最初に
これは僕と君の日々を思い出し、記録したものである。
僕は生まれながら自我があった。それどころか前世の記憶も持っていた。
前世は人だけが住む世界。幽霊やエルフなどの人以外の「何か」という概念はあったが、誰もそれを見たこともない。ファンタジーの存在として語り継がれるだけの存在だった。
今回の人生は前世によく似た世界だった。時代も文明も地図さえほぼ同じ。違うのはそういう人以外の「何か」が当たり前に存在し、当たり前に共存していることだ。
昔はいざこざがあったらしいが、現代では過去に遡って言及は誰もしない。
そんな世界で僕は君と出会った。
当時は知る由もなかったが、この世界はとあるゲームに類似した世界で君は悪役令嬢になる運命だったという。
とある事件で運命がねじ曲がり、すべてが変わった。
元に戻ろうとする運命の中で僕は君と交流を重ね、僕らは同じ結論にたどり着いた。
僕は君が好きで、君も僕を好いてくれている。
僕と君は互いに人生を捧げ合った。
これは、そんな日々を記録したものである。
おそらく惚気話が主となると思うが、恥ずかしがらずに聞いてほしい。
僕と君の間には障害があっても、君は僕では超えられないものを簡単に超えてくる。
そんな男としては情けない痛快ラブコメディのようなものとして聞くのが正しい姿勢なのかもしれない。
だから、君は全てを聞き届け欲しい。
全てを忘れた君に、僕が覚えている全てを伝えるから。