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第四話 僕達の今後。


「ふふふ。やっぱり良いわね。」


アリアさんは上機嫌だ。

今はテラスで二人きりになっている。

月明かりに照らされたアリアさんの頬は酒の影響なのか赤い。

アリアさんはテーブルにコップを置くと、僕の方へと顔を向ける。


「レン君。本当にありがとう。」


「どうしたんですか?急に?」


僕は突然の事でビックリした。

急に改まった感じこられても困る。


「レン君のおかげで、また皆に再会できた。レン君のおかげで、こうして美味しいお酒が飲める。レン君のおかげで、皆と笑いあえる。全てはレン君のおかげ。本当にありがとう。」


「いや、僕はたいして役に立ってはいませんよ。結果的に、ほとんどザバルティさんが対応してくれただけです。」


「ううん。それもレン君が居たからこそよ。レン君が一生懸命に動いてくれたから、ザバルティさんだって、手伝ってくれたのだと思うの。」


「そうでしょうか?」


「絶対そうよ。彼は【神の使徒】。彼には使命がある筈。そんな中で、他人に構っている余裕は無い筈。それでも、レン君を手伝う事で助けてくれたのは、レン君が動いてくれたから。それは間違いないよ。」


そういうモノかな?

僕はただアリアさんと一緒に居たいと思ってやれる事をやっただけ。

自分の無力さは痛感している。


『自信を持つのじゃ。』

『そう。相手は【邪神の使徒】。』


「ほら、二人もそう言っているわ。誇って良いのよ。私の・・・その・・・救世主さん。」


いつもはスルーする精霊様の声も使って、アリアさんは照れながら僕にそう言った。

『救世主』僕はそう呼ばれるほどの事をしたのだろうか?

わからない。少なくとも僕がそう思える訳じゃない。ただ、そう言って貰える。それは正直に嬉しい。アリアさんにそう言って貰えるのに相応しい人間になろう。そう心に誓った。



◇◇◇◆◇◇◇



夢追人(ドリーム・チェイサーズ)】のメンバーで今後の方針を考える事になった。

当面の目標であった、アリアさんの仲間との合流が達成されてしまったからだ。

今はこうして、昼の食事をしに街の中の、レストランで食事を取りながら話し合いをしている。


「どうしますか?」


「当面はこの街の復興の手助けで良いんじゃないか?」


「そうだな。まぁ俺達に出来る事なんて知れているけどな。」


「・・・。」


「ただ、反乱軍に加わるという選択は出来んな。」


「でも、手伝っていたら、そうなってしまうのでは?」


「まぁ、そうだろうな。」


「・・・。」


僕とパークリーさんにプレストンさんの三人は額に皺を作り話し合っている。

その間、アリアさんは無言だ。


「そもそも、俺らは冒険者だぜ。それなら出来る事は限られる。出来るのは、魔物を狩る事じゃねぇか?」


「うん?そうだったな。そうか、その手があった。」


「どうしたんですか?」


「俺達は魔物を狩れば良いんだよ。魔物を狩って物資の補充を手伝えばいいのさ。」


パークリーさんが思いついた事。

それは、魔物狩り。魔物はこの世界では食料にもなるし、物資にもなる。つまり資源なのだ。

反乱軍として参加する訳じゃない。ただ、冒険者としての生業をするだけにするという事だ。

それが街に還元される。そういう助けもあって良いんじゃないか?というモノだった。


「それ、良いじゃねぇか。」


「そうですね。」


「だろ?プレストンもなかなか良い事いうじゃないか?」


「へっへっへ。」


僕達三人は、名案だと思った。

しかし、アリアさんは浮かない顔になっている。


「それは確かに、良い事だけど、いつまた攻められるか分からないのよ?その覚悟はあるの?」


そのアリアさんの一言で、僕達三人は黙ってしまった。


「ここは、カーリアン帝国内なのよ?いつ攻められるのか分からない場所。その覚悟はあるの?」


「そうは、言ってもよ。他に何かあるのか?」


「そうだぜ。他に出来る事は無いじゃないか?」


「あるわ。この街を出るのよ。」


僕達三人は絶句した。


「私はこれ以上、皆に我儘を言うつもりは無いの。皆の気持ちは嬉しいけれど、会う事は出来た。だから、皆を危険にさらしたくは無いのよ。」


アリアさんの悲痛の感情が、伝わってくる。

手助けしたいハズのアリアさんが僕等の事を思って言ってくれている。それがわかる。


「その心配はもっともだけど、当面は大丈夫のハズだよ。」


「「「「えっ?」」」」


会話に入ってきたのは、一人の女性だった。

僕は目を見開いた。


「なんで、ここに?」


「久しぶりだね。レン君。」


その人は、シャルマン商会のプリメラさんだった。


「そんなに不思議な事かい?私は商人だよ?商機ある所には出かけるよ?」


不思議そうな顔をされた。

いや、それ以上に僕の方が不思議な顔になっているハズだ。


「もしかして、シャルマン商会がこの街に店を出すんですか?」


「うん。そうなるね。この街は独立する。都市国家として。そしてロックフェラ連合国に加入する事になっているんだよ。」


サラッと、とんでもない情報をもたらすプリメラさん。


「それは、本当ですか?」


「うん。本当の事だよ。だから、私はここに来た。商会所有の飛行船でね。」


「じゃあ、シャルマン商会。いや、ラムザさんが復興に力を貸すという事ですか?」


「ふふふ。そうなるね。だから戦争は当面起こらない。君達も復興に協力してあげたら良いよ。冒険者としてね。」


愉快そうに笑っているプリメラさん。

爆弾発言ともとれる発言は、一件の店の中にザワツキと、希望を与えたのだった。


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