉ちゃんみたいだ。」


「ふ、ふん!まぁ、あいつはうたれよわいからな!心配なんだよ!」


お姉ちゃんよりも姐さん肌なのかもしれないな。


「摩耶さんのイメージが変わったよ。」


「…めろよ。」


「え?」


「だから、さん付けやめろ。呼び捨てでいい。」


「…えっと、摩耶…さん」


「あ?」


「摩耶!摩耶ね!」


「それでいいんだ。よし、話はこれだけだ。あとは…ゲームでもすっか?あたしトランプは得意なんだよ!」


「おっ!やるか!」


ーー

数時間後ー


「くぅぅう!!」


二人でやるトランプゲームは結構あったのだがババ抜きが得意なんだと言われ、しばらくやっていたのだが、どう考えてもこいつ…弱い。まず右に手をやると


「はぁぁぁぁっ!」


めちゃくちゃ嬉しそうな顔をするけど左に手をやると


「あぁぁぁあぁぁ…」


めちゃくちゃショックを受けた顔をする。なんだこれ?お持ち帰りしたいんだけどこの子。


「よっしゃ!」


何とかジョーカーを取ってあげるんだけどそれだけじゃなくてこれだよってカードをあげるんだけど…


「へっ、その手は通用しねぇよっ!…あぁぁぁぁあ!!!」


ジョーカーを引いてショックを受けるのだ、やっぱり…


「可愛いな…」


「へっ!?」


顔を赤くして俺の顔を見た。えっ!?もしかして今、声に出てた!?


「にゃ、にゃにが可愛いだ!からかいやがって!!ほら早く引けよ!!」


「ほら」


「あぁぁぁぁあ!!!も1回だ!」


「いや、他のゲームを…」


「だって母さんが『あなたはババ抜きの天才ね!』って!」


あのお母さんは…もう天才と言うよりも天災だな。


「それに、いい加減時間だから帰らねぇと…」


「勝ち逃げすんのか!!オレに負けるのが怖いのか!!」


「違ぇよー!てか摩耶は今10連敗中でしょ!?」


「次は勝つ!!次こそ!!」


「摩耶ちゃん、良かったら泊まってもらいなさい」


いつの間に俺の後ろにいたんだ!?いやそれよりも泊まるのはさすがにまずい!


「そうだよ!今日泊まってけ!」


「いや、それはさすがに…」


「まだお母さん話したいこといっぱいあるしぃ。お父さんにも紹介しておきたいしぃ。」


「いやいやいや、それじゃまるで彼氏みたいじゃないですか」


「違うの?」


「違います!」


「えっ…」


と摩耶は少し残念そうな顔をした。え、なんで?てかお前もいつもみたいにカッとなってキレろよ!


「ほら〜摩耶もまんざらでもないんでしょー」


「う、うるせぇ!もういい!とっとと帰れ!」


「今度は帰れかよ!」


「帰りたかったんだろ!!」


「わかったから押すな押すな!お邪魔しましたー!」


「またいつでもいらっしゃーい!」

ーー

「今日は…その…ありがとな。」


「ん?あぁ、また遊ぼうか。」


「うん。これからも…仲良くしてくれよっ!!」


「お、おう。」


にっと笑ってドアの方へと向かった。何あれ…超可愛いんすけど。悪そうに見えて意外とめちゃくちゃ可愛いとこあるじゃん。明日も楽しみだ。


ーー


「なんだよあいつ…ようちゃん…か。オレ、顔に出やすいって言われてるのにババ抜き苦手だったのか?」


「それはね、摩耶ちゃんのためにわざとはずしてたのよー。」


「なんだと!あんのやろ!!手加減してやがったんだな!!明日!覚えてろよー!!」


「ふふっ。耀司くんかー。これからも仲良くしてあげてね。」


ーー

心の中

『つっかれたァー!』


『お疲れ様ぁ』


そういったのは髪も声もゆるふわな感じの女の子。


『おぉ、あとは任せたぞ。』


『うん、よーし!いっぱい甘やかしてあげるんだから!』


『いや、甘やかす必要はねぇだろ?』


『私が甘やかしたいの!それとも何?摩耶ちゃん私に嫉妬してる?』


『はぁ!?』


『ふふっ、冗談よ〜ほんと可愛いんだから!』


『からかってねぇでさっさと行けー!』


『はーい!…待っててねようちゃん、佐奈ちゃんが、君を幸せにしてあげるよ。今度こそ…』


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