表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/14

幼稚園

 幼稚園に入園した。


 肌の問題が解決すると君の活発さはさらに輪をかけて酷いものとなっていた。ガキ大将になっていた。これには君の母も参っており、僕に何かやらかしたら叱ってもいいのだと毎日確認された。幼稚園の先生は「こういう子は珍しくないから気にしなくても大丈夫」と笑い飛ばし、僕の母もそれに同調する。けれど、やはり自分の子が他所のお子様に迷惑を掛けるというのは敏感になるらしい。君と君の母親を見てると、こっちの口が酸っぱくなるぐらいに注意されていた。


 また、幼稚園という特性上、僕と君は他の子と接点を持つことになった。君はその活発さで同じ組の子達をまとめ上げていく隣で、僕はある子たちと交流をしていた。


 僕らと同じく家が隣同士の幼馴染コンビ。片方は無口な男の子。もう片方は派手なものが好きな女の子。男の子の方は顔が良いので、女の子が他の子に取られないようにいつも連れ回している。


 僕が彼らと仲良くしていれば自然と君も彼らと交流を深めていった。その女の子、美希と君は大変相性が良かったらしくすぐに意気投合した。相性が良すぎて我が花組は大将と女帝が支配する構図となった。女帝に連れ回される幼馴染は悟といい、その名の通り悟っているのかそれに文句をつけることはなかった。けれどそれに迎合しないぐらいはマイペースを貫いていた。その居心地の良さから他の子は、女帝がいない間を見計らい彼と遊んで、一時の平和を教授していた。仏陀だった。僕はというと、争いになる一歩手前で介入する立場に気付いたらなっていた。争いが起きそうになると僕が呼ばれる。地雷処理班だ。しかも、見えてる地雷原を「歩け」と頼まれるのだから溜まったものではない。


 こうして大将と女帝が支配し、第三者機関の僕があり、非戦闘地域の仏陀がいた。


 こうして見ると僕だけが苦労していた。


 苦労しつつも、先生も含めて色々な人と話す機会があった。そこで知ったのは亜人というのは多くはないけれど、見ないことはない程度にはいるらしい。AB型と同じぐらいの比率だそうだ。園内にもその程度の比率でいるらしい。聞くまでわからなかったのは、一目見ただけで分かるような亜人は極少数だそうだ。よくよく見れば耳が尖ってたりなどの亜人特徴があるそうだ。


 また、ヒーローと呼ばれる公務員は亜人の特徴を兼ね備えた方も少なくないらしい。だから亜人は子供たちの間ではヒーローっぽくて凄いということになる。それゆえ君は活発さと亜人だということが相まってガキ大将まで上り詰めることができた。増長したともいえる。


 これを聞いたとき、先生が僕に「将来の夢はなに?」と訊いてきた。


 僕は少し考えて「人に振り回されない生活を送りたい」と答えた。


 先生は「……二人を任せきりにしちゃってごめんね」と目を逸らして謝った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ