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皆違えど皆好き  作者: 焼肉定食1280円
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クセが強い転校生

『お前みたいなやつ大っ嫌いだ!』


人は自分と違うものを持っていることに興味を抱く、そしてそこから分岐点のように憧れるもの、嫉妬するものなど色んな思考に別れる。うちのクラスはそのどちらでもないーー



いつもの教室の風景、女子同士で話すグループ男子同士で話すグループ、男女一緒になって話すグループ色々あるが俺はそのどれでもない。いわゆるぼっちというやつだ。言い訳する訳じゃないが、友達がいない訳では無い!たぶん!そしていつものようにチャイムがなり担任が教室に入ってくる。


「おーし、HR始めるぞ〜…って忘れてた、今日から転校してきたやつを紹介する。」


「せんせーそれ聞いてないし!」


「私も聞いてない、今日知ったばかりだ。」


担任である山城先生の言葉にツッコミを入れるのはその後ろに立つ副担の美堂先生の役割である


「先生、昨日僕言いましたよね?明日、転校生がうちのクラスに編入するのでよろしくお願いしますと。」


「あぁ、そうだったけ?まぁ、いいや。はいれ」


相変わらず適当な言い方である。自分より目上の人や生徒に対してもこんな口なので先生も半分諦めている節がある。

そして教室のドアが開かれ、元気よく「失礼します!」と言う言葉と共に入ってきたのは金髪が目立つ女の子だ、ボタンをちゃんととめてるとこ見る限りヤンキーというわけでは無さそうだ。


「初めまして、丹比(たじ) 琉偉(るい)っていいます。多重人格です!よろしくお願いしま〜す!!」


彼女の言葉に一同が静まり返った。

多重人格障害……解離性同一症、解離性同一性障害とも呼ばれる。簡単に言えば複数の人格が同一人物の中にコントロールされた状態で交代して現れるものだ。今の時代意外と少なくなくてこの学校にも2、3人いる。まぁ、あって二重人格くらいだが…多重人格を持った子はなかなかいなかった。

そしてヒソヒソと話し声が聞こえてくる


『今なんて?』『多重人格だって』

『え?マジ?本当にいんの?』『知らねぇよ』


いろんな声が聞こえる中、山城先生が咳払いし、たんたんと話を続けた


「ということで、まぁ、仲良くしてやってくれ。そうだな、席は…そこ空いてるしあそこに座ってくれ」


あそこ?げっ、隣かよっ!


「はーい。」


そう言うと周りの目は全く気にせずいい笑顔で着席した。HRも終わり、少しの間休み時間に入った。普通アニメとかだったら『どこの学校から来たの?』とか、『その金髪地毛?』とか周りに人だかりがなりそうなところだが…そうならないのはたぶん自己紹介の件だろう。そりゃそうだ、あんなカミングアウトされてからじゃなかなか話しにくいだろう。


『どうする?』『俺話しかけに行こうかな?』

『バカ!人格急に変わったらどうすんだ!』


結局、ヒソヒソ話をされる始末。まったく、うちのクラスはなんでこうもチキンなやつばかりのか。まぁ、かくいう俺も話しかけられずにいるのだが…彼女はと言うと平然とした感じでノートとペンケースを取り出してこっちを見て…え?


「ねぇ!」


「へ?」


「悪いんだけど今日一日教科書見せてくれない?私転校したばかりでまだ教科書とか届いてないんだよね。」


なるほどそういうことか。てか反対側の女子じゃなくて俺なのね。まぁ、どっちでもいいけど。


「ほらよ。」


「ありがと〜。あぁ、別に気を使わなくていいから。無視してくれていいし、あ!でもどうしてもって時は話しちゃうかも!」


まぁ、よく初対面の男にここまでペラペラと話せるものだ…ある意味見習いたい。


「よろしくね、鷹木(たかぎ) 耀司(ようし)くん!」


「おう…って俺名前言ったっけ?」


「ノート。」


「あっ!」


確かにノートを出していれば必然と名前はわかる訳だが、なぜ俺の名前が読めたのか。まぁ、単に漢字が得意で直感力がすごいやつと言われればまぁ、少しは納得がいくだろう。ただ、こいつはまるで俺の名前を知っているかのように俺の名をフルネームで呼んだ。


「もしかして…どこかで会ったか?」


「……初めましてだよ?」


今の間が気になったがまぁいいか。どちらにせよこれからいやでも知っていくことになるのだから。


「やっぱり覚えてない…か。」


ボソッと何か言ったような気もしたが別に気にはしなかった。


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